もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

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Blue Water Navy(以下、本作)は、米Compass Games社が2019年に発売したシミュレーションゲームだ。テーマは1980年代における西半球全域を舞台とした米ソ両陣営の海上戦闘である。実際のは起こらなかった第3次世界大戦を扱った仮想戦ゲームだ。

本作については、以下の紹介動画も参考にされたい。




前回までの展開 --> こちら

5Turn(開戦9-10日目)

NATO_Convoy 米本土から大船団が進発する。3個船団約150隻の大船団だ。
ニューヨーク沖に集結した船団は東へ進み、バミューダ近海で空母「アメリカ」を主力とする機動部隊と合同する。ソ連側はこの船団をマークし、2機のRORSAT(海洋監視衛星)を船団針路上に配置し、その動きを探った。しかし空母が護衛している船団は容易に攻撃することができず、ソ連軍はこの大物を目の前に攻撃を逡巡する。

地中海では、米空母3隻からなる地中海艦隊がワルシャワ条約機構軍の南翼に対する攻撃を続行。さらに12ヒットを与えた。これによりヨーロッパから南部からのワルシャワ条約機構軍による進撃はほぼストップした。任務を終了した米機動部隊はジブラルタル海峡を西へ抜けてフランス沿岸を目指す。

SO_SSN_Alfa北大西洋ではソ連潜水艦が本格的な攻勢を仕掛けてきた。多数の原潜部隊がGIUKラインを突破し、アイスランド西方海域になだれ込んだ。それに対して米英の原潜部隊も激しい抵抗。潜水艦同士の格闘戦が戦われた。その過程で英国弾道ミサイル潜水艦「レナウン」がアイスランド西方海域でソ連海軍アルファ型潜水艦の攻撃を受けて撃沈されてしまった。ソ連側にとっては思わぬ大金星であり、NATOにとっては自軍の核戦力に大きな穴を開ける損害であった。

Turn06a


Turn終了時の戦争状況判定では、ソ連が前進できたのはノルウェーのみ。
デンマークではソ連指導部の混乱によって前進ストップ。中央戦線ではNATOが西ドイツ海軍航空隊のトーネード部隊を対地支援任務へ投入したためハンブルグの線でストップ。南欧戦線では米空母艦載機による連日の爆撃によっで前進再開の目途が立っていない。

しかしデンマーク海峡の機雷源は完全に啓開された。これにより英仏海峡にソ連海軍高速ミサイルボートが殺到することになる。

Nanuchka_Class


なお、先の英SSBN「レナウン」の撃沈によってソ連軍は第1撃ポイント2ポイントを得た。もう1ポイント得れば海上戦で戦術核弾頭を使用できるようになる。

HMS_Renown_SSBN




6Turn(開戦11-12日目)

SO_SSGN_Oscar大西洋への突破を果たした一部のソ連原潜部隊は、フランスに入港するNATOの大船団を襲う。しかしNATO側の対潜防御は強固であり、ソ連原潜部隊は目的を達することなく次々とNATO対潜部隊の餌食になっていく。最新鋭のオスカー型SSGNも、最強のヴィクター3型SSNもしかり。結局Turn終了時点までに大西洋におけるソ連原潜部隊は完全に一掃されてしまい、生き残った僅かな部隊がGIUKギャップを超えてバレンツ海へ引き上げていった。

SO_TROOPS2フランスの港にNATOの増援部隊が続々と到着する。空母2隻という圧倒的な護衛兵力に護衛された200隻以上の大輸送船団だ。船団のうち約100隻は途中で分離し、英空母「イラストリアス」に掩護されつつ地中海方面へ向かったが、残る100隻以上がブレスト、サンナゼール、シェルブールといったフランス西部の港湾へ入港し、NATOの大部隊を欧州大陸に送り込んだ。
増援部隊の到着を受けてNATO軍は西ドイツ領内で大規模な反撃を実施した(イベントカードによる反撃)。これによりNATO軍はハンブルグを奪回し、ソ連軍を東へ押し返した。
ソ連軍も黙っていない。遂に禁断の化学兵器を全戦線に渡って使用した(イベントカードによる)。NATO部隊は恐慌状態に陥り、ソ連軍は各戦線で前進を果たした。

NATO_TF_Hammerフランスでの揚陸作業を終えた米空母群は、地中海から戻ってきた空母群と合流。栄光のTF(Task Force) Hammerは再び空母4隻体制となってフランス沿岸を離れていった。目指すは北海。さらにはその奥のノルウェー海である。ノルウェー、デンマーク戦線を支えるNATO部隊を掩護するためだ。北海に進出したTF Hammerは、ノルウェーへ大規模な攻撃隊を送り込み、早くも7ヒットを与えてソ連軍の南下をストップさせた。

