サピエンス全史(下)
ユヴァル・ノア・ハラリ/柴田裕之訳 河出書房
ユヴァル・ノア・ハラリのベストセラー本である。下巻では、宗教を語る所から始まる。宗教といえば一見人類の発展とは無関係に思えるが、筆者は宗教の存在こそがサピエンスを世界の覇者たらしめるとしている。神という名の「共通幻想」を人類が共有できたからこそ、大神殿を作ったり、統一国家を作ったりできたのだと。
そして人類は認知革命から科学革命へと進んでいく。「我々は全てを知っている」時代から「我々は何も知らない」時代に進んだことで我々は進歩という力を手に入れた。そして進歩は資本主義と結びつくことで科学は発展の方向を与えられたのだと筆者は言う。
科学革命により世界を支配した人類だが、それは果たして「善い」事だったのだろうか。筆者は必ずしもそうは考えていない。人類の発展は人類以外の動植物にとっては地獄の苦しみを与えただけではなく、人類そのものの幸福増進に必ずしも貢献しなかったと筆者は言う。
最後に筆者は未来の人類像に触れている。未来の姿はSF作品に描かれているような「我々と同じような思考をする人々が光速宇宙船やレーザーガンで武装した世界ではないかもしれない」と筆者は言う。23世紀初頭の地球にはアナライザーはいる可能性が高いが、ひょっとしたら古代進も森雪もいないかもしれない。
お奨め度★★★★★
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