登山口に選んだのはヒバクラ登山口。阿仁合から車で40分ほど走った内陸です。登山口までのアプローチは長いですが、その代わり森吉山の山頂までの所要時間では最も短いルートです(ただしリフト利用は除く)。
登山開始は0700頃。最初から緩やかな登りが始まります。この森吉山は全体になだらかな山容をしており、そのため登山路も比較的斜度が小さく、歩きやすくなっています。そういった意味で「今回は楽勝」と最初は思っていたのですが・・・。
しばらく歩くと花の群落地に出ます。花音痴の私ですが、流石にこの花はしっています。水芭蕉。春の代表的な高山植物です。この水芭蕉が登山路の所々に割いており、見た目を楽しませてくれます。
1時間ほど歩くと先行していた登山者が1人、また1人と戻ってきました。少し話を聞いてみると、前方にはかなり雪が残っているので先には進めなかったとのこと。私の場合、軽アイゼンを持ってきていたので、「まあ行ける所までは行ってみようか」という感じで前へ進みます。
しばらく歩くと雪渓が出てきまた。早速軽アイゼンの出番です。とはいえ、後から考えるとアイゼンをつけるほどの雪でもなかったよう。登りの際には情報が少ないので、大事を取ることが多くなります。
そんなこんなでヒバクラ岳分岐についたのは0900頃。所要時間2時間でコースタイム通りなのですが、登山路の緩やかさを考えるとやや不満の残るタイムではあります。
ここから森吉山の山頂まではコースタイムで約1時間。目測だと遥か前方に見える山です。斜面にはかなり雪が残っていて手強そう。
森吉山の斜面に差し掛かると大雪渓が行く手を阻む。白馬の大雪渓に比べるとスケールは小さいのですが、困ったのはコースが読めないこと。雪の上を歩いて雪の切れている所で登山路に戻らないといけないのですが、これが結構厄介。周囲一面の雪の中から次に進む登山路を見つけるのは容易ではありません。右往左往しながら何とか登山路を見つけたのですが、時計は既に1000を回っています。
最初の雪渓をようやく抜けると、次に森吉山直下の最大規模の雪渓が目の前に現れます。先ほどよりもスケール、斜度とも格段に大きい。しかも出口が見えない。急斜面に怯えながら何とか上部の取り付きに辿り着きましたが、そこからの道がわからない。雪渓の上辺で右往左往しているうちに時間はどんどん過ぎてしまい、1100を回った所で、登頂を諦めることにしました。
さすがに一度来た道を戻るのは楽勝だろう。そう思って下山を開始したのですが、甘かった。最初の大雪渓は何とかクリアしたものの、次の雪渓で道迷い。雪渓を抜ける登山路がどうしても見つからない。右往左往しても他に登山者の姿はなく(他の登山者は諦めて早めに下山してしまっている)、誰も助けてくれない。ウロウロしているうちに雪の薄くなった所をぶち抜いて小河川に足を突っ込んでしまい、足がびしょ濡れになる始末。幸い今回は晴天に恵まれていらから良かったものの、もし悪天なら本当に遭難しかねない状況でした。
幸いGPS付きのスマホが使えたので、それを頼りにコースを探します。また途中からコンパスを使って方向を安定させる術を学び、自身の位置をGPS上で安定させることに成功。これによりようやく出口を見つけることができました。
とはいえ、雪道のような目標物のない所を歩く際には、コンパスと地図。これが基本であることを思い知らされました。
一旦コースを見つければ後は楽勝。帰りは雪の深さもわかっているので、アイゼンをつける必要はありません。登りの際には何度もつけて外したアイゼンですが、帰りは最初の大雪渓でつけた以外は結局一度もつけませんでした。
駐車場に戻ってきたのは1340。帰りは途中の道迷いで大幅な時間ロスがあったにも関わらず、ほぼコースタイム通りに下山できました。
今回の教訓としては、森林限界の上と下で雪渓歩きの難易度は天と地ほど変わるということ。私自身これまでに何度か軽めの雪山登山を経験しており、アイゼンでの歩行はそれなりに自信を持っていたのですが、ルートファインディングは盲点でした。今ではGPSつきスマホがあるので、これまでルートファインディングに殆ど苦労しなかったこともあります。しかしたとえGPSがあったとしても、何も目標のない所を歩くのがこんなに難しいのかと痛感させられました。(それでもGPSのお陰で助かったようなもので、もしGPSがなかったら、間違いなく遭難していました)
「山は美しいけどコワイ」
改めてそのことを痛感させられた山歩きでした。




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