Turn終了時の戦争状況判定では、ソ連の前進は全戦線で停止した。

Turn06a

7Turn(開戦13-14日目)

米本土からF-15イーグル1個飛行隊が英本土に飛来し、ルーカーズ空軍基地に配備された。
SO_SS_Foxtrot北海に進出した米海軍空母機動部隊TF Hammerは、有力な揚陸部隊を伴って北を目指していた。目標はノルウェー中部トロントヘイム。それに対してソ連軍もありとあらゆる手段でその妨害を試みた。
最初に攻撃をしてきたのは、バルト海艦隊に所属するソ連海軍ディーゼル潜水艦である。デンマーク海峡の機雷源が突破されたため、大量の潜水艦がTF Hammerを襲う。NATO側もそのことを予測して潜水艦や哨戒機による哨戒網を張り巡らしていたし、TF Hammer自身も強力な対潜部隊を随伴していた。しかしソ連潜水艦もまた勇敢だった。NATOの対潜戦闘によって何隻もの潜水艦が犠牲になっても、友軍の屍を乗り越えて攻撃を繰り返す。この一連の攻撃でソ連側は約5ステップ(10~15隻)の潜水艦を失ったが、TF Hammerも護衛艦艇数隻が撃沈破された他、揚陸部隊が大損害を被り、ノルウェーへの逆上陸は困難な状況になった。そのためNATOはノルウェー逆上陸を諦め、この部隊をデンマーク戦線に投入した。デンマーク戦線で進撃を続けていたソ連海軍海兵師団とポーランド軍海兵師団は、米英の海兵部隊の攻撃を受けて壊滅した。

Turn07a


US_FTR_F14_Kenソ連海軍航空隊も最後の攻撃をTF Hammerに対して実施した。航続距離の関係上戦闘機の随伴はなしで、Tu22バックファイア1.5戦隊、Tu16バジャーG1個戦隊。計60機の攻撃隊だ。搭載する対艦ミサイルは計120発。
ソ連側攻撃隊は、デンマーク海峡でデンマーク空軍のF-16戦闘機、さらに北海上空でフランス空軍のミラージュ戦闘機の迎撃を受けてバジャー約12機を失った。さらに進撃を続けるソ連軍攻撃隊に対して空母搭載のF-14が迎撃する。ミサイル発射前にバックファイア24機が撃墜され、残り24機。発射した対艦ミサイルは48発。そのうち8発はF-14トムキャットのフェニックスミサイルによって撃墜され、残り40発はTF Hammerの対空ミサイルによって全て叩き落されてしまう。さらに攻撃後にバジャー12機が撃墜され、生き残ったのはバックファイア12機に過ぎなかった。

ここで終了

この時点で概ね展開が見えて来たので、終了とした。今後の展開を予想すると、ソ連側はは中欧であと1マスぐらい前進できるか否かぐらい、南欧は完全にストップ。ノルウェーも米空母が航空攻撃をもう1度行うだけで進撃は完全に止まるだろう。デンマークはNATOの逆上陸によってソ連側戦力を一掃されてしまった。
ワルシャワ条約機構軍の最終的にな到達地点は、ノルウェーはボード/トロントヘイムまで、中欧はハンブルグ又はブレーメン、南欧はイタリアのボローニャであった。

Turn07b


感想

今回はソ連側は北方重視でかなり極端な兵力集中を行ったが、あまり良策ではなかったように思う。広範に兵力をばら撒き、NATO側の弱点を突くという展開が良いと思う(いわゆる「間接アプローチ」)。最初から米空母撃破を狙っても、主導権が相手側にあるから上手くいかない(そもそも米空母が攻撃圏内に入ってこなければ攻撃できない)。米空母撃破についても、ソ連側の広域攻撃に対抗すべく米空母が散開した時を狙って実施するのが良いと思う。
極端な集中配備のしわ寄せはバルト海作戦や地中海作戦に響いてしまった。例えばキエフ級空母のうち1隻をバルト海方面に展開させていれば、デンマーク侵攻はもう少し順調に進んだと思う。さらに言えば、北方海域で殆ど役に立たず徒にアメリカンカーボーイズ(米攻撃型原潜群)の好餌となってしまったソ連原潜群については、バルト海や地中海に分散配備することでNATO側にプレッシャーをかけることが可能であった。


NATO側に関して言えば、序盤に米本土東岸沖のヤンキー型SSBNを掃討するのは正解だと思う。また船団は小出しにせずある程度まとめて出港させるのがベストだろう。小さな船団を少しずつ出港させてもソ連側長距離爆撃機や潜水艦の餌食となるだけである。それよりも米空母でガッチリと守った大船団を一気に欧州戦線に投入した方が良策ではないだろうか。

