Blue Water Navy(以下、本作)は、米Compass Games社が2019年に発売したシミュレーションゲームだ。テーマは1980年代における西半球全域を舞台とした米ソ両陣営の海上戦闘である。実際のは起こらなかった第3次世界大戦を扱った仮想戦ゲームだ。
エリア方式のマップには、米本土東岸からコラ半島や地中海等を含んだ広大な地域が描かれている。1Turnは実際の2日間、1ユニットは水上艦が6~10隻、潜水艦が3隻、航空機が15~30機を現す。ユニットを見ていて特徴的なのは、大スケールのゲームでありながら搭載兵装に関するルールがかなり細かくなっている点である。対艦ミサイルをとってみても、西側のものは皆同じような扱いだが、ソ連側ではシップレック(SS-N-19)とサンバーン(SS-N-22)が別の種類のミサイルになっていたり、ソ連潜水艦のロケット推進魚雷や超重魚雷(Type65)がルール化されている等である。このあたり、往時に比べて得られる情報量が増えた昨今の状況を反映しているといえよう。
システムはいわゆる「カードドリブン」方式。両軍とも毎Turnにカードに示されたOPsを獲得。OPsを消費して作戦を進めていく。なお、一部の行動(例えば水上艦の移動)にはOPsを必要としないものもある。

登場する兵力は、まずソ連側は狩られる立場の戦略原潜が6ユニット、それを護衛する攻撃型原潜が4ユニット、ディーゼル潜水艦が1ユニット、哨戒機3ユニット、そして空母「キエフ」を中心とする空母機動部隊が登場する。対するNATO側は、主力となる米英の攻撃型原潜が4ユニット、ノルウェーのディーゼル潜水艦が1ユニット、そして対潜哨戒機が3ユニットである。
1Turn

GIUKギャップ前面では、ソ連側攻撃型原潜がGIUKギャップの突破を狙って機会を伺っている。それに対してNATO側対潜哨戒部隊は容赦ない攻撃を加えて、アルファ型及びノヴェンバー型原潜をそれぞれステップロスさせた。
2Turn

米スタージョン級原潜が攻撃を仕掛け、護衛のヴィクター2型を海底に葬り去ったが、そのスタージョン級も直後に飛来したソ連対潜哨戒機の攻撃を受けて哀れ海の藻屑となった。
続いて「聖域」に突入してきたのは英海軍のスィフトシュア級原潜で、その攻撃によって遂にソ連側弾道ミサイル原潜にも被害が及んでしまう。デルタ3型弾道ミサイル原潜がステップロス。北米東岸部を壊滅に追い込めるだけの打撃力が海底に没した。
さらに米海軍のロサンゼルス級原潜がソ連側哨戒網を突破して「聖域」に突入する。旧式のデルタ1型戦略ミサイル原潜が完全損失。ソ連海軍の報復核戦力は無視できないレベルの損失を被った。もっともそのロサンゼルス級もソ連側ヴィクター3型原潜の反撃を受けてステップロスを余儀なくされるのだが・・・。
GIUKギャップでは、ノヴェンバー型とアルファ型の攻撃型原潜が大西洋への突破を図る。アルファ型は突破に成功したが、旧式のノヴェンバー型原潜は、NATOの対潜網に引っ掛かって海の藻屑となってしまう。
余談だが、ノヴェンバー型のような旧式の原潜がゲームに登場するのは意外と珍しい。エコー型やジュリエット型の潜水艦もそうだが、本作にはフリートシリーズでは登場しなかったような旧式潜水艦が登場してくるので興味深い。

ちなみに勝利条件はペイロード値を8以上撃沈すればNATOの勝利となる。どうみてもNATO側の圧勝であった。他にソ連軍は攻撃型原潜7ステップを失ったが、NATO側も攻撃型原潜6ステップ、ディーゼル潜水艦1ステップを失い、生き残ったのは攻撃型原潜2ステップ、ディーゼル潜水艦1ステップに過ぎなかった。NATO側にとっては「犠牲の多い勝利」だった。

NATO側の勝因は、損害を顧みずにSSBN攻撃に全力を投入したことであっただろう。「聖域」での戦いは性能に勝るNATO側原潜部隊にとっても苦しい戦いとなり、投入兵力の70%以上を失うという厳しい結果になったが、その断固たる決意がNATO側に勝利をもたらした。
対するソ連側は目的を集中できなかったことが敗因だろう。GIUKギャップ突破を狙ったアルファ型、ノヴェンバー型の各原潜にせよ、GIUKギャップ突破に拘ったためにあたら優勢なNATO側対潜哨戒機によって撃破されてしまった。GIUKギャップ突破に固執せず、早々に「聖域」まで下がっていれば、NATO側原潜部隊に対する強力な対抗戦力となり得ただろうし、少なくとも味方SSBNの楯としてぐらいは機能していた可能性が高い。
今回の練習は、カードも使わず、基本的なゲームの流れと潜水艦戦の部分だけを押さえたシンプルなものである。慣れれば1時間とかからずにプレイできる。カードを使わない分、本作の醍醐味を満喫できるとは言い難いが、最初のとっかかりとしてプレイしてみる分には悪くないシナリオだと思う。
つづく








コメント
コメント一覧 (2)
これは、英文を和訳ででしょうか?
続きを期待しています。
もりつち
が
しました