自衛隊の経済学
桜林美佐 イースト新書
左翼陣営は事あるごとに自衛隊を敵視し、防衛費の増大を「軍事大国化」などと妄想としか思えない言葉で妨害する。しかし実際に日本の防衛費は、日本の置かれている安全保障環境を考えれば極端な程少なく、安全保障の多くを米国に依存せざるを得ないのが現状だ。そして自衛隊を支える防衛産業も、既に事業としては旨味がなく「儲かるはずのない」防衛事業を、単に「国を守る」という気概だけから続けているのが実情だ。
本書では日本の防衛産業の実態を主に経済面から解説した著作である。「軍事大国」「死の商人」等という煽情的な言葉とは裏腹に、日本の防衛産業が置かれている危機的な状況を分かりやすく記している。かくいう私も防衛産業の一翼を担っていたこともあるので、筆者の言わんとすることは良く理解できる。
お奨め度★★★★
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