
今こそ知りたいDX戦略
石角友愛 ディスカヴァー・トゥエンティワン
DX(デジタルトランスフォーメーション)。欧米諸国や中国と比較してIT化で後れを取っているとみなされている日本企業。アフターコロナで価値観の大変革が予想される中、日本政府も本腰を入れてIT化推進に舵を取り始めた。2021年9月のデジタル庁設立はその現れと言える。しかし「笛吹けども踊らず」。日本型大企業の多くは、未だ「日本的労働集約型働き方」から脱却できていない。
それが端的に表れているのがコロナ対策だ。ここで日本政府のコロナ対策について云々するつもりはないが、問題視したいのはコロナワクチン開発だ。米英や中国、ロシアまでが自前でコロナワクチンの実用化に成功する中、先端技術を誇る筈の我が国がコロナワクチンを先んじて開発できないのは何故か。創業からは僅か10年の米モデルナ社がいち早くコロナワクチン開発に成功しているのに、日本の製薬会社は何をやっているのか。日本人としては忸怩たる思いにかられる。
本書はDXを扱った著作である。DXとは何か、何故DXに取り組む必要があるのか、DXとIT化との違い等について分かりやすく解説している。さらに日本企業がDXに成功していないことに着目し、DX推進のために超えるべき壁として「何から手を付けて良いかわからない」「なかなか実現フェーズに進まない」「リソースが足らない」という3つを定義し、その解決方法について具体的に解説している。そして実際にDXに成功した企業として、ネットフリックス、ペロトン、ホリプロ、不二家等を取り上げ、それぞれの進め方を紹介している。ワクチン開発とDX。一見関係なさそうな2者の関係についても本書を読めば理解できよう。
お奨め度★★★★
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