もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

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RedStorm_BA


以前に Red Storm - Baltic Approaches(以下、本作)のシナリオプレイを紹介した 。今回はその続き。シナリオ3「Clean Sweep」を紹介する。
このシナリオは、開戦初日の夕刻。バルト海へ機雷敷設任務に出動したデンマーク海軍に対し、WP側攻撃機が攻撃を加えるというものだ。WP側はできるだけ多数のデンマーク側揚陸艦の撃破を目指す。

登場兵力は、WP側が攻撃機16機、護衛戦闘機24機、SEAD機8機、偵察・哨戒機4機の計52機。そして海上部隊として対艦ミサイルを装備したオーサ型ミサイル艇2隻が登場する。
対するNATOは、デンマーク空軍のF-16 6機と、フリゲート艦3隻、機雷敷設艦8隻、さらに地対空ミサイル部隊が登場する。

Danish_F16


0Turn

RU_MiG27_KonevこのシナリオではNATO側の兵力は上記の通り固定されている。一方のWP側は大まかな編制は決まっているが、登場機種はランダム判定になる。判定の結果、護衛戦闘機はポーランド空軍のMiG-21bisとソ連空軍のMiG-23MLDが各12機、攻撃編隊はソ連空軍で、SEAD機はSu-24M、攻撃機はMiG-27Kとなった。Su-24MはKh-25MP(AS-10 Keren)対レーダーミサイル各2発を装備し、MiG-27KはEOGM(光学誘導ミサイル)を装備した。

Su24


1Turn

デンマーク空軍のF-16は、超低空に潜んで敵の探知を避けている。WP側は制空戦闘機24機を超低空飛行で先行させ、NATO側の戦闘機を狩り出そうとする。

2Turn

WP側戦闘機がNATOの防空ミサイル(Hawk-C)の射程圏内に入ってきた。SAMのレーダーがWP戦闘機を捉える。

Turn02


3Turn

PO_MiG21_Andersデンマークの首都コペンハーゲンを含むジーランド島(Zealand)。その南岸に展開するHawk地対空ミサイルが、接近するWP側戦闘機に対して複数のミサイルを発射した。しかしミサイルは目標を大きく逸れていく。ミサイル攻撃を受けたのはポーランド空軍のMiG-21bisの編隊。一旦は威力圏外に逃れるべく、針路を南に変じる。

Turn03


4Turn

NATO_TF1NATO側の戦闘艦艇もレーダーをOnにしてWP側戦闘機を追う。数発のRIM-7Mシースパローミサイルが発射されたが、これは目標に命中しなかった。先に反転したポーランド空軍のMiG-21の編隊が再び機首を翻してジーランド島に近づいていく。その間、マップ東端からは爆装したWP側攻撃編隊が続々と進入してきていた。

Turn04


5Turn

NATO_Hawk_31Hawkミサイルが再び発射され、今度はMiGを捉えた。1機のポーランド空軍MiG-21bisがHawkミサイルの至近弾を受けて炎上。墜落していく。この戦いでの最初の撃墜戦果になる。パイロットは脱出に失敗。機と運命を共にした。

Turn05


8Turn

WP側戦闘機隊がNATO艦隊の対空砲火を避けるために高高度に上昇する。そしてジーランド島に近づく。ドッグファイトが始まるのか・・・?

Turn08


9Turn

DN_F16_CravenWP側戦闘機2個編隊がジーランド島南端付近を飛行中のデンマーク空軍F-16編隊に対して強引に空戦を仕掛けた。しかし事前に目標の位置を把握していなかったため(Undetected状態)交戦に失敗。しかも低空に降下したことでジーランド島に展開するNATO軍自走対空砲の待ち伏せ攻撃を受けてしまう。ポーランド空軍のMiG-21bisはMANPADS(携帯式地対空ミサイルシステム)の直撃を受けて1機が撃墜。ソ連空軍のMiG-23MLDの小隊はレーダー照準の対空射撃を浴びて2機が被弾してしまう。その結果、ポーランド空軍、ソ連空軍の制空戦闘機各1個小隊が戦闘力を失って後退。WP側戦闘機戦力の1/3が一気に戦闘不能となる。

