Red Storm(以下、本作)は、2019年に米国GMT社から発売されたシミュレーションゲームだ。テーマは1987年における東西ドイツ上空における航空戦闘である。実際に起こらなかった戦争を再現する本作は、一種の「仮想戦」ゲームといえる。ゲームシステムについては、 以前の記事 を参照されたい。
今回は、その中からシナリオRS9:NightHawkをプレイしてみた。プレイスタイルは、VASSALを使ったソロプレイである。
シナリオの背景
開戦から3日目、NATO軍は厳重に防御されたWP軍の防空ネットワークの拠点を破壊すべく、当時の最高機密機であったF-117A "NightHawk"ステルス攻撃機の投入を決意した。4450戦術航空団に所属するF-117A計12機は、少数の戦闘機に掩護され、世界で最も厳重に防護されたWP軍防空組織へ飛び込むことになる。セットアップ手順
今回は久しぶりのプレイなので、厳密に手順を追って準備していきたい。最初に天候フェイズ。このシナリオでは、「晴天」と決まっており、天候チェックは省略される。
次に地上計画フェイズである。両陣営、またはいずれか一方の陣営が地上部隊を配置する。本シナリオではWP側のみ地上ユニットを配置する。司令部を3ヶ所、早期警戒レーダーを4ヶ所、固定式の長射程SAM(SA-2、SA-12)が5個である。これらは全て固定配置となる。それ以外に中短射程のSAMが合計23個、さらに対空火器やFire Can(レーダー誘導方式の防空火器)を配置する。これらは隠匿配置になる。まあソロプレイなので「知らないふり」をするだけだが・・・。
次にISRフェイズである。諜報・監視・偵察の意味で、このシナリオでは自動的に"NATO Exceptions"(優良)という結果になっている。NATOにとっては最良の結果で、50%の隠匿SAM、40%のFire Can、25%のAAAが発見状態で配置となる。6個のSAM、3個のFire Can、1個のAAAが発見状態となった。
次は地上展開フェイズ。固定配備のSAMや対空火器を配置する。
次に侵攻計画フェイズ。NATO軍の攻撃目標を決定する。今回のシナリオでは、NATO側は3個編隊のF-117A攻撃編隊を有し、それぞれが2個所ずつの目標を割り付けられる。目標の種類は固定SAMや早期警戒レーダー、司令部等である。ダイスを振って目標を決定する。目標は3,4,5,7,8,9。すなわち、早期警戒レーダー2個所、司令部2個所、そしてSA-2サイト2個所となった。攻撃編隊は3つに分かれてそれぞれの目標を狙う攻撃針路を策定する。ちなみに進行高度は高高度。ステルス機ゆえにSAMの脅威は比較的小さく、対空火器の脅威が大きいための選択である。さらにいえば、このシナリオでは晴天が決定しているため、高高度から正確な投弾が可能なレーザー誘導爆弾が使用できることも理由である(夜間攻撃では命中率が低下するのだが、F-117AにはFLIR(前方監視赤外線装置)が搭載されているため、夜間攻撃のペナルティはない)。
次がSEADフェイズ。NATOが固定SAMに対して事前攻撃を実施できる。NATO側プレイヤーがダイス(2D10)を振り、結果は"9"。ISRによる+1のDRMが適用されて結果は"Average"。SAM3個とAAA2個を事前攻撃できる。NATO側は脅威度の高い新型SA-12サイト2個と長射程を誇る古典的なSA-2サイト1個を攻撃。攻撃結果はSA-12サイト1個を完全破壊し、SA-2サイトに重大損傷を与えた。
次が早期警戒フェイズ。迎撃側(このシナリオではWP)の準備状況を判定する。2d10で出目は"9"。時期による+2のDRMを適用して結果は"Minimal Warning"。WP側にとってはあまり嬉しくない結果である。迎撃戦闘機1小隊を上空に挙げて、高高度から侵入するNATO機は発見状態になる。
次が航空機展開フェイズ。セットアップ時に配置される航空機を盤上に配置する。WP軍には3個の迎撃編隊が登場するので、それぞれ機種を決定する。ダイス判定の結果、MiG-23MLD(ソ連)、MiG-21SPD(東独)、MiG-29A(ソ連)となった。MiG-29が登場してきたのは、WP軍にとってはラッキーであった。
NATO側はCAP任務の4個編隊とQrbit Point及びRally Pointを配置する。
最後にレーダーフェイズ。第1TurnにレーダーONにする場所を選択する。WP軍は序盤相手の出方を見るので、レーダーは全てOFFにした。
これでようやく準備完了である。準備手順に手間がかかるのが本シリーズの特徴だが、手続きは整理されているので、手順を追ってプレイすれば問題はない。
1Turn
ではゲームを始めよう。NATO側はEC-130H "Compass Call"がスタンドオフジャミングを実施。CAPを担当するF-15CとF-4Eの編隊がそろそろとWP軍領内に近づいていく。WP側はNATO側に探知を避けるため迎撃機を超低空に逃がす。またSAMによる迎撃を行うべく、射程距離の長いSA-12、SA-4、SA-2と早期警戒レーダー(EWR)のスイッチをOnにする。2Turn
WP側が早期警戒レーダーをONにしたため、高高度を飛行中のNATO編隊が次々と探知された。SAMのレーダーがNATO戦闘機を捉える。後方からはNATOの攻撃本隊が盤上に進入してきた。3Turn
NATO編隊の先頭を進むF-15C "Eagle"の2機編隊が速度を上げた。前方25マイルに一瞬探知した敵機に対してミサイル攻撃を仕掛けるためである。そのF-15Cを狙って地対空ミサイルが発射されたが、ミサイルは目標を大きく逸れた。4Turn
NATOにとって嫌なイベントが出た。"NATO Comms Failure"。NATO側の指揮混乱である。これ以降、NATO側の探知レベルはCからDへ低下する。 F-15Cの"Cobra"小隊が前方15マイルに敵機を捉えた。不用意に高度を上げたMiGがF-15Cの機上レーダーAPG-63PSPで捕捉されたのだ。Cobra小隊を狙ってSAM数発が発射されたが、Cobra小隊は難なくこれを回避。正面の敵機に対してスパローミサイルによる攻撃を試みる。しかし攻撃タイミングが得られず、敵機の側面に回り込んで格闘戦を挑む。夜間の格闘戦だったが、練度の高いCobra小隊は敵機を捉えた。敵機はMiG-23MLA "Flogger"。機数は2対2であったが、練度や性能で大差があった。1機のMiGが20mm機関砲の命中を受けて損傷。ヨロヨロと戦場を離脱していく。
何はともあれ、WP側のギャンブルはこの時点では失敗に終わった。しかし別の編隊が超低空でNATO側ルックダウンレーダーに捕捉された。
「座して死を待つよりは・・・」
そのMiG-29A "Fulcrum"2機編隊はアフターバーナーに点火。正面25マイルを飛行するNATO戦闘機に対して果敢に挑んでいく。距離17.5マイルから正面のF-15Cに対して数発のR-27(AA-10)空対空ミサイルを発射した。その1発が1機のF-15Cの至近距離で爆発。そのF-15は大破して戦闘力を失う。F-15側も距離15マイルからスパローミサイルで反撃を行ったが、ミサイルは外れた。
つづく












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