いずれにしてもBlue Water Navyは面白い。現在海戦を扱ったゲームとしては、Fleetシリーズ以来久々の傑作ゲームである、というのはあくまでも個人の感想です。

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おわり

Blue Water Navy(以下、本作)は、米Compass Games社が2019年に発売したシミュレーションゲームだ。テーマは1980年代における西半球全域を舞台とした米ソ両陣営の海上戦闘である。実際のは起こらなかった第3次世界大戦を扱った仮想戦ゲームだ。

本作については、以下の紹介動画も参考にされたい。




前回までの展開 --> こちら

3Turn前半(開戦5日目)

NATO_Convoyソ連側は12OPを使用。NATOは15OPに加えて"White Cloud"Whiteを利用して実に計19OPSを獲得した。

このTURN、NATO側に米空母2隻を含む大規模な増援部隊が到着する、NATO側はそれらの増援部隊と大輸送船団でTask Forceを編成。大西洋を一気に押し渡ってヨーロッパへ大兵力を海輸する寸法だ。
ソ連側はこの大船団にはとても手出しできないので、その前方を航走中の小規模な船団を狙った。こちらはオランダの小規模な水上部隊が護衛しているだけである。最初にキューバを発進したTu95ベアDがレーダー捜索でこの船団を発見。それに対してキューバに再展開していたTu22バックファイアの半個戦隊とコラ半島から長躯飛来してきたTu95ベアGの半個戦隊がミサイル攻撃を仕掛けた。個々のミサイル攻撃はせいぜい対艦ミサイル20~30発程度の比較的小規模なものであったが、小規模艦隊の防空能力では手に余る存在であった。護衛のオランダ艦隊は全て撃沈破され、護衛が裸になった所に、船団も半数近くにあたる20隻以上が対艦ミサイルを食らって大破炎上していた。

Turn03a


SO_SS_Kiroビスゲー湾では、欧州大陸を目の前にしたNATO輸送船団を凄腕のキロ型潜水艦隊が襲う。NATO対潜部隊の防御スクリーンを巧みに突破したウルフパックは、船団に大損害を与えた。護衛艦艇数隻も撃沈破され、しかもキロ型は怒りに燃えるNATO対潜部隊の報復攻撃を逃れて海中深く姿を消した。

Turn03b


3Turn後半(開戦6日目)

NATO_Patriot_SAM両軍とも12OPを使用。持ち点も共に14OPとなった。

ソ連軍は再びデンマークへの攻勢を仕掛けるべく、Tu16Gバジャー2ユニットでミサイル攻撃を仕掛けた。しかしデンマーク周辺に配備されたパトリオット地対空ミサイル部隊が威力を発揮し、飛来してきたソ連ミサイルの大半を撃ち落とした。レイセオン社大喜び。

IT_FTR_F104地中海ではNATO側最初の増援船団が、英空母「イラストリアス」等に護衛されながら南フランスのツーロンに近づいていた。それに対して地中海方面のソ連軍は、何とか一矢を報いるべく、シリアから対艦ミサイルを装備したTu16バジャー1個戦隊(24機)を発進させる。しかし護衛の伴わないバジャー編隊は、西地中海に入る手前で上空哨戒中のイタリア空軍F104戦闘機の迎撃を受けて半数を損失。残りは果敢に突撃を続けたが、急報を受けて発進した「イラストリアス」搭載のシーハリアーが、残りのバジャー全機を撃墜し、対艦ミサイルの発射を許さなかった。これによりソ連側は地中海方面で唯一使用可能な長距離爆撃戦力を失ったことになる。

Turn03c


Turn終了時の戦争状況判定では、ノルウェーと中欧でソ連軍が1歩ずつ前進。ノルウェー 中欧とノルウェーで進撃。中欧ではソ連軍はハノーヴァーを占領。ノルウェーではナルヴィク/ボード―を占領した。

4Turn(開戦7-8日目)

SO_STK_Tu16ソ連軍に増援の2個の揚陸部隊が到着した。ソ連側はその全てをバルト海方面に投入し、デンマークへの追加進攻を企図した。まずエスビアウの西ドイツ海軍トーネード隊を制圧すべくバジャー2個戦隊で巡航ミサイル攻撃を仕掛けた。前回は活躍したエスビアウ付近に展開するパトリオット地対空ミサイル部隊は、今度は迎撃に失敗。バジャーの放った巡航ミサイルはエスビアウ周辺の航空基地や港湾に落下し、西ドイツ海軍のアトランティック哨戒機1ユニットを道ずれにして基地機能を制圧した。

