
South Pacific Air War Volume.1

Michael Claringbould/Peter Ingman Avonmore Books
全5巻からなるSouth Pacific Air Warシリーズの第1弾である。太平洋戦争における南太平洋方面航空戦といえば、一般にはそこそこメジャーなテーマだ。しかし本書の扱っている期間がすごい。1941年12月~翌年3月。つまり同方面の戦いがメジャーになる前の時期である。参考までに珊瑚海海戦は42年5月でガダルカナル攻防戦は同年8月からだ。
本書の期間で主な出来事は、ラバウル攻略戦、ニューギニア沖海戦、ラエ・サラモア攻略戦等。この時期の戦いは日本側から見た一方的なものが殆どで、しかもニューギニア沖海戦を除けば殆ど「鎧袖一触」的な描かれ方になっている。しかし本書は日本側だけではなく連合軍側の状況についても詳しく触れている。この時期、カタリナ、ハドソン、そしてワイラウェイ(CA-3 Wirraway)といった機体を配備していたオーストラリア軍は強力な日本軍相手に苦戦する様が克明に描かれている。
本書のAppendicesには、この時期に失われた両軍の航空機数とその内容が1機単位で細かく記されている。損失機数でいえば、連合軍34機、日本軍31機。圧倒的な兵力差として意外と連合軍が善戦しているようにも見える。しかし日本側の半数以上にあたる18機がニューギニア沖海戦での損失なので、それを除けば日本軍の損失は13機になる。さらに言えば、連合軍損失のうち10機は使い物になりそうになりワイラウェイなので、まあ何なんだが・・・。ちなみに空対空戦闘に限れば、連合軍の損失は12機、日本軍は14~18機損失となる。
メジャーな太平洋戦域でマイナーなテーマ。資料的にも興味深いので一読をお奨めしたい。
お奨め度★★★★
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