210609_SB2C

Curtiss SB2C Helldiver

Peter C.Smith The Crowood Press

カーチスSB2Cヘルダイバー。大戦後半の米空母部隊における主力艦爆だ。しかしこのヘルダイバー、何故かあまり評判が良くない。先行機のSBDドーントレスが押しも押されぬ傑作機であったため、その分損をしている感はある。また初期バージョンは御多分に漏れず初期故障に悩まされていたため、さらに評判を落としたこともある。
ただこのヘルダイバー、艦爆としてはドーントレスを凌ぐ高性能機であった。最大速度や航続距離でドーントレスを上回っていただけではなく、爆弾搭載量もドーントレスを遥かに凌いでいた。しかも魚雷搭載能力を持ち、艦爆艦攻を統合できる機種でもあった。その優秀性は、戦後にF6FヘルキャットやTBF/Mアヴェンジャーが第1線から姿を消した後も、ヘルダイバーはコルセアやベアキャットと共に第1線に留まり続けたのである。さらに言えば、ADスカイレイダーに先立って米空母艦載機として初めて艦爆・艦攻を統合したのがSB2Cヘルダイバーであった。
本書はヘルダイバーの開発から運用開始、実戦運用、戦後の活躍等を体系的に記した著作である。個人的に興味を引いたのは当然戦史の部分で、ラバウル攻撃に始まり、トラック空襲、マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦、そして坊ケ崎海戦等の記述は興味深く読めた。これらの海戦でヘルダイバーがどのような武装をしていたのかは個人的に長らく謎だったが、爆弾倉に1000ポンドのAP,SAP,GP弾のいずれか1発と250ポンドGP弾を翼下に各1発の計1,500ポンドというのが標準装備だったらしい。カタログスペック的には1,600ポンド爆弾や魚雷も搭載できたようだが、空母の兵器倉には1,600ポンド爆弾はなかったらしい。
本書では戦時中のみならず戦後におけるヘルダイバーの活躍についても触れられており、「駄作機」と評されることの多いヘルダイバーが戦後長きに渡って活躍したことが記されている。

お奨め度★★★★