もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

タグ:VASSAL戦

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OCS(Operation Combat Serirs)は、1990年代に米Gamers社から発表されたゲームシリーズである。このゲームは、共通のルール基盤で第2次大戦及びその前後の陸上戦闘(一部航空戦及び海上戦を含む)を再現する。今回、OCSシリーズの1作であるSicily-II(以下、本作)をプレイすることにした。本作は2016年に発売されたOCSシリーズの1作品で、タイトル通り1943年7月~8月のシシリー上陸戦を扱う。
今回はメインシナリオとも言うべきシナリオ5「ハスキー作戦」をプレイした。今回はVASSALによる遠隔対戦で参加者は3名(連合軍2名、枢軸軍1名)である。OCS初心者の私は、米軍を担当した。

前回までの展開は --> こちら

Turn02e


3Turn(43/07/17)

US_2A_673b主導権を取った連合軍が先手を取った。Licata方面で突破口を啓開しつつあった米第2機甲師団、第3歩兵師団はLicataの北西部にあるイタリア軍の弱点部を狙って集中攻撃を加えて突破口を啓開する。チャンスとばかりに予備待機していた機甲大隊、偵察大隊が敵中を突破。ヘルマンゲーリング師団の背後に位置する補給所を襲う。無防備に配置された補給所は米軍部隊の蹂躙する所となり、付近に配置されていた補給ポイント5SP以上が灰燼に帰した。

Turn03c


「これで勝負あった」
と一度は思ったが、そうは問屋が卸さない。ドイツ軍はヘルマンゲーリング師団をゲラ湾前面から引き上げさせ、Piazza Armerina(40.13)付近の山岳地帯に後退させ、山岳地帯に戦線を引く。これで米軍部隊が東へ向けて突破する道がふさがれた。
西に向けては、山岳地帯を抜けて北西岸パレルモへ向かうルートは、イタリア軍Aosta師団(13-3-3)の分遣隊が山道を塞いでします。
海岸沿いに西に向かうルートには、イタリア軍第207歩兵師団とドイツ軍のエンス戦闘団に所属する自動車化歩兵部隊(3-4-14)が海岸線の防備を固める。

Turn03d


といった所で時間切れでゲーム終了。今回は丸2日間朝から晩までプレイしたが(プレイ時間は計16時間)、たった3Turnしか進まなかったのは残念である。



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感想

GE_Ju88まず戦略面の感想である。
第3Turnに突破が決まって枢軸軍の戦線を崩壊させたため、パレルモ方面への突破口が開かれた感じになったが、その後の枢軸軍の対応によって突破口は塞がれてしまった。ただし今までのような堅固な防御ラインではないので、機動力を生かした突破が可能だと思う。
一方で西方への突破が遅れ気味なことは否めない。ゲラ湾からMarsalaにかけてのシシリー島南西海岸には、Porto Empedocle、Marsalaを始めとシ、いくつかの小港湾がある。これらの港を占領してSPの揚陸能力を高めておかないと、この後SP不足で進撃が滞ってしまうかもしれない。このあたり、今回の戦いでは検証できなかった。

ゲーム自体の感想だが、噂通りタフなゲームである。こちらはとにかくSPとか飛行場とかを蹂躙されないように気を配ったが、システム上相手が本気で攻めてきたら全部守るのは無理なので、ある程度は失うことを覚悟して守った方が良いかもしれない。自軍の後方を潰されるリスクと相手の後方を狙うチャンスを秤にかけて、どこまでリスクをテイクできるのか、冷静な判断力と失敗にメゲないタフさが求められよう。シミュレーションと見た場合、やや自由度が大き過ぎるような気がしないでもない。