Turn09


一方、WP側攻撃隊はNATO艦隊に近づきつつあった。攻撃隊の先頭を飛行するTu-22M2海上偵察機は、搭載レーダーで艦隊前方に展開するデンマーク海軍のフリゲート艦Peder Skramを距離18海里で識別した。

Fregatten_Peder_Skram


10Turn

NATO側の増援編隊が登場してきた西ドイツ空軍のF-4Fファントムだ。残念ながら一番「外れ」だが(ファントム以外ならF-16Aだった)、まあNATOにとっては来ないよりは良い。

ZZ_SAMLaunchポーランド空軍のMiG-21bisが、距離10海里からデンマーク空軍のF-16A 2機編隊に対して攻撃を仕掛けようと降下を開始した。そこを狙っていたデンマーク海軍のフリゲート艦かRIM-7Mシースパロー艦対空ミサイルを発射。ミサイルはMiG-21の至近距離を通過して危うくMiGは回避した。しかしこの回避によってMiG-21は空対空戦闘を仕掛けるチャンスを逸した。

Turn10


ZZ_Radar_Identified先にデンマークフリゲート艦を捕捉したTu-22RD海上偵察機は、その後方にNATO艦隊の本命とも言うべき機雷敷設艦隊をレーダーで捕捉した。その情報は付近を航行中のオーサ級ミサイル艇に伝えられた。2隻のオーサ級は伝説的P-15U艦対艦ミサイル(SS-N-2スティックス)計8発をNATOの主力艦隊に目掛けて発射する。

P-15_Termit_missile


11Turn

RU_Tu22_YuriWP側の指揮混乱が発生し、このTurnにWP戦闘機は攻撃を仕掛けることができなくなった。この隙を突いてデンマーク空軍のF-16がソ連側攻撃本隊に襲いかかった。編隊の先頭を飛行するTu-22M2海上偵察機を捕捉したF-16はドッグファイトでこれを撃墜。しかしF-16の側もミサイルと機関砲弾を撃ち尽くし、戦闘能力を失う。

Tu22RD


12Turn

DN_F16_Craven別のF-16がソ連側攻撃隊に殴り込みをかける。MiG-27の1個編隊を目標とし、2機撃墜、1機撃破の戦果を挙げた。そのMiG編隊はミサイルを投棄して離脱を図る。

残ったMiG編隊は、次々と短距離ミサイルを発射し、NATO艦隊を攻撃する。12機のMiGが放ったミサイル攻撃により、Lindormen級小型敷設艦1隻が沈没。Falster級中型敷設艦1隻が中破、フリゲート艦Pader Skramが小破した。

Turn12


つづく

RedStorm_BA


「もし1987年初夏に第3次欧州大戦が勃発していたら」という仮想設定に基づき、東西ドイツ国境付近における航空戦を作戦戦術級で描いたRed Storm。このRed Storm - Baltic Approaches(以下、本作)は、Red Stormの追加オプションで、Red Stormにバルト海の戦場を追加する。

ゲームスケールは、Red Stormと同じく1Hex=2.5海里、1Turn=1分、1ユニット=1~4機の航空機。登場するのは、地域戦力として西ドイツ、デンマーク、ノルウェー、ポーランド、東ドイツ、スウェーデンが登場し、さらにソ連、イギリス、アメリカといったワールドパワーも登場する。面白い所としては、米海軍、海兵隊機が登場するが、特に米空母艦載機の登場は本シリーズでは第1作Down Town以来で、艦載機好きとしては嬉しい所だ。

バルト海の戦いなので、陸上目標以外に海上目標が登場する。登場するのはミサイル巡洋艦以下の水上戦闘艦と揚陸艦等で、水上戦闘艦は対空ミサイルや火砲で武装している。それに対して攻撃側は航空攻撃を仕掛ける訳だが、攻撃兵装としては通常爆弾、誘導爆弾等の他、空対艦ミサイルが登場する。さらに空対艦ミサイルを艦対空ミサイルで迎撃する場面もルール化されている。

という訳で今回は、本作最初のシナリオであるシナリオ1「Target Practice」をプレイしてみた。これは西ドイツの旧式駆逐艦に対する攻撃訓練を描いたもので、対艦ミサイルを搭載したトーネード4機と通常爆弾を搭載したトーネード4機が登場する。

