220122_銃病原菌上

銃・病原菌・鉄

ジャレド・ダイアモンド/倉骨彰訳 草思社文庫

上下巻からなる大作。人類の歴史をマクロに捉えた著作で、「コロンブスがアメリカ大陸を発見した」的な西洋中心の世界観とは一線を画す著作である。タイトルの「銃・病原菌・鉄」は、ある部族が他の部族によって滅ぼされたケースの要因を示しているが、すなわち軍事力と病原菌が部族が滅んだ主要な要因である。
我々の世界を支配しているものがヨーロッパ系人種であることは論を待たないが、筆者はその理由として食糧自給による非生産人口の確保を上げている。また何故そうなったか、については、「ヨーロッパ人種が優れていたから」ではなく、「ヨーロッパの地形的な特徴が食糧自給促進と技術の健全な進歩に適していたから」だとしている。なぜアフリカ人が世界を支配できなかったのか。何故中世に世界をリードしたイスラム圏がヨーロッパ勢に後れを取ったのか。何故世界で最も早く統一国家を形成した中国がヨーロッパの支配を甘んじていたのか。そういった点を本書は明らかにしている。
人類の歴史について新たな知見を与えてくれる著作である。

お奨め度★★★★