NO_SS_Kobbeソ連軍は頃合い良しと見て揚陸部隊をバルト海へ出撃させた。護衛は僅かにクリバック型フリゲート艦数隻と上空哨戒にあたるIl38メイ哨戒機である。如何にも守りが手薄だが、そこは物量攻勢で乗り切る構えである。
NATO側は"NATOの柔軟性"カードを使用してボーナス5OPを獲得し、それによって潜水艦による波状攻撃を仕掛けた。この攻撃によって投入された潜水艦は、ノルウェー、デンマーク、英、西独、オランダ1ユニットの計5ユニット。それがあらゆる方向からソ連軍バルト海侵攻船団を攻撃した。護衛のクリバック型フリゲート艦隊は瞬く間に蹴散らされた。100隻以上の大船団はそれでもNATO潜水艦群の攻撃を耐え続けたが、大型揚陸艦は悉く撃沈され、中小型の揚陸艦艇もその大半が撃沈破されるに及び、揚陸部隊は撤退を開始。こうしてソ連軍による第2次バルト海侵攻作戦は失敗に終わった。

Turn04a


US_FTR_F14_Ken米空母3隻からなる機動部隊が中部地中海へ進入する。ソ連地中海艦隊ではそれに対抗する術がなかった。米空母艦載機は欧州南翼を進むワルシャワ条約機構軍に対して3度に渡る航空総攻撃を実施した。出目に恵まれず結果は合計7ヒットに留まったが、それでもワルシャワ条約機構軍を約4日間足止めにする効果はあった。米側の損害は空母「キティホーク」の攻撃機が数機撃墜されただけであった。

Turn04b


大西洋に目を向けると、現時点でソ連はGIUKギャップの西側に有力な原潜部隊を持っていない(一掃されてしまった)。そこで速やかにGIUKラインを突破し、有力な原潜部隊を大西洋に押し出す必要がある。
そこでまずソ連軍はアイスランドに目を向けた。スペツナズの特殊部隊を投入してアイスランドのNATO軍事施設を急襲した。これによりケフラヴィーク飛行場に駐留するF-15部隊が大損害を被った。これによりアイスランド東方の防空網に穴が開く。機を逃さずコラ半島から発進したソ連長距離爆撃機がアイスランドに対して連続した巡航ミサイル攻撃を仕掛けた。これによりアイスランドの各基地は大損害を被り、基地機能を損失した。

Turn04c


Turn終了時の戦争状況判定では、まずソ連軍はデンマークに奇襲上陸を敢行(イベントカード)。これによりデンマーク侵攻軍の戦力が1段階アップした。
ノルウェーではNATO側がイベントカードを使用したので進撃ストップ。デンマークでは増援を得たソ連軍が2歩前進。デンマーク海峡を指呼の下に収める地点にまで到達した。直ちに機雷除去作業を開始。成功率は30%に過ぎなかったが、見事に機雷除去作業に成功し、機雷レベルを1レベル低下させた。あと1レベル低下すれば、デンマーク海峡の機雷は完全に除去されてデンマーク海峡は突破されてしまう。

中欧ではソ連軍が一歩前進。ハンブルグを占領した。南欧では米空母艦載機による攻撃が奏功してワルシャワ軍の進撃はストップしている。

Turn04d


つづく

Blue Water Navy(以下、本作)は、米Compass Games社が2019年に発売したシミュレーションゲームだ。テーマは1980年代における西半球全域を舞台とした米ソ両陣営の海上戦闘である。実際のは起こらなかった第3次世界大戦を扱った仮想戦ゲームだ。
今回、VASSALによるソロプレイにチャレンジしてみることにした


本作については、以下の紹介動画も参考にされたい。



こちら

2Turn前半(開戦3日目)

このTurn、ソ連軍の増援として揚陸船団が登場する。コラ半島かバルト海に配置可能だが、次のTurnにノルウェー方面にソ連軍のTroops(地上部隊)が登場するので、揚陸船団はバルト海方面へ回すことにした。

SO_SS_Foxtrot 両軍とも15OPを投入した。ソ連軍は大西洋を進むNATO船団を捕捉すべく複数回に渡って哨戒機を放ったが、NATO側の電波管制や哨戒機自体の不手際等があって船団発見に悉く失敗した。業を煮やしたソ連軍は、付近を行動中のフォクストロット型潜水艦を使って船団攻撃を実施した。2枚の反応カード"Good Intercept"と"Expert Skipper"を使って輸送船団に2Hitを与え、護衛にあたっていたフランス空母「フォッシュ」も大破せしめた。