TornadoIDS_GermanNavy


1Turn

西ドイツ海軍のトーネード編隊がユトランド半島のEggebek基地から発進する。最初に発進するのはコルモラン空対艦ミサイルを搭載したトーネード4機。搭載するミサイル火力は合計8火力である。ちなみに対艦ミサイル1火力は、恐らく1発の対艦ミサイルに相当すると思われるが、FA-18の搭載ミサイル数がHarpoon1発というのはやや合点がいかない所である。それでは1火力が対艦ミサイル2発に相当するのか?。しかしそれならシーハリアーの搭載ミサイルがシーイーグル4発になってしまうので、これもちょっと変。とにかくFA-18よりもシーハリアーの方がASM搭載能力が大きいというのが諸悪の根源だと思う。

Turn01

6Turn

先頭を飛行するトーネード編隊がレーダーで目標駆逐艦を捕捉した。距離20海里(8Hex)。コルモランの射程距離は15海里(6Hex)と短い。それに今回は敵の反撃もないので、距離10海里(4Hex)まで近づいてコルモラン対艦ミサイル計8発を発射した。

Turn06




7Turn

ミサイルを発射したトーネード編隊は上昇しつつミサイルの動きを追う。その後方から次のトーネード編隊が目標に近づく。8発のコルモランミサイルはほぼ全弾が命中。1隻は5発、別の1隻には3発が命中し、両艦とも沈没した。

Turn07




10Turn

訓練なので、状況を継続する。2隻の駆逐艦に対して今度は4機のトーネードが通常爆弾で攻撃する。2隻に対してそれぞれ4火力ずつで攻撃する。それぞれの駆逐艦には複数の爆弾が命中したが、両方とも撃沈するには至らず、2隻とも大破に留まった。

Turn10


感想

という訳でミッション終了である。勝利条件的には勝利したが、対艦ミサイルの命中精度と破壊力を考えれば、反撃してこない駆逐艦などはまさに「据物斬り」に等しい。やはりちゃんと「抵抗してくる敵」と戦ってみたい今日この頃である。

写真00


Red Storm(以下、本作)は、2019年に米国GMT社から発売されたシミュレーションゲームだ。テーマは1987年における東西ドイツ上空における航空戦闘で、所謂「第3次世界大戦モノ」のゲームだ。フルマップ2枚には東西ドイツ国境地帯のその周辺が描かれてい。マップの西端にはライン川が流れ、エッセン、デュッセルドルフ、ボン等が描かれている。マップ東端は東ドイツの都市エアフルト。南端はヴュルツブルク、北端はミュンスターあたりになる。1Hexは実際の2.5海里、1Turnは実際の1分間、1ユニットは1~4機の航空機を表している。

今回プレイするシナリオは、シナリオ6「Sanitized Corridors」(「消毒回廊」かな?)。シナリオの解説によると、NATO側の洗練されたSEAD戦術に対して、物量攻勢による対空制圧を本旨とするWP軍は、大量の対レーダーミサイル、チャフ散布、さらには遠隔ジャミングの組み合わせにより、「対空防御無力化地帯」の形成を試みる。それは幅50km、深さ200kmにも及ぶ巨大な回廊で、形勢された回廊を通過してWP側航空機はNATOの後方地域へ自由に攻撃が仕掛けられるようにすることが目的であった、とのこと。
そのためにWP側は、攻撃本隊だけで24機の長距離戦闘爆撃機を用意し、それを護衛する戦闘機が28機、対レーダーミサイルを搭載した大型SEAD機(TU-16Kバジャー)が8機、各種電子戦機(ジャミング、チャフ散布等)が7機、そして戦果確認のための偵察機が2機と、合計69機にも及ぶ大編隊を投入してきたのである。

Tu16


対するNATO側は、6個大隊のナイキ・ハーキュリーズ長距離地対空ミサイル、3個大隊のホークC中距離地対空ミサイル、そして僅か8機の戦闘機でこれを迎え撃つ。果たして「消毒回廊」の形成は成功するのか否か・・・。

Nike-Hercules


今回、私はNATO側を担当した。

本作で一番楽しくかつドキドキするのはセットアップである。特に登場する航空機を決める瞬間ほどドキドキするものはない。しかも重要度も大きい。例えばNATOの場合で言えば、自身の指揮する戦闘機が、最新鋭のF-15、F-16の場合と、旧式のF-104、F-5の場合、戦力がどれほど違ってくるか。考えなくてもその違いは理解できよう。