US_Truck_245本作だけではなくOCS全体として問題だと思ったのは、OCSの肝とも言うべきSPの管理である。SPが管理でミスるとゲームが破綻する恐れがあることは言うまでもないが、対面プレイの場合でもSPの管理を厳密にやらないと「埋蔵金が出てきた」みたいにSPが勝手に増えてくることにもなりかねない。もちろん意図的にSPを不正に増やすのは論外だが、意図しない不正利用も起こり得ると思っておいた方が良い。特にゲームがエキサイトしてくると、少しでも自分が有利になるように曖昧な個所は自身に有利に解釈しがちになる。対戦ゲームである以上は仕方がないが、何とかミスの少ないプレイはできないものか。
VASSALの場合はSPのコピーや拡大がボタン操作で簡単に実施できてしまうのでさらに危険である。例えば意図せざるボタン操作よって10SPマーカーが複製されて2~3倍に膨れ上がった場合、さらにそれを両方のプレイヤーが知らないうちに使ってしまった場合、ゲーム本来が持っていたバランスは瞬時に崩壊する。そういった意味ではVASSAL対戦の場合は、対面対戦時以上にSPの管理に慎重になる必要がある。さらにSP管理については、参加する全プレイヤーが熟達しておく必要があるだろう。

いずれにしてもOCSには様々なアイテムがあり、同一のシステムで様々なシチュエーションを楽しめるのは有難い。折角ルールを覚えたので、できれば忘れない間に何かほかの作品もプレイしてみたいものである。

Turn03f



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MAP



OCS(Operation Combat Serirs)は、1990年代に米Gamers社から発表されたゲームシリーズである。このゲームは、共通のルール基盤で第2次大戦及びその前後の陸上戦闘(一部航空戦及び海上戦を含む)を再現する。
[US_SpitV.jpg] 本シリーズの特徴は、比較的自由度の高い移動システムと厳しい補給ルール、そしてギャンブル性の高い戦闘システムである。移動については、ZOCによる拘束効果が弱く、戦車系と歩兵系のユニットはZOCでストップすることはない(唯一ZOCの影響を受けるのは、自動車化系の部隊のみ)。実質的には移動によるZOCの影響は殆どないと言って良い。

Z_SP3補給システムについては、機械化された部隊の移動や戦闘、砲撃等では常に補給ポイントの消費を必要とする。しかもその補給ポイントもカウンター化されていて、一々前線へ運ばなければならない。しかも補給ポイントが場合によっては敵に捕獲されることもある(下手な配置をすると結構頻繁に捕獲される)。当然補給が切れた部隊は餓死/降伏の運命が待っている。1Turn半週間~1週間というスケールを考えると、補給切れによる除去チェックがやや厳しすぎるような気もするのだが、まあそんなものかも知れない。

GE_504_2 戦闘システムについては、練度差による奇襲チェックが過激である。2D6で修正後に5以下又は10以上で奇襲が発生るのだが(オーバーランの場合は6以下、9以上)、奇襲が発生すると1D6分だけ奇襲側が有利なようにコラムシフトする。練度の高い部隊にとっては万々歳的なルールだが、奇襲を食らった側はたまらない。なんせ最高比(平地で13:1、それ以外は18:1~52:1)の戦闘でも奇襲チェックで一気に最大6コラムもダウンしてしまう。10倍以上の戦力で攻めて「攻撃失敗」の目が出た日には・・・。ただこの奇襲ルール、実際に運用してみると、見た目ほど極端なものではない。むしろ戦闘に不確実性を与えるという意味で良いエッセンスになっているように思える(練度が絶対的なものではなく、高練度部隊でも奇襲を食らって壊滅することもある)。

今回、OCSシリーズの1作であるSicily-II(以下、本作)をプレイすることにした。本作は2016年に発売されたOCSシリーズの1作品で、タイトル通り1943年7月~8月のシシリー上陸戦を扱う。1Turn半週間、1Hex3.5マイル、1ユニットは大隊~師団になる。師団クラスのユニットは複数ステップを持っている。シナリオは6本で、小型シナリオが4本、キャンペーンシナリオが2本である。

今回はメインシナリオとも言うべきシナリオ5「ハスキー作戦」をプレイした。今回はVASSALによる遠隔対戦で参加者は3名(連合軍2名、枢軸軍1名)である。OCS初心者の私は、米軍を担当した。
(初心者が枢軸軍を担当したら、頭がパニックになりそうなので)。

1Turn(43/07/10)

まずは序盤の制空戦闘である。米軍戦線ではスピットファイア2個戦隊がBf-109G 2個を事前攻撃でこれを無力化した。英軍戦線ではスピットファイア1個戦隊がステップロスする損害を出しながらも、何とか制圧した。
空挺部隊は3個連隊が降下してたものの、2個連隊が降下に失敗して壊滅した。うぐぐ・・・。
ゲラ湾への上陸は、上陸戦闘によって揚陸艦2個部隊が失われ、戦車大隊(第753戦車大隊、6-3-6)が海没してしまう。