Turn02a


SO_SSBN_Yankee米本土東岸沖では米対潜部隊が全力でソ連SSBN群を追った。護衛を失い、スパイによる支援も欠いたソ連SSBN群は、最早精鋭を誇る米ハンターキラー群にとっては単なる獲物でしかなかった。ソ連軍は慌ててキューバからタンゴ型通常動力潜水艦を護衛のため出撃させたが、静粛だが鈍足のタンゴ型では護衛の用をなさず、かえって米対潜哨戒機によってステップロスを強いられる有様。
結局、この日の終わりには米東岸沖に展開中のソ連SSBN群は壊滅した。ソ連は米本土に圧力を加えていた貴重な核打撃力を失ったのである。またその結果、ソ連軍は第1撃ポイントを1ポイント失い、政治的安定度も1段階低下した。(「安定」から「同盟放棄」へ)

Turn02b


SO_Sveldrovソ連軍が新たな攻勢を仕掛けてきたのはバルト海方面である。デンマーク上陸を実行すべく揚陸部隊を編成し、バルト海へ出撃させたのだ。しかし極端な北方偏重策がここでは裏目に出て、バルト海進攻艦隊の対空対潜防御は決して十分なものではなかった。
ソ連側のデンマーク進攻作戦を遂行する上で脅威となるのは、バルト海に展開する西ドイツ海軍の小型潜水艦群(Uボート)とユトランド半島のエスビアウ(Esbjerg)に展開する西ドイツ海軍航空隊(トーネード戦闘攻撃機)である。特に後者は強力な対艦ミサイル火力(約100発の同時発射能力)を誇り、さらに戦闘機でガッチリ防御されているので、非常に厄介である。

Turn02c


ソ連軍はまずエスビアウのトーネードと制圧すべくエコー2型SSGN3ユニットを動員してエスビアウに対して巡航ミサイル攻撃を実施した。しかし出目振るわず、エスビアウの基地を一時的に使用不能にしただけで、数時間後に復旧されてしまう。

SO_STK_Tu16そこでソ連軍は次に航空攻撃によるエスビアウ制圧を考えた。MiG25戦闘機2ユニットに護衛されたTu16Gバジャーが巡航ミサイル攻撃を加える。バジャー隊は西ドイツ空軍のファントム隊の反撃でステップロスを強いられたが、エスビアウ基地には巡航ミサイルを命中させた。
さらにコラ半島からはTu22バックファイアが護衛なしで飛来。西ドイツ空軍ファントム隊の攻撃を躱して巡航ミサイルを発射し、エスビアウにさらなる打撃を与えた。これらの攻撃によりエスビアウ基地は最低2日間程度機能を失うことなる。ソ連側からすれば、西ドイツ海軍の強力なトーネード攻撃機を一時的にせよ無力化したのは大きい。

WG_SS_Type206対するNATO軍は、オランダ海軍のアトランティック哨戒機をバルト海に派遣し、接近するソ連艦隊を発見した。直ちに西ドイツ海軍のUボートが攻撃を行い、揚陸艦数隻を撃沈したが、揚陸そのものを阻止するには不十分であった。

WG_Type206A_Sub


その頃フランスでは、最初の増援部隊がフランス西部の港町に続々と到着していた。また船団の一部が分離し、英空母「イラストリアス」に掩護されながら地中海へ向かっていた。


2Turn後半(開戦4日目)

両軍とも12OPを使用。ただし残OPはソ連が13、NATOが15となる。
ソ連軍はスペツナズの特殊部隊を投入。キール軍港で出撃準備中の西ドイツ駆逐艦数隻を撃破した(まるでイタリア海軍だ)。さらにバルト海での対潜戦を活発化させ、西ドイツ海軍のUボート部隊をほぼ壊滅状態に追い込んだ。さらにNATOは米空母最大の脅威となるヴィクター3型SSNを集中的に攻撃し、1ユニットを完全撃破、1ユニットをステップロスせしめた。

NATO_Patriot_SAMNATO側はエスビアウにパトリオット地対空ミサイル部隊を緊急展開し、同地の防空能力を強化する。さらにイギリス、フランス、ノルウェー等で港内で待機していた通常動力潜水艦を次々と北海やバレンツ海へ出撃させていった。北海ではNATO側が激しい対潜戦を展開し、ソ連エコー2型SSGN部隊に大損害を与えていた。

Turn02d



SO_Sveldrovソ連軍はユトランド半島に上陸を敢行した。デンマーク海軍や西ドイツ海軍の高速攻撃艇や小型艦艇による反撃が激しく、揚陸部隊は大損害を被った。上陸援護にあたっていたスヴェルドルフ級巡洋艦が機雷に触れて轟沈。上陸自体も危うく失敗する所だったが、何とか最小限の上陸には成功し、橋頭保を確保した。ただし兵力が十分ではなく、さらに奥地へ進撃を続けるためには後続波の上陸が必要になる。