今回、迎撃側である我がNATO軍には、CAPにつく戦闘機が2隊4機、他に地上待機の戦闘機が2隊4機が登場する。攻撃するWP側航空戦力は戦爆連合約70機の大編隊。戦力的には些か寂しいが、最新鋭機が登場してくれれば何とかなる。
そう思ってダイスを振ったが、結果は今一つであった。
WG_F4_Otto戦闘機は西ドイツ空軍のF-4Fファントムが4機、英空軍のFGR2ファントムが4機。まさに「ファントム三昧」。しかし西ドイツ空軍のファントムは、何故がファントム最大の武器であるAIM-7スパローの運用能力がオミットされたモデル。何でドイツ人はこんな中途半端な機体を採用したのが。今さらながら意味不明である。

WG_F4F


NATO_Nike-Herc_13愚痴っていても始まらないので、取りあえず配置を続ける。今回の主役はどちらかといえばSAM。戦闘機は脇役と考えよう。そこでNATOとしては防空エリアを3分割し、前線直後の領域を「第1SAM防御帯」、その後方地域を「戦闘機防御帯」、さらにその後方の中核部分を「第2SAM防御帯」とした。そして第1SAM防御帯の主役はホークC地対空ミサイル部隊、第2SAM防御帯の主役はナイキ・ハーキュリーズ長距離地対空ミサイル部隊とした。

Map01


果たして、NATOの防御策は吉と出るか凶と出るか・・・。

WP_AF_U序盤、WP軍の攻撃隊はマップの北端沿いに進入してきた。NATO側としては些か厄介な展開である。というのも、WP側が広正面から侵攻してくれれば、敵の侵攻路を横切るように配備されたSAM部隊が全力発揮できる。しかし狭正面から侵攻されれば、SAMの一部が遊兵化してしまう。何とかして敵の戦争資源を消費させたい。幸い攻撃本隊以外の護衛やSEAD部隊は広く散開してきたので、主攻勢軸から外れたエリアのSAMは、SEAD機やCAP機に対して攻撃の姿勢を示した。敵がそちらに対SAM戦力を少しでも割いてくれれば良いと考えたためである。

Map02


RU_Tu16_Elena幸い敵はその手に乗ってきた。NATOのSAMがWP側のCAP機やSEAD機をレーダーで追尾する度にARM(対レーダーミサイル)を発射してNATOのSAMを制圧してきたのである。NATO側はARMが発射される度にレーダーをシャットダウンしてその攻撃を躱す。レーダーシャットダウンしている間はSAMは敵機を追跡できないが、ARMが着弾した後は再びレーダーのスイッチをオンにできる。敵SEAD機のARMは数に限りがあるので、これを繰り返せばいつか弾切れを起こすはずだ。

写真01


その間、NATOの要撃戦闘機は超低空飛行で敵のレーダー探知を避けていた。超低空飛行ではレーダーに探知される可能性が著しく小さくなることに加え、NATO機の場合Turn終了時に超低空にいるとレーダー探知が自動的に解除されるという特徴がある。そのためTurnが進むにつれてWP側編隊は次々と発見されたが、NATOの戦闘機は非発見状態を維持していた。

UK_F4M


NATOが狙っていたのは、WP側のSEAD機が爆撃編隊のような「高価値目標」をCAP機で撃破すること。そのためには敵の護衛戦闘機を避けて何とか「高価値目標」に肉薄したい。とはいえ、WP側も簡単にはNATOの戦闘機を近づけさせてはくれない。両プレイヤーの丁々発止の駆け引きが続く。

NATO側が勝負に出たのは、第7Turnのことであった。これまで超低空飛行を続けていた戦闘機隊のうち、英空軍のFGR,2ファントム2個編隊計4機をズーム上昇で中高度に占位させ、その攻撃圏内にWP側高価値目標を捉えようとしたのである。

写真02


次のTurnに主導権を取った方が勝つ。

RU_MiG29_Stepanovそして運命の第8Turn。主導権を取ったのはWP側だった。上昇することによって姿を晒した英空軍のファントム隊に対し、ソ連空軍最新鋭のMiG-29フルクラムが襲い掛かる。R-27中距離ミサイルの攻撃を辛くも躱したファントム隊だったが、続いて突入してきたフルクラムとの激しいドッグファイトに巻き込まれてしまった。練度では勝る英空軍パイロット達であったが、機体の性能差は如何ともし難く、1機のファントムが撃墜されてしまう。

