RedStorm


Red Storm(以下、本作)は、2019年に米国GMT社から発売されたシミュレーションゲームだ。テーマは1987年における東西ドイツ上空における航空戦闘である。実際に起こらなかった戦争を再現する本作は、一種の「仮想戦」ゲームといえる。ゲームシステムについては、 以前の記事 を参照されたい。

今回は、その中からシナリオRS12:Second Echelon Forcesをプレイしてみた。プレイスタイルは、VASSALを使ったソロプレイである。

前回までの展開は --> こちらく

10Turn

WG_F4_Otto敵中深く侵攻していた西ドイツ空軍のF-4F Phantomの2機編隊が東ドイツ空軍のMiG-21MF 2機編隊を捕捉した。米空軍のファントムとは違い、西ドイツ空軍のファントムはレーダー誘導ミサイルを持っていない。西ドイツ空軍はその愚に気づき、開発中のAIM-120 AMRAAM運用能力を付与したF-4F ICE(Improved Combat Efficiency)モデルを開発していたが、この戦争には間に合わなかった。
閑話休題。西ドイツ空軍のF-4Fは敵機の正面2.5海里まで接近し、全角度攻撃能力を持つ赤外線誘導のAIM-9Lミサイル2発を発射した。ミサイルのうち1発がMiGの至近距離で炸裂。そのMiGは撃墜こそ免れたものの、戦闘力を完全に失ってしまう。この攻撃に驚いたMiG-21の2機編隊は、一挙に戦意を喪失し、反転して後退を図る。

BE_F16_Amberソ連軍のMiG-23Mが反撃に転じる。上昇して高度を取り、正面7.5海里の距離からR-23レーダー誘導ミサイルによる攻撃を仕掛けるが失敗。さらにSEAD任務の米空軍F-16Cに対してドッグファイトを仕掛けるが、交戦に持ち込むことはできなかった。
それを見たベルギー空軍のF-16A Falcon 2機からなるCAP編隊(Amber小隊)がMiG-23MFに襲いかかる。低空における格闘戦。しかし格闘戦用に設計されたF-16Aに対し、高速力を重視して設計されたMiG-23では明らかに分が悪かった。F-16Aの20mmヴァルカン砲がMiG-23MFを貫き、燃料タンクから火を噴いたMiG-23はGottingen南東の平原に向けて落ちていった。

Turn10a



11Turn

WG_Tornado_EmilWP側の迎撃戦闘機が概ね制圧できたので、NATO側の攻撃本隊が攻撃態勢に入る。爆装した16機のTornadoが北西の山岳地帯上空で散開し、それぞれの目標に向けて最終攻撃行程に入っていく。攻撃隊の左右を守るSEAD機は活動しているSAMに対して制圧攻撃を行う。目標の西側から近づくのは、無人機BQM-74C 16機からなる囮編隊。WP側の防空組織の攪乱を狙っている。 なお、執念深い西ドイツ空軍のファントム編隊は、戦意を失って逃げる東ドイツ空軍のMiG-21を追うが、1機を1機をサイドワインダーで大破させただけであった。
Turn11a



12Turn

WG_Tornado_EmilNATO側に最初の損害が出た。対空制圧のためWP側機甲師団上空に進入した米空軍のF-16C Falcon 2機編隊がレーダー誘導対空砲(Fire Can)の照準射撃を受けて損害を被ったのである。このF-16C編隊はSEAD任務機で、自身も強力な欺瞞妨害装置を搭載し、さらに強力なスタンドオフジャマーによって援護されていたが、まぐれ当たりとでもいうべきか。1機のF-16が対空砲火の至近弾を食らって大破してしまう。僚機の被弾をみたもう1機のF-16Cは、このFire Canに対して急降下爆撃を敢行し、至近弾によりこれに大損害を与えた。

Turn12a



13Turn

RU_FireCan攻撃隊が目標上空に近づいてくる。対空制圧を担当する米空軍のF-16C Falocn部隊は、激しい対空砲火を縫って対空制圧任務を続けている。このTurn、シュライクARMの攻撃でFireCan 1個を事実上撃破。さらに中対空砲陣地にクラスター爆弾による制圧爆撃を行い、これに大損害を与えた。

Turn13a



14Turn

ZZ_Attack4西ドイツ空軍のTornado隊が次々と目標上空で爆撃を開始した。1個編隊(4機)は赤外線誘導のSA-13ミサイルによる奇襲を受けてその回避のために爆撃の機会を失ったが、3個編隊(12機)が爆撃に成功し、それぞれ目標としていた戦車2個部隊と自走砲1個部隊に大損害を与えた。

Turn14a



DownTown(ベトナム戦争)に比べると、AAAの命中率が低くなっているので、脅威度は下がっている。DownTownの場合は事前爆撃でAAAを制圧しておかないと怖くて目標に近づけなかったが、こちらでは対空火器の制圧にリソースを回さずに全部を主目標に投入した方が効率が良さそうだ。あとはAAAの命中率を低くするために中高度爆撃に徹し、低空に降りない方が良い。そして全弾投下したら後は逃げるが勝ちだ。
それにしてもIR-SAMにはマイッタ。AAAの命中率を少しでも下げるために目標上空ではアフターバーナーを焚いて突破するのだが、アフターバーナーが裏目に出てしまった。うーん、IR-SAMの脅威を完全に無力化するために、高高度投弾した方が良かったのかなぁ・・・?


SA-13


15Turn

ZZ_RadarShutdown爆撃隊による攻撃が終わったので、攻撃隊は次々と離脱していく。それに対して赤外線誘導のSA-13ミサイルが斉射されたが、高高度へ逃れたTornadoに対しては効果がなかった。引き続いて目標上空には戦果確認のためのNATO側偵察機が接近してくる。偵察機を狙うSA-11に対し、SEAD任務のF-4GがHARM対レーダーミサイルを発射。SA-11は緊急にレーダーシャットダウンを実施したが、HARMは目標を逃さずに直撃。SA-11は機能を喪失した。

Turn15a


16Turn

ここでルールミス発覚。第14Turnに実施した爆撃だが、断雲の効果を適用し忘れていた。断雲を挟んだ目視爆撃の場合、-2のDRMが適用されるので効果が1ランク低下して4から3に変更になった。うーん、ここは損害を恐れず超低空まで降りて爆撃すべきだったか・・・。あるいは必殺のMW-1B散布爆弾(地上部隊に対する攻撃力が3倍になる)で超低空からの爆撃を敢行すべきだったかも・・・。ちなみにレーダー誘導爆弾(LGB)であれば、中高度以上から遥かに有効な爆撃を実施できるが、Tornadoは悲しいかなLGBの運用能力持たない。米軍のF-4やF-111F、あるいは英軍のJaguar GR.1AやHarrier GR.3ならLGBを運用できるのだが・・・。湾岸戦争で苦戦を強いられたTornadoの弱点が見事に再現されている・・・。

US_F16_RaiderNATO偵察機(ベルギー空軍のMirage 5BR)が目標上空に近づいてくる。Tornado攻撃隊は安全圏へ向けて離脱中。対レーダーミサイルを撃ち尽くしたNATO側SEAD隊は機銃によって敵SAMの制圧を図る。F-4G Phantom 2機のVegas隊は修理中のSA-4大隊を機銃掃射。事実上これを機能停止に追い込んだ。またF-16C Falcon 2機からなるRaider隊は活動中のSA-11大隊に対して接近攻撃。付近のSA-13赤外線誘導ミサイルが打ち上げてくる中での機銃掃射を敢行し、SA-11部隊に大損害を与えた。

Turn16a


つづく

TornadoIDS_WG


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