地中海でも戦いは始まっていた。シリアを出撃したソ連地中海艦隊の潜水艦とトルコ海軍の潜水艦が東地中海で激突し、トルコ海軍の新型Type209潜水艦がステップロスした。

Turn02e



Turn終了時に各戦線での戦況推移があり、南ヨーロッパとデンマークでは順調にソ連軍が進撃を行っているが、ノルウェーは進撃が頓挫し、肝心の中央ヨーロッパでもフルダ峡谷における米軍の激しい抵抗によりソ連側の前進が頓挫していた。

つづく

Blue Water Navy(以下、本作)は、米Compass Games社が2019年に発売したシミュレーションゲームだ。テーマは1980年代における西半球全域を舞台とした米ソ両陣営の海上戦闘である。実際のは起こらなかった第3次世界大戦を扱った仮想戦ゲームだ。

本作については、以下の紹介動画も参考にされたい。




前回までの展開 --> こちら

1Turn後半(開戦2日目)

両プレイヤーとも12OPを使用。これで両プレイヤーのOPは共に15OPとなった。
SO_SSN_Victor3 ソ連軍としては米空母部隊を何とか始末したい。否、始末とは行かなくても空母の1隻でも損傷を与えれば、攻撃力を殺ぐことができる。そう考えてソ連軍プレイヤーは最強のヴィクター3型SSNを「米空母キラー」に差し向けた。その優れた戦術支援値+1と65式重魚雷の存在は、上手く行けば米空母に一撃必殺を見舞うことができるはずだ。しかも手元には秘密兵器"Stealthy Approach"がある。旨く行けば驕り高ぶった米空母を大破させることができるかもしれない。
乾坤一擲の想いを込めて振ったソ連側ダイスは3,5,8.無情にも米空母には届かなかったが、それでも米艦隊のASWを"Stealthy Approach"で躱し、護衛艦艇に1ステップロスを強いた。

Turn01d


重魚雷搭載のヴィクター3型は米空母部隊にとっても十分な脅威である。ソ連軍としてはその能力を全面的に活用し、米空母殲滅を狙うべし。逆に米軍は哨戒潜水艦等を駆使してヴィクター3型が空母部隊に近づく前にそれを阻止撃破すべし。

ここでちょっと「ズル」(宇垣裁定)をし、North7-8に配備されているアルファ級をヴィクター3型に変更した。

US_STK_A6_S NATO側としては上記の「ズル」によってさらにヴィクター3型の脅威に晒されることになったが、逆に米空母が健在な間にソ連艦隊を撃破すべく、2回目のアルファストライクを実施した。今度はソ連側に迎撃機がないため、F-14の護衛はつけず、爆撃機とその支援機のみからなる攻撃隊である。再び200発のHarpoonが大空を埋め尽くす。
ソ連側の防空戦闘によって約70%のHarpoonが無効化されたが、約60発のHarpoonがソ連艦隊に迫る。打撃巡洋艦「キーロフ」はさらに数発のHarpoonを受けたが、何とかこれに耐えた。しかしより小型のスラヴァ級ミサイル巡洋艦はさらに数隻沈没した。そして最も痛かったのは、揚陸部隊が壊滅してしまったことだ。これにより、ソ連側が当初目論んでいたノルウェーの電撃占領は頓挫した。

ソ連側のノルウェー方面への作戦軸として、北部ナルヴィクへの進攻と中部トロントヘイムへの進攻の2種類がある。効果が大きいのはトロントヘイムへの上陸だが、安全なのはナルヴィクへの上陸だ。どちらが良いかは判断が難しいが、より堅実なプレイを目指すのならナルヴィク進攻が無難ではないかと思う。ナルヴィクへの上陸に対して米空母が攻撃を試みる場合は、GIUKラインを突破してノルウェー海へ進出する必要がある。それは米空母にとってもかなりリスクの高い行為になる。
トロントヘイムへの上陸に対して米空母が対応するためには、今回のようにGIUKラインの「向こう側」から攻撃を仕掛けることが可能になる。ただし、GIUKラインの外側が「絶対安全」という訳でもないので、米空母を引きずり出す「餌」という意味でトロントヘイム上陸は有力な手段と言えるかもしれない。


Turn01e


無論、ソ連側としてもこのまま米空母を逃がす気はない。先ほどの「ズル」によってアイスランド近海に姿を現したヴィクター3型攻撃原潜(SSN)が米空母部隊に襲い掛かったのである。数本のType65魚雷が2隻の米空母の航跡を捕まえた。しかし次の瞬間、米海軍の護衛艦群が身を挺して魚雷を防いだのである。爆沈する米護衛艦艇。唖然とするソ連側艦長。そこに米対潜部隊の報復攻撃が降り注いだ。ヴィクター3型の艦長達は、まるでデスラー砲を跳ね返されたデスラーのような気分になったのであろう。しかしその感慨が長く続くことなく彼らは海中に没した。