さらに別の空域では、MiG-23フロッガーの編隊が西ドイツ軍F-4Fファントムを低空格闘戦に巻き込み、ファントム1機を撃墜する。フロッガーは1機が被弾したのみである。

UK_F4_AxeNATOも一矢を報いる。生き残ったFGR.2の別編隊がソ連軍のTu-16バジャーの編隊にSkyFrash空対空ミサイルによるBVR攻撃を仕掛けたのである。ミサイルは惜しくも外れたが、突然の攻撃に驚いたTu-16バジャーの編隊は、搭載していたARM全弾を投棄して逃げていった。このバジャー隊は、後にHawk地対空ミサイルの攻撃を受けて1機を失っている。

その後の展開は、NATOのSAM部隊とWP軍SEAD部隊との交戦。その隙を狙って西ドイツ空軍のファントムが高価値目標を狙う。それを阻まんとするWP側のMiG-23、MiG-29戦闘機。最後は西ドイツのファントムがチャフ散布中のMiG-23を捕捉。ドッグファイトの末、AIM-9Lの攻撃で1機を撃墜した。

写真03


感想

今回のプレイは、11Turnで終了した。WP側の編隊は攻撃航程の半ばぐらいであり、目標まではまだまだ遠い。ただしNATO側の戦闘機は、約半数が戦闘能力を失っている状況なので、この先はSAM部隊とWP側攻撃隊との交戦になるだろう。ちなみにWP側のSEAD部隊は2部隊あったが、1部隊は先述した通りNATO戦闘機の迎撃を受けて撤退。もう1部隊は搭載しているARMを全弾撃ち尽くしたため、これまた撤退中であった。従ってこの後のWP軍はSEAD機の援護を欠いた状態で目標に向けて侵攻する必要があるので、苦戦を強いられることが予想される。

ちなみに今回のプレイ時間はセットアップも含めて7~8時間。それも事前にNATO側の初期配置は準備していての時間である。今回はWP側が敵中奥深くに侵攻するシナリオだったので時間がかかったが、例えばシナリオ3のように最前線を爆撃するだけのシナリオならもう少し短時間でプレイできただろう。今回のような1日だけの例会なら、シナリオ3の方が良かったかも知れない。

まあそうはいってもRedStormはやはり面白い。機会を見つけて再戦したい作品の1つである。

ちなみに、今回プレイしたのは、こんな場所でした。

写真04
写真05



bwn_boxv4


Blue Water Navy(以下、本作)は、米Compass Games社が2019年に発売したシミュレーションゲームだ。テーマは1980年代における西半球全域を舞台とした米ソ両陣営の海上戦闘である。実際には起こらなかった第3次世界大戦を扱った仮想戦ゲームだ。

本作の概要については、以下の動画でも示されているので、参照されたい。





以前に1983年キャンペーンシナリオの対人戦を紹介したことがあった。 そこで今回は、1989年キャンペーンシナリオをプレイしてみた。動員状況は「戦術的奇襲」を選択し、私はNATO側を担当した。プレイスタイルはVASSALによるオンライン対戦である。

前回までの展開は --> こちら

2日目(つづき)

US_CV_Kennedy一方、英本土西方海域に接近してきたNATOの大機動部隊はノルウェー海を遊弋しているソ連北方艦隊に対して大規模攻撃(アルファ・ストライク)を敢行した。ソ連北方艦隊はソ連初の本格空母「アドミラル・クズネツォフ」を初め、軽空母「ミンスク」、重打撃巡洋艦「カリーニン」といった錚々たるメンバーがそろっており、護衛艦艇も約20隻(3ユニット)を有していた。
対するNATO機動部隊。米英の空母5隻の他、護衛艦艇は約50隻(7ユニット)にも及び、兵力的にはソ連側を圧倒していた。4隻の米空母からは4個空母航空団のうち、攻撃隊は全力投入、護衛戦闘機(F-14)は半数の2個戦隊を投入した。護衛戦闘機の残り半数は自艦隊艦隊防空用に温存する。ソ連軍は基地航空隊のMiG-31フォックスハウンドを艦隊防空に回し、さらに「クズネツォフ」「ミンスク」の艦載戦闘機も迎撃に投入する。戦闘機同士による激しい戦いでソ連側迎撃戦闘機を一掃した米攻撃隊であったが、その代償として護衛のF-14トムキャット2個戦隊も壊滅してしまう。
攻撃隊主力は無傷でソ連艦隊上空に進入。200発近い対艦ミサイルを発射する。ソ連艦隊の対空砲火もまた熾烈で、対艦ミサイルの80%近くが撃墜されたり逸らされたりしたが、それでも約40発のハープーン対艦ミサイルがソ連艦隊に殺到した。護衛艦艇の数隻がミサイルを食らって轟沈。空母「アドミラル・クズネツォフ」にも数発の対艦ミサイルが命中して大破してしまう。

