東條英機-「独裁者」を演じた男
一ノ瀬俊也 文藝春秋
東條(東条)英機。ヒトラーやムッソリーニと並んで連合国側からは日本の独裁者と思われていた人物である。彼が独裁者であったことは恐らく一度もなかったが、日本があの戦争を行うことになった際の総理大臣であったことは間違いなく、俗な言い方をすれば「日本を戦争に引きずり込んだ人物」という言い方は可能だ。
本書はそんな東條に焦点を当てて、彼の生い立ちや戦前、戦中、そして戦後での言動やその考え方を追った著作である。なぜ東條が「日本を戦争に引きずりこんだ」のか、東條は何に期待し、何を恐れたのか。東條が目指したものは何だったのか。等について筆者なりの考察を加えている。
私はといえば、別に東條英機という人物に左程興味はなく、牟田口廉也や富永恭次のようないわゆる「評判の悪い人」の一人という認識であった。そういった人物を筆者がどのように評価しているかに興味があったが、結論はいたって平凡であり、そういった意味ではやや肩透かしを食った感があった。
お奨め度★★★
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