
時刻表復刻版1975年3月
JTBパブリッシング
その名の通り1975年3月の時刻表を完全復活させたもの。1975年当時私は時刻表に興味を持ち始めた頃で、親にねだって時刻表を買ったものである。今読んでみると、確かに子供が喜びそうな内容である。とにかく列車の種類が多い。特急や急行が全国を正に網の目のように結んでいる。しかも昼間長距離列車あり、夜行列車多数あり、中には鈍行のくせに夜行で長距離を走る列車もある。現在のスッキリとした時刻表と見比べると、雲泥の差だ。大阪から山陰線回りで博多行きの特急列車「まつかぜ」、あるいは大阪から青森まで約24時間で走りとおす急行列車「きたぐに」等、復活したら1度は乗ってみたい列車である。
また現在とは異なり、新幹線網がまだ整備されていない(東京ー博多がようやくつながった)ので、地方都市間の交通が盛んである。例えば仙台から山形、米沢経由で新潟まで出る急行「あさひ」、米原から豊橋、飯田線経由で辰野に向かう急行「伊那」等、現在の東京一極集中した鉄道網からは想像もつかないようなユニークな列車が走っている。
もちろん今から50年前に戻ることはできないし、現在の鉄道網が当時よりも数段利便性が高まっていることは否定しない。しかしせめて本の中でささやかなタイムトラベルを楽しんでみても良いのではないか。本書はそういった楽しみ方ができる著作である。
お奨め度★★★★
コメント