Turn01e


SO_FTR_MiG31今度はソ連側の反撃である。英本土西方海域に展開するNATO大機動部隊に対してTu-22バックファイア2個戦隊、Tu-95ベアG1個戦隊を投入する。護衛は空中給油によって航続距離を延伸したMiG-31フォックスハウンドである。
ソ連側護衛戦闘機は奮戦し、F-14トムキャット1個戦隊を道連れにして壊滅。これによって米空母に残るF-14トムキャットは1個戦隊にまで減少した。そのためにソ連側爆撃隊は無傷でNATO機動部隊上空に進入。合計144発の対艦ミサイルを発射した。
小説「レッドストームライジング」の再現だが、小説の場面とは異なりNATO艦隊の対空火力は強力であった。空母を分散させずに局所集中したため、護衛兵力が分散しなかったことが功を奏した形である。ソ連側の放った対艦ミサイルはその大半がSAMによって撃墜され、防空網を突破した数発にミサイルもその悉くがCIWSや火砲によって始末された。

Turn01f


3日目

NATO_TF_Hammerソ連軍はなおも米空母に対して攻撃を仕掛けていく。今度は護衛なしの裸の攻撃隊。Tu-22バックファイア1.5個戦隊、Tu-95ベアG2個戦隊を投入する。米空母のF-14トムキャット、英空母のシーハリアーが必死に迎撃する。バックファイアとベアの各0.5個戦隊を撃墜したが、ミサイルの発射を阻止することはできなかった。約170発と前回を上回る数の対艦ミサイルがNATOの機動部隊を襲う。しかしNATO側の対空ミサイルが再び大活躍。結局ソ連側対艦ミサイルの全てがNATO側防空網に阻まれた。

Turn02a


US_STK_A6_SNATO機動部隊の反撃。4隻の米空母から再び攻撃隊が発進する。目標はノルウェー海に浮かぶソ連艦隊。最早ソ連側防空戦闘機の姿はなく、米空母艦載機は再び約200発の対艦ミサイルがソ連艦隊を襲う。対艦ミサイルが次々とソ連艦に命中する。重打撃巡洋艦「カリーニン」が数発のミサイルを食らって轟沈。軽空母「ミンスク」にもミサイルが命中して大破。残りの護衛艦艇も次々と命中弾を受けて沈没していく。攻撃が終わった時、洋上に残っていたのは大破した空母「アドミラル・クズネツォフ」と軽空母「キエフ」、そして数隻の駆逐艦だけであった。

SO_SS_Foxtrotその後米攻撃原潜の攻撃によってソ連艦隊は護衛の駆逐艦が全滅。「クズネツォフ」「キエフ」の2艦のみが這う這うの体でバレンツ海へ撤退していく。一方、米艦隊に対しては勇敢なソ連海軍フォクストロット型潜水艦が接近。防御スクリーンの間隙を抜いて魚雷攻撃を敢行。護衛艦艇数隻を撃沈破し、一矢を報いた。

ソ連艦隊がバレンツ海へ撤退。米空母群はそれを深追いせず、英本土西方海域に留まったまま、ノルウェー中部オーランド飛行場を襲撃した。護衛のF-14が迎撃戦闘機MiG-25を一撃で粉砕。4個空母航空団による爆撃はオーランド飛行場を瞬時にして灰燼に帰し、同基地に進出していたソ連海軍航空隊の爆撃2個戦隊は基地と運命を共にした。