Turn01b


その後の戦闘でLicataからGelaにかけてイタリア軍を掃討して上陸地点を確保。しかしその際に戦闘で補給ポイントを大盤振る舞いしてしまい、前途が不安になる。C-47輸送機等を動員して補給ポイントをシシリーに輸送するが、未だ心許ない。

Turn01c


RN_CV_Formidable枢軸軍Turn、ヘルマンゲーリング師団を主力とするドイツ、イタリア連合軍がゲラ海岸前面に展開中。ヤバイ。これでダブルターンが出たら、鎧袖一触ぢゃないか。まだ散開しているからオーバーラン食らわない分マシか・・・。取り合えず水上砲撃支援艦艇を展開して敵の反撃に備える。
英軍戦線ではドイツ空軍の大編隊が飛来して沖合の艦艇を攻撃してきた。彼らは何故か空母攻撃に執着し、空母「フォーミダブル」が集中攻撃を受けたが、軽微な損害を被っただけであった。

Turn01e


2Turn(43/07/14)

US_3Rgr主導権を枢軸軍が握った。やばい。いきなりダブルターンである。敵の反撃に身構える米軍部隊。枢軸軍はLicataの飛行場と港湾に対して攻撃を仕掛けてきた。空爆と砲撃によって防御部隊である米第3歩兵師団(22-3-3)と第3レンジャー大隊(3-4-3)が混乱状態(DG)になってしまう。連合軍も主に艦砲射撃で迎え撃ち、ドイツ軍1個歩兵大隊(3-4-3)を撃破するなどの戦果を挙げた。枢軸軍はLicataの港湾に対して攻撃を行い、米軍のレンジャー大隊を撃退してLicataの港湾を占領した。

Licataの守りを薄くしたのは失敗であった。Licataはゲラ湾一帯の中では最も揚陸能力の高い港湾である。上陸部隊が広く散開していたため守りが広く薄くなった感がある。この後、どうやってLicataを取り返すか、悩ましい所である。しかし考えようによってはもうダブルターンはないので、これからは安心して進撃できる。

Turn02b


IT_Bedo米軍戦線では増援部隊が上陸してきたため、まずは上陸地点の守りを固めつつ、Licata奪回のための布陣を敷く。Licataに対して砲爆撃を集中して混乱を誘うも、出目が悪く砲爆撃が悉く外れ。こりゃあかんわ、と一度は諦めかけたが、Licataの北西に弱体化したイタリア軍歩兵師団を発見。千載一遇。4-1の戦闘比だったが、奇襲が決まって10-1までコラムアップ。レンジャー部隊(3-4-3)が吹っ飛んでしまったのが少し痛かったが、Licata後方を遮断したのは大戦果かな。

つづく

Turn02e



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表紙


The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WP)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。 本作の基本システムは、 以前の記事 で紹介したので、そちらを参照されたい。

今回は、その中からシナリオ3「The Battle for NORTHAG」をVASSAL対戦することになった。これはドイツ北部における開戦から6日間の戦いを描いたシナリオで、WP軍は西ドイツ北部からベルギー、オランダ方面への突破を目指す。私はWP軍を担当した。

Turn00a


1Turn(1985/8/1)

戦略フェイズ

シナリオ開始時点でWP軍は特殊部隊(スペツナズ)を3個使用できる。米軍の事前備蓄基地POMCUSに対して使用。3ヶ所のPOMCUSのうち2か所を破壊し、まずは戦果を達成した。
航空戦では両陣営とも戦闘機を制空任務に投入する。数で勝るNATO軍が航空戦を有利に進め、WP側のSAM陣地に大きな打撃を与えた。WP軍もSAM攻撃を実施するが、こちらは失敗。腹いせ(ではないが)化学兵器を満載したSSM(地対地ミサイル)を英本土のNATO軍基地にバラまき、同方面のNATO航空兵力に多大な損害を与えた。

