お釈迦様の脳科学
苫米地英人 コグニティブリサーチラボ株式会社
近年、仏教が世界的に注目されている。仏教はキリスト教、イスラム教と並ぶ世界三大宗教と言われているが、前2者がその原理主義的内容により様々な災厄(主に戦争)の原因になっていることを考えると、比較的他者に寛容で戦争の原因にはなりにくい仏教が着目されているのかもしれない。
本書は仏教についての著作である。本書で主に扱うのは釈迦が唱えたとされる初期仏教で、初期仏教の考え方を脳科学や量子力学などとも絡めて説明している。本書によれば初期仏教の考え方は現代の科学と矛盾する所はなく、現在ではより重要性が増しているという。そして本書では空や縁起といった初期仏教の根源的な部分についてわかりやすく説明している(とはいっても流し読みで理解するのは難しかったが・・・)。
さらに本書では仏教が中国、日本に伝わってくる過程で変容し、特に儒教や道教の影響が大きいという。そして本来は科学的な世界観を示す仏教が、変容の過程で非科学的でオカルトな部分を取り込んでしまったと。
仏教と脳科学という一見相容れない視点から記した興味深い著作。仏教に帰依する・しないは別として、仏教的な知識を身に着けるのは、今からでも遅くはなさそうだ。
お奨め度★★★
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