要するにNATOがASWダイスで10の目を3個出したので、カードを使ってもヴィクター3型を救えなかったのである。

ソ連軍は大西洋を東へ向かうNATO船団に目をつけた。空中給油機により航続距離を延伸されたTu22バックファイア2個戦隊(約48機)でNATO船団を襲う。先ほど大活躍したスペイン空母「デダロ」からシーハリアーが迎撃の為発進していく。

Turn01f


シーハリアー隊はまたもや奮戦し、バックファイア12機をミサイル発射前に叩き落した。それでもバックファイは70発以上の対艦ミサイルを発射。10発以上が命中し、カナダ海軍の駆逐艦やフリゲート艦計8隻が犠牲となった。

その直後に襲撃してきたフォクストロット型潜水艦が遂に「デダロ」を仕留めた。バックファイアのミサイル攻撃により弱体化した防御スクリーンを易々と突破したソ連海軍フォクストロット型潜水艦は、「デダロ」に魚雷3本を命中させたのである。栄光に包まれたこのWW2型軽空母は、全艦炎に包まれながら、大西洋にその姿を没した。

USS_Princeton


米本土東岸近海では、米海軍の対潜部隊がソ連弾道ミサイル潜水艦(SSBN)群に対する掃討作戦を実施した。裏では激しいスパイ合戦が行われ、スパイを駆使して米対潜部隊をソ連側SSBN群が躱していく。さらには無反響コーティングによる無音化によって米攻撃原潜や対潜哨戒機による攻撃を回避した。結局、この時点で米本土沖に展開するソ連SSBN群に被害はなし。ただし米本土におけるソ連側スパイ網は、FBI/CIAの激しい情報戦によって壊滅状態に陥った。

Turn01g


以上で第1Turnの全アクション終了。戦争トラックの進展、FSP(第1撃ポイント)の取得等を行う(FSPが0から1になる)。その後天候を決定。North7-8が悪天候になった。最後にカードを引き直してTurn終了となる。

Turn01h


つづく

Blue Water Navy(以下、本作)は、米Compass Games社が2019年に発売したシミュレーションゲームだ。テーマは1980年代における西半球全域を舞台とした米ソ両陣営の海上戦闘である。実際のは起こらなかった第3次世界大戦を扱った仮想戦ゲームだ。

本作の概要については、以下の動画でも示されているので、参照されたい。



今回、VASSALによるソロプレイにチャレンジしてみることにした

前回までの展開 --> こちら


1Turn前半(開戦1日目)

ソ連側は15OP、NATOは12OPを使用する。

SO_SSGN_Echo2ソ連軍は旧式のエコー2型原子力ミサイル原潜(SSGN))3ユニットで英本土の航空機にミサイル攻撃を仕掛ける。出目よく2Hitと2附帯損害。ヒット数が偶数なので防御側であるNATO側が損害を適用する。ニムロッド哨戒機が1ユニット消滅した。
さらに別のエコー2型SSGN2ユニットが英本土南部の港湾施設を巡航ミサイルで攻撃。1打撃を与え、在泊中の英海軍対潜フリゲート艦数隻を撃沈破した。
NATOは、カード#27"Fighters to Norway/Denmark"で米本土に待機していたF-15 Eagle 1ユニットをノルウェーに送り込んだ。しかしこれはかなりリスクの高い「賭け」である。

SO_FTR_MiG31ソ連軍はなおも英本土を叩くべく巡航ミサイルを搭載したTu22バックファイア3ユニットで英本土を攻撃。護衛にはソ連最強のMiG31とMiG25が随伴する。ノルウェー海上空では英空軍のファントム戦闘機がこれを迎え撃つ。西側技術を流用して作られたソ連の新型空対空ミサイルは容赦なくファントムを粉砕し、ファントム1ユニットが海の藻屑となった。しかしファントム隊も奮戦し、MiG25 1ユニットを撃破した。 そしてパトロール機の急報を受けて英本土から予備のファントム隊が発進する。空戦の結果は激しいものとなり、英空軍のファントム1ユニットが撃墜されたが、MiG31、Tu22各1ユニットがステップロスしてしまう。
肝心の巡航ミサイル攻撃については、合計5ヒットを与えて英本土の空軍基地は壊滅的打撃を被った(ただし累積ヒット数は最大5まで、6.10.4参照)。しかしソ連側も長距離護衛戦闘機はほぼ全滅、貴重な長距離爆撃機1ステップを失うという手痛い打撃を被ってしまう。