WPプレイヤーターン

序盤はWP軍としても決して兵力が潤沢な訳ではなく、攻勢に投入できるのはソ連軍2個軍(2GTA=第2親衛戦車軍、3CAA=第3戦車軍)の計8個師団(戦車5個師団、機械化3個師団)と東ドイツ軍1個軍(EGA)所属の1個戦車師団に過ぎない。さらにその主力戦車はT-64で(東ドイツ軍に至ってはT-55)、NATOの新型戦車(レオパルド2、チャレンジャー等)には到底及ばない。そのためにその前進は決して楽なものではなかったが、それでも何とか主要都市であるハンブルグ(Hamburg)とBrunswickを占領し、突破口を啓開した。この時点ではNATO軍の地上部隊は戦闘展開しておらず、そのためにWP軍機械化部隊が何とか進撃できた訳である。

Turn01a


NATOプレイヤーターン

序盤、NATO側の部隊の多くは連絡線切れの状態になっており、組織だった行動が難しい。取り合えず後方に取り残されたスペツナズユニットをオーバーランで撃破しつつ、残りはエルベ川等南北に流れる河川沿いに戦線を敷いてWP軍の突破に備える。

Turn01b


感想

今回は時間の関係でこの時点で終了とした。所要時間は6~7時間である。わずか1Turnでこれだけ時間がかかるのは、慣れの問題もあるが、ゲームシステム自体の問題もある。
今回のプレイでルール等についていくつか疑問点が出てきた。そのいくつかは Board Game Geek で質問しておいたが、そのいくつかを紹介する。

まず最初に疑問に思ったのは河川の効果である。TEC(地形効果表)によれば、「河川越えの移動で敵ZOCには進入できない」とある。ということは例えば下図のように河川の1ヘクス後ろに布陣すると攻撃側は手も足も出なくなる。一応「工兵支援」というルールがあり、それを使えば河川を渡河できるのだが、それは確実なものではなく、成功率は50%以下でしかない。しかも失敗する度に工兵能力が10%ずつ減っていくので、ダイス目が悪いと何もしない間に渡河能力が失われていく・・・。
個人的には「渡河禁止」はZOC to ZOCの場合に限定した方が良いようにも思うのだが、Board Game Geek で質問した所、デザイナーからはハッキリと「ZOCに進入する渡河は禁止」という回答を得た。従ってまずはデザイナーの意向を尊重するしかない。

Hamburg


ちなみにこのデザイナーは水障壁が好きらしく、前作The Fulda Gap(CompassGames)では、水溜まりのような小川であっても戦車の渡河をストップさせる効果を与えていたりして、批判されていた。

VKK(西ドイツ地域防衛コマンド)に関するルールにも疑問がある。西ドイツの都市ヘクスに隣接する度にVKKユニットの登場有無を判定するルールだが、この判定の実施について何の制限もないことである。一番問題なのはWP側が一度占領した都市ヘクスであってもVKK生成チェックの対象になる所で、折角占領した筈の都市ヘクスがVKKユニットによって再占領されたらWP側としては目も当てられない。単に邪魔になるだけではなく、補給線の障害にすらなりかねない。
個人的には一度WP側が占領した都市ヘクスについては、VKK登場チェックの対象外にするといったハウスルールが必要だと思う。そうでなければ、WP軍の後続梯団は、VKKの再登場を避けるために、西ドイツの都市ヘクスを避けて通ることが必要になるのかもしれない(実はそういう効果を狙ってのことかもしれないが・・・)。

後日、Board Game Geek で確認した所、WP軍が一度占領した都市ヘクスはVKK登場チェックの対象外となるらしい。常識的な解釈が正しかったという訳だ。

あとは細かい話なのだが、何故か英国製のファントムに限って他国(米独)のファントムよりも著しく性能が落ちるとか、ミラージュF1Cには空戦能力があるのに、Mirage 2000Cには空戦能力がないとか、航空機の能力についても気なる点がある。

これについても Board Game Geek で確認した所、西ドイツ本土に配備されているFGR-2(英国製ファントム)は対地支援を主な任務としており制空戦闘は担当していない。だからこういうレーティングになったそうだ。ナルホドね。

そんなこんなで細かいレベルではいろいろ気になる点のある本作だが、細かいルールで1980年代の東西両陣営の戦いを描いた本作が魅力的なのは確かである。いつかキャンペーンシナリオを試してみたいと思う。

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