
こちらでも少し紹介したが、「パンツァーカイル」(以下、本作)のクルスクシナリオをプレイした。このゲームは1988年にツクダホビーから発売されていたゲームを2021年にゲームジャーナル社が再販したもの。元々はハリコフ、クルスクの2本のゲームが同梱されていたが、2021年にはそのうちのクルスクのみがまず再販された。
本作のゲームシステムは、アドテクノスが1985年に発表した「走れパットン」(2003年にゲームジャーナルから再販済)とほぼ同じ。特徴としては、戦車、機械化部隊は戦闘や強行軍を行うと消耗状態になるということ。そのために敵を攻撃する部隊と機械化移動によって戦果を拡張する部隊とに分けておく必要がある。それを怠ると消耗状態で脆弱な状態で敵の反撃を受けることになる。
これは反撃するソ連軍にとっても言えることで、強力な機械化軍団で反撃を行って喜んでいると、弱体化した所にドイツ装甲部隊の反撃を食らって壊滅してしまったりする。ソ連軍の機械化軍団は額面値が大きい分、撃破された時に脆いのだ。
もう一点、特徴的なものは支援攻撃のルール。砲爆撃の効果を表すルールだが、命中すると目標が混乱状態になる。混乱状態ではZOCを失い、移動不可、防御力も半減する。敵の攻撃に対して脆くなるだけではなく、回復するまでは一切攻撃できなくなる。「当たるも八卦当たらぬも八卦」だが、当たれば結構大きい。

今回、クルスクシナリオを2人でプレイしてみた。私はドイツ軍を担当する。
ゲーム展開
1Turn(43/7/5-6)

まず南方。8ポイントを投入した支援砲撃は悉く外れ。ソ連軍第52親衛歩兵師団の強化陣地をパンツァーカイルを含む第2SS装甲軍団が攻撃。突破口を穿った。前進距離は3Hex。VP都市のYakovelvo(2341)まであと1Hexである。
北方でも支援砲撃は悉く失敗。僅かに陣地帯に1Hex食い込んだだけであった。
2Turn(43/7/5-6)
南方ではYakovelvo北方へドイツ軍が展開。一方ソ連軍の機械化軍団も突破口付近へ集結してきた。一部でソ連軍機械化部隊による反撃が始まる。北方では第2線目の防衛ラインにドイツ軍が食い込んだ。しかし前面に河川が立ちはだかる。
3Turn(43/7/7-6)

果たせるかな、攻撃時のサイの目は"5"で辛くも攻撃に成功。ソ連軍第3機械化軍団(11-12-5)を撃破し、ソ連軍2個軍団を葬った。そしてオボヤンへの突破口を穿った。
北方では特記するような動きなし。
4Turn(43/7/9-10)
オボヤンに向けて前進していくドイツ軍に対して右側面から反撃を仕掛けるソ連軍機械化部隊。それを逆に捕捉したドイツ軍が3個機械化軍団を包囲殲滅した。何だか気分が良くなってきたぞ、ドイツ軍。5Turn(43/7/11-12)

このTurnからドイツ軍は攻勢継続判定が適用される。ドイツ軍は毎Turn差し引き5ポイント以上のVP獲得できない場合、攻勢継続不可能と判定されゲームオーバーとなる。今回はドイツ軍がソ連軍機械化部隊に対する掃討戦を展開。ソ連軍を撃破しつつオボヤン前面のPsel川まで前進した。2個機械化軍団を撃破したことによりドイツ軍は9VPを獲得し、ゲームオーバーにはならなかった。
6Turn(43/7/13-14)

「奇跡よ再び」
祈りを込めて振られたサイの目は"2"。無情にも攻撃失敗。この時点でドイツ軍は攻勢能力を失ったと判定され、ゲームオーバーとなった。
最終的な獲得VPは、ドイツ軍は98VPに対してソ連軍10VP。その差88VPでドイツ軍の戦術的勝利(一番低い勝利)となった。ドイツ軍の攻撃頓挫は早かったが、ソ連軍機械化部隊を多く撃破したことにより、ギリギリの勝利となった。ある意味、非常に「史実的な結果」といえる。
感想

もちろん史実と異なる作戦を試してみることも可能だしそれはそれでシミュレーションゲームの魅力だが、クルスク戦のようなテーマであまり勝敗に拘っても仕方がないと思う。
本作についてまとめると、クルスク戦という難しいテーマを扱いながらもシミュレーションとしてもゲームとしても満足できる内容に仕上がっている。今回のプレイでもお互いのプレイヤーが勝利を目指しながら、結果として史実に近い結果になった。そういった意味で (比較の対象としてはやや失礼かもしれないが) このゲーム と比べれば遥かにまともで、ゲームとしてもシミュレーションとしても納得できるものだった。
私が過去にプレイした作戦級クルスク戦ゲームの中では一番優れたゲームであると感じた。








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