Turn02b


目を米本土西岸に向けると、米対潜部隊が第1撃用のソ連SSBNを追い回し、さらに1ステップロスの被害を与えていた。これにより米本土東岸沖に展開するソ連SSBNのペイロード値は4ポイントに減少し、そのためにFSP(第1撃ポイント)の蓄積が困難になっている。

Turn02c


WG_SS_Type206そしてバルト海。ソ連にとっては内海といって良いバルト海方面であったが、同方面には強力な西ドイツ海軍のUボート部隊が展開しており、ソ連軍にとって容易な戦場ではない。デンマーク制圧を目指すソ連バルチック艦隊は、潜水艦を先頭に仕立ててバルト海に出撃する。西ドイツのUボート部隊がそれを迎撃。潜水艦同士の激しい戦いが行われるが、両軍ともまだ戦果・損害はない。 ポイント)の蓄積が困難になっている。

Turn02d


感想

時間の関係で今回はここで終了となった。全12Turnのシナリオだが、今回は僅か1.5Turnしかプレイできなかった。ちなみにここまでの所要時間は約7時間(昼食休憩除く)である。 前回 よりはペースアップしたが、それでもまだまだ時間がかかる。
今回は前回気づかなかったいくつかのポイントを知ることができた。1つは戦略核戦略。米本土東岸に布陣するソ連SSBNの重要性とその影響度について理解を深めることができた。またヨーロッパにおける陸上戦闘の伸展とそれに対する影響の与え方についても理解できた。
また今回1989年シナリオをプレイしたが、このシナリオは両軍ともやや戦力がインフレ気味であり、大味な展開であったことは否めない。次回は未だプレイしていない1985年シナリオをプレイしてみよう。
という訳で例によって次のプレイが楽しみである。

admiral_kuznetsov



bwn_boxv4

Blue Water Navy(以下、本作)は、米Compass Games社が2019年に発売したシミュレーションゲームだ。テーマは1980年代における西半球全域を舞台とした米ソ両陣営の海上戦闘である。実際には起こらなかった第3次世界大戦を扱った仮想戦ゲームだ。

本作の概要については、以下の動画でも示されているので、参照されたい。



以前に1983年キャンペーンシナリオの対人戦を紹介したことがあった。 そこで今回は、1989年キャンペーンシナリオをプレイしてみた。動員状況は「戦術的奇襲」を選択し、私はNATO側を担当した。プレイスタイルはVASSALによるオンライン対戦である。

Turn00b


Turn00a


1日目

SO_CV_Kuznetsovソ連軍は序盤から大胆な手を打ってきた。空母や打撃巡洋艦を含む強力な艦隊に守られた上陸船団をノルウェー海へ進めてきたのである。



「ノルウェーは我らの海」

だと思っていたNATOは慌てる。直ちに空母部隊を送り込んでソ連艦隊を叩きたい所だが、そのためには米空母部隊を英本土近海に進出させなければならなくなる。しかし英本土近海はソ連海軍自慢のバックファイア爆撃機の攻撃範囲内になる。中途半端な兵力でバックファイタの爆撃圏内に入ってしまうと、それこそ小説「レッドストームライジング」の世界になってしまう。
とにかく空母戦力を集結させて打撃力を強化した上でソ連艦隊に挑戦すべく、米英艦隊を大西洋で集結させる。米海軍の大型空母が米第2艦隊所属の「エンタープライズ」と「アメリカ」、そしてジブラルタルから出撃してきた米第6艦隊所属の「J.F.ケネディ」と「キティホーク」、そして英海軍の軽空母「イラストリアス」。合計5隻の空母が1ヶ所に集結する様はさぞ壮観な眺めであろう。他にスペイン海軍の旧式軽空母「デタロ」もいたが、この艦は輸送船団の直衛任務に回した。

CV-67_USS_Kennedy


なぜここまで極端に空母兵力の集中配備に拘るのか、といえば、本作の対艦ミサイル戦闘システムに起因している。本作での対艦ミサイルは極めて命中率が高く、一度狙われたら空母でもミサイル巡洋艦でも「座り込んだアヒル」同様になる。それに対抗するためには戦闘機でミサイル母機を発射前に叩き落すか、対艦ミサイル自体を自艦隊のSAM(艦対空ミサイル)で叩き落すしかない。いずれの場合でも迎撃戦力を集中して全ての敵対艦ミサイルを叩き落すのが鉄則。撃ち漏らしは絶対に許されない。そのためにも過剰とも思える防空戦力を集中し、水も漏らさぬ布陣の敷く。この兵力集中は後の戦いで正しさを証明することになるのだが、ハテサテ・・・。

