The Luftwaffe and the War ar Sea 1939-1945

David Isby編 Greenhill Books

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タイトルは「ドイツ空軍と海上戦争1939-1945」で、WW2におけるドイツ空軍と海上戦闘との関わり合いを著したものである。この著作は、ドイツ海軍空軍の士官が語ったドイツ空軍、海軍が戦った欧州海域の戦いについて記したものを集めたものである。著者のDavid Isbyは、言わずと知れたAir Warのデザイナー氏である(多分)。本書は実際に戦争を戦ったドイツ海空軍の士官が数多く登場し、中には戦争前半にUボート部隊、戦争後半にはドイツ海軍全部を率いたデーニッツ提督もインタビューに登場している。
本書で多く取り上げられているのは、航空兵力に関するドイツ海軍とドイツ空軍の指揮系統の問題。「空を飛ぶものは全てドイツ空軍の指揮下にある」というのがドイツ空軍の言い分であったため、例えば戦艦・巡洋艦等に搭載されている艦上水上機もドイツ空軍の指揮下にあった。しかし実戦の場面では海空軍による共同行動の必要性が出てくる。そのような場合、統一した指揮系統を持たなければ様々な不都合が発生する。ドイツ海軍側は実戦の場面で航空部隊を自身の指揮下に置くことを求め、ドイツ空軍はそれに抵抗する。そういった葛藤が描かれている。本書を読むと、空軍独立が必ずしも海上作戦に利するものではないことが理解できよう。あの戦争全期間を通じてドイツ空軍が撃沈した敵戦艦、空母は、僅かに停戦後のイタリア戦艦「ローマ」1隻に過ぎなかったのだから。

お奨め度★★★