日露戦争は、近代国家同士がアジアで衝突した最初期の大規模戦争であり、陸海軍の運用、補給線、動員速度、要塞戦など多様な要素が絡み合う複雑な戦役だった。この戦争を題材にしたウォーゲームは数多く存在するが、その中でもエポック社の「日露戦争」(1981)は、戦争全体を俯瞰できる作戦級ゲームとして長く評価されてきた。
本作は、満州・遼東半島・朝鮮半島をカバーする大判マップ上で、旅団〜師団規模のユニットを運用し、旅順攻囲戦から奉天会戦までの主要陸戦を再現する。1ターン=1か月というスケールは、戦争全体の流れを把握しやすく、補給線や鉄道輸送の制約が戦略判断に大きく影響する。日本軍の質の高さとロシア軍の粘り強さがシンプルなルールで巧みに表現されている点が特徴だ。
同テーマの他作品と比較すると、本作の立ち位置がより明確になる。MMPの「The Tide at Sunrise」は本作の精神的後継作であり、より現代的で精密なルール体系を備える一方、プレイ感は重くなる。Ron Bellがデザインした「Port Arthur」は、「日露戦争」と同じテーマを別の視点から扱った作品で、日露両軍の非対称性を強く意識したデザインになっている。さらにTSR/S&Tの「The Russo-Japanese War」 は戦略級として陸海戦や外交まで含めたマクロな視点を提供し、作戦級のエポック版とは異なるアプローチを取っている。
これらを総合すると、エポック版「日露戦争」は、 「日露戦争の全体像を、軽快な作戦級でバランスよく体験できる作品」 という独自のポジションを確立していると言える。 現在の視点から見れば「司馬史観に影響され過ぎている」(28cm砲の扱い、騎兵襲撃など)もあるが、ゲームとしてはシンプルにまとまっていて、そのあたりは他のエポック作品と相通じる部分がある。
歴史的背景の複雑さを適度な抽象化で整理し、戦略的ジレンマを明快に提示する本作は、研究・検証にも向いており、日露戦争を理解するための優れたシミュレーション教材としても魅力的な作品である。歴史的文脈とゲームデザインの両面から分析する人にとって、まさに扱いやすく、比較軸としても優れた作品だといえる。
そんな「日露戦争」を今回VASSALでプレイしてみた。対戦相手氏は本ゲームのベテランであり、うp主はバリバリの初心者である。今回は胸を借りるつもりでプレイしてみることにした。
ちなみにうp主は今回ロシア軍を担当した。
SetUp
今回のセットアップでは、鴨緑江岸の全兵力を義州西岸に配置した。日本軍の攻撃による損害をできるだけ軽減する布陣である。プレイの前は「この配置なら負けない」と結構自信があったのだが、結果的にはこの布陣が苦戦の原因となってしまう。
1Turn
鴨緑江東岸の黒木第1軍は予想通り全力で対岸のロシア軍を攻撃してきた。戦力比は40:12で3:1。河川の防御効果と開戦奇襲効果で3:1のまま。結果はDRで予定通りロシア軍は後退していく。
「しめしめ」
と内心ほくそ笑むうp主だったが・・・。
一方満州戦線では、ロシア軍は遼陽に待機していた歩兵1個旅団と2補充ポイントを旅順に送り込み、旅順要塞の守りを固める。
2Turn
ウラジオ艦隊が出撃したが、日本艦隊と遭遇して交戦。損害を被ったウラジオ艦隊はウラジオストクに逃げ込み、約2ヶ月間行動不能となってしまう。あわあわ。
日本軍は遼東半島東岸の候児石から4個師団が上陸し、第2軍を編成。大連への入口になる南山(金州城)を攻撃する。4:1の比率で攻撃を仕掛けた日本軍だったが、出目悪く結果は2EX。金州城の守りは固く、日本軍2個師団が損耗状態となってしまう。またもやほくそ笑むうp主。
一方、山岳地帯を進む日本第1軍は二手に分かれて山岳地帯の突破を狙う。しかし鳳凰城西方の戦いでEXを出したので、日本軍の進出を支えている。
3Turn
南山攻撃に失敗した日本軍は、ゲームチェンジャーとするべく28サンチ砲2ユニットを候児石に揚陸する。しかし移動力の関係上28サンチ砲はこのTurnには南山攻撃には参加できない。そのため日本軍はこのTurn南山攻撃をあきらめ、得利寺付近に布陣するロシア軍を攻撃する。戦闘比2:1で結果はEXR。得利寺を守るロシア軍騎兵旅団は、叩き出されてしまう。
それよりも問題だったのは山岳地帯。最北端の山岳道を守っていたロシア軍騎兵旅団に対して日本軍1個師団が攻撃を仕掛けてきた。1:1の戦闘比で結果はDR。山岳道の守りは破られてしまう。やばいぞ、これは。
山岳地域を破られても荒地が広がっている。しかし山岳と比べて荒地は戦闘シフト、移動コストの両面で攻撃側が格段に有利になる。守る側としては戦線を守るための部隊数が一気に増え、さらに個々の戦闘でも不利なコラムシフトを強いられる。
戦線を張るのに苦慮するロシア軍。苦し紛れに突出してきた日本軍歩兵師団の左右を挟んで「包囲攻撃じゃ」と吠えてみたものの、戦闘比1:2では如何せん攻撃成功の出目はなしなので、挟むだけにとどめておく。
4Turn
先に包囲された日本軍歩兵師団は、自らを包囲しているロシア軍騎兵旅団を攻撃する。戦闘比は2:1。ここでARの結果が得られれば日本軍1個師団が壊滅する所であった(確率1/6)。しかし無常にも結果はEXR。包囲中のロシア軍騎兵は撃破され、日本軍歩兵は包囲の輪を破ることができた。ちょっと残念。
満州平野では日本軍の先鋒が蓋平付近に進出してきていた。4:1攻撃でEXRを食らったロシア軍は、またもや後退を強いられる。
南山方面では、28サンチ砲の支援を受けた日本軍3個師団が金州城を4:1で攻撃。確率1/3で攻撃失敗の可能性もあったのだが、戦闘結果はDDで南山陥落。開戦後4ヶ月目で遂に金州城は日本軍の手中に落ちた。
ロシア軍にとって一番難しいのが山岳部分。大子河の地形効果が使えることに着目し、大子河沿いに防衛ラインを構築する。また旅順正面では時間稼ぎのために犠牲部隊を前に出す。しかしこんな姑息な手段で本当に良いのか。と、少し思ってしまう。







































