何はともあれ空母戦力の集中に努めるNATO艦隊だが、その分対応が一歩遅れたことは否めない。ソ連軍はNATO側空母が姿を現す前にノルウェーを支配せんと準備を進めている。

Turn01a


US_MP_P3_Lajos英本土周辺から西ヨーロッパ近海に目を向けてみよう。ソ連側はまず英本土のNATO航空戦力を制圧すべく巡航ミサイル攻撃を仕掛けてきた。巡航ミサイルが命中して英本土のNATO飛行場は一時的に使用不能となる。
引き続いてポルトガル近海に潜伏中のソ連潜水艦がジブラルタルのNATO軍基地に巡航ミサイル攻撃を仕掛けた。しかし巡航ミサイルを発射すべく浮上したエコー型巡航ミサイル原潜は、同海域を哨戒中であった米海軍のP-3Cオライオン哨戒機の発見する所となり、ハープーンミサイルの攻撃を受けてしまう。対艦ミサイルとして有名なハープーンミサイルは、元々は浮上してきたソ連潜水艦を「早撃ち」で撃破するために開発された「捕鯨銛」である。ここでは当初の開発目的通りの活躍を見せたことになる。

Turn01b


SO_SSBN_Yankee米本土東岸地区では、先制第一撃を狙うソ連海軍のヤンキー型旧式SSBN(弾道ミサイル原潜)と、それを追う米海軍対潜部隊の戦いが繰り広げられている。米海軍としては喉元に短剣を突き付けられた格好なので、何とか短剣を始末したい。そんなこんなで対潜哨戒機と攻撃型原潜で「ブーマー」狩りに精を出す米海軍。しかしこのTurnにはヤンキー型SSBN1ステップと護衛のヤンキー改型SSN1ステップを撃破したにとどまった。

ここで本作におけるSSBN(弾道ミサイル原潜)の役割について整理しておきたい。本作に登場するSSBNは、全てソ連軍のものである。NATO側のSSBN(米英仏)は登場しない(間接的な形で登場する)。
ソ連側SSBNの役割は2つある。
1つは「第1撃ポイント」の獲得。米本土近海のFirst Strikeと書かれているエリアに6ポイント以上のペイロード値を保持していると、ソ連軍プレイヤーは「第1撃ポイント」を獲得する。ソ連軍プレイヤーが第1撃ポイントを多く蓄えると、例えば「洋上での核兵器使用」というような悪事に手を染めることができるようになる。従ってNATO側としては第1撃ポイントの蓄積を何としても止めなければならない。ゲーム開始時にソ連軍が米本土近海に8ポイント分のペイロード値を有しているので、NATO側としては速やかに4ポイント分のSSBNを撃沈しておきたい所である。
2つ目はソ連側にとって不利な影響となるが、ソ連側の政治安定度を悪化させる引き金となる。失われたペイロード値が増えてくると、ソ連側政治安定度が悪化する可能性が高まる。最悪の場合、共産党政権が崩壊したり、もっと酷い場合は自暴自棄となって全面核戦争を引き起こし、全世界を巻き添えにして滅んでしまうこともある。前者はとにかく、後者は困ったものである。


Turn01c


2日目

SO_Amphibs中部大西洋で集結を完了した米英連合機動部隊(空母5隻基幹)が英本土近海を目指す。英本土近海からノルウェー海で上陸作戦準備中のソ連北方艦隊に対して大空襲を加える予定だ。しかし果たして間に合うか。その間にもソ連艦隊はノルウェーへの上陸を目指している。
で、結局ソ連軍がオスロに上陸するのが早かった。ノルウェー軍の抵抗も空しくソ連軍はノルウェーの首都オスロを占領。ノルウェー政府は呆気なく崩壊してしまう。

Turn01d


と、後で振り返ると、この時ノルウェー陥落としたのは間違いであった。ソ連軍が上陸できるのは中部ノルウェーのオーランドであってオスロではない。オスロとオーランドがマップ上で近接しているので早とちりしてしまったが、ノルウェーはもう少し粘れる筈であった。

つづく

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