Turn01a


上記で空中給油機でソ連戦闘機の航続距離を延伸させたのはルール違反であった。エラッタにより空中給油機によって航続距離を延伸できるのはSTKユニットのみとなっていた。途中で気づいたが、手遅れだったので、そのまま進めることとする。

NATO側は手薄になったノルウェー海の制空用に、ノルウェーに進出していた米空軍のF-15を発進させる。さらに空母5隻を擁する米英連合の大機動部隊が英本土西方海域に進出してきたので、ソ連側はキロ級潜水艦の一帯をBIUKギャップを抜けて攻撃に差し向けた。が、雷撃は失敗に終わる。

NO_MP_P3C NATO側はノルウェーに近づくソ連上陸部隊を叩くべく、まずはノルウェー空軍のP-3Cオライオンを発進。ソ連軽空母「キエフ」を発進してきたYak38フォージャーの迎撃を掻い潜ってソ連上陸部隊を発見した。空母2隻(「キエフ」「ミンスク」)、原子力打撃巡洋艦「キーロフ」、その他、スラヴァ級、カラ型、キンダ型等の巡洋艦、ソブレメンヌイ級、ウダロイ級の駆逐艦等、40数隻の水上戦闘艦と、それに護衛された水陸両用戦闘群からなる。総勢100隻近い規模の大艦隊だ。ソ連海軍最強の水上部隊だ。

US_FTR_F14_Ken英本土西方に接近した4隻の米空母からは200機近い大攻撃隊が続々と発進。ノルウェーを目指すソ連艦隊に攻撃を仕掛けるためだ。ソ連艦隊の空母2隻からはなけなしのYak38フォージャーVSTOL戦闘機が飛び立つ。

「敵わぬまでもせめて一太刀」

そう思ったのか・・・。
しかし所詮VTOL戦闘機。本格的な世界最強級の空対空戦闘能力を誇るF-14トムキャットの敵ではなかった。フォージャーは全機撃墜され、米攻撃隊は無傷のままソ連艦隊をHarpoon空対艦ミサイルの射程距離内に捉える。
一斉に発射されたHarpoonは約200発。まさに飽和攻撃を絵に書いたような攻撃だ。ソ連側の対空防御は奮戦し、Harpoonの80%以上を撃墜又は無力化したが、それでも40発弱のミサイルがソ連艦隊に殺到した。
打撃巡洋艦「キーロフ」には3発以上が命中し、「キーロフ」は大破してしまう。スラヴァ級などのミサイル巡洋艦4隻が撃沈破、揚陸艦艇も10隻以上が海の藻屑と消え去った。

Turn01b


SO_MP_Tu95D ソ連軍は大西洋を進むNATO船団を攪乱すべく長い航続距離を誇るTu95ベアの対艦ミサイル搭載型でアゾレス諸島沖のNATO船団を襲った。この船団は、スペイン海軍の軽空母「デダロ」と数隻のスペイン海軍フリゲート艦が護衛していた。軽空母「デダロ」といっても元々はWW2で活躍した米海軍のインデペンデンス級軽空母「カボット」であり、この時点では完全に旧式装備であった。

SNS_Dedalo_(R01)_underway


「こんな弱体な船団なんぞ、鎧袖一触」

SP_FTR_SHarr ソ連側攻撃編隊はそう思っただろう。
しかし「デダロ」搭載のシーハリアーは思いの外善戦した。偶々付近をパトロールしていたシーハリアー2機のペアは、北方から接近する24機のTu95ベアを発見した。ターボプロップながらも高速のベアは、亜音速機であるシーハリアにとって戦いやすい相手ではない。シーハリアは慎重に爆撃編隊の右後方に占位し、AIM-9サイドワインダーミサイル計4発を発射した。ミサイルは狙い違わず4機のベアを直撃。全く間に4機を葬った。
さらにシーハリアーは30mm機関砲でベアの編隊へ肉薄。さらに3機を葬り、数機がミサイルを投棄して離脱していく。僅か2機のシーハリアーがベアの半数を無力化したのである。

Turn01c


残ったベアは対艦ミサイルを発射。30発弱が発射され、正常飛行したのが21発。決して少なくない。スペイン艦隊の各艦は懸命に対空ミサイルでこれを迎え撃つ。さらにチャフを巻き散らし、妨害電波でミサイルのセンサーを無力化する。それでも近づいてくるミサイルに対しては、短SAM、速射砲、そして最後の砦ヴァルカン・ファランクスが火を噴く。
結局ベアの放った対艦ミサイルは1発も目標を捉えることがなかった。

こうして大西洋の熱い1日は過ぎていく。しかし、まだ開戦初日である。

つづく

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