BCS(Battalion Combat Series)とは、WW2における陸上戦闘を大隊規模で再現するシミュレーション・ウォーゲームのシリーズである。BCSの概要については、 こちらの記事 を参照されたい。
今回は、BCSシリーズの1作「Arracourt」のキャンペーンシナリオに挑戦してみた。これは、1944年9月にフランス・ロレーヌ地方のアラクール周辺で戦われた米軍とドイツ軍との戦いを描いたシナリオである。
前回までの展開 --> こちら
10Turn(9月27日)
天候は晴れたが、連合軍の航空支援は1ポイント+バズーカ・チャーリーだけ。連合軍としてはちょっと寂しい。補充ポイントもドイツ軍がまたもやダイスが良く、先に撃破されたドイツ第113装甲旅団の重戦車部隊を復活させた。先手を取ったドイツ軍は、比較的健在な第11装甲師団が前進し、米第4機甲師団の連絡線を遮断する。それに対して米第4機甲師団のCCAが反撃。第11装甲師団の先鋒部隊を撃破する。ドイツ軍も満身創痍の第113装甲旅団でシャトーサリーを攻撃。守備隊に打撃を与えて、あと一歩まで追い詰める。
南方では米第79歩兵師団がMoncel(36.11)でムルト川渡河。そのまま北上し、ルネヴィル市街に突入する。ルネヴィル中心部ではドイツ第15装甲擲弾兵師団の115連隊第3大隊が頑強に抵抗していたが、残りステップ数が1になり、陥落の危機が迫る。その一方、米第79歩兵師団も度重なる戦闘で疲労レベルが3にまで上昇しており、かなり厳しい状況にはなっている。
11Turn(9月28日)
天候は曇り。先手を取ったのは米軍。弱体化していたシャトー・サリーに第4機甲師団のCCBが増援部隊を送り込む。シャトー・サリーを攻撃するドイツ第113装甲旅団は既に攻撃力が限界に達しており、これ以上の攻撃は困難であった。その南側に隣接して展開するドイツ第111装甲旅団、第11装甲師団もそれぞれ戦力を喪失しつつあり、それに対して米第4機甲師団が反撃を実施。ドイツ軍の前線を数Hex押し返した。
南方戦線では、連合軍の攻撃を担っていた米第79歩兵師団が疲労回復のため停止。僅かにルネヴィル北方から米第6機甲師団のCCBが迂回攻撃を仕掛けていた。
12Turn(9月29日)
天候は雨。にも拘らず米軍は攻撃を仕掛ける。この日の戦いは南方から始まる。南方の要域、ルネヴィルに近づいて来た米第79歩兵師団。疲労レベル2にも関わらず完全活性化に成功した。直ちにルネヴィルに接敵。後方連絡線を遮断しつつ、砲火力を集中してルネヴィルを守るドイツ軍第15装甲擲弾兵師団の第104連隊第1大隊(1/104)を攻撃する。ドイツ軍歩兵も練度の高い精鋭部隊であったが、砲火力を集中されるとたまらず壊滅する。こうして米軍がルネヴィルを奪回した。その北側。戦線中央のアラコートに対しても米第4機甲師団のCCRが攻撃。ドイツ第111装甲旅団の守るアラコートを米軍が奪回した。
しかし北部戦線ではドイツ軍が維持を見せた。兵力の半数以上を失って壊滅状態であったドイツ第113装甲旅団が意地を見せた。4号戦車を装備した2113戦車大隊が米軍CCBの戦車大隊、機械化歩兵大隊を次々と撃破。要域シャトー・サリーへの突破口を啓開した。そこへ砲兵支援を受けた装甲擲弾兵大隊がシャトー・サリーへ突撃を敢行。米軍の守備隊を追い出し、シャトー・サリーを奪回した。
13Turn(9月30日)
最終Turnである。天候は晴れ。米軍の航空兵力も初めて全力出撃となった。先手を取った米軍は第4機甲師団のCCBを活性化し、シャトー・サリーの奪回を目指す。シャトー・サリーには、ドイツ第113装甲旅団の歩兵部隊が守備している。米軍の攻撃は猛烈を極めたが、遂に米軍はシャトー・サリーを落とすことはできなかった。
その間、ドイツ軍は第111装甲旅団を活性化し、アラコートに反撃を実施。アラコートをドイツ軍が奪回する。その後、米軍CCR、ドイツ軍第11装甲師団が活性化。アラコートを取ったり取られたり、第11装甲師団がアラコートを奪取。このままでは勝利条件的に米軍は勝てない。そこで米軍最強の第4機甲師団CCAを活性化。幸い完全活性化に成功したCCAは、アラコートに猛攻撃を実施し、遂にアラコートを米軍が奪回した。この時点でドイツ軍にアラコートを取り返す余力はもうない。
その後、小競り合いのような戦いが続いたが、結局大勢は覆らず。
ゲーム終了時にドイツ軍はVPヘクスであるシャトー・サリーを支配したものの、アラコート、ルネヴィルは米軍が支配。さらに装甲兵力の完全損失でもドイツ軍が上回っていた。勝利得点的には、米軍が3VP、ドイツ軍が1VPで、米軍の勝利に終わった。
ちなみにこのTurn、これまで活動を停止していたドイツ軍第559歩兵師団がようやくSNAFUチェックをクリアし、活動を開始。補給線を遮断している米軍部隊を撃破。補給線を回復した。さあ、これで殆ど無傷の第559歩兵師団が活動を開始できる・・・、筈だったが、既に最終Turnなので、特に活躍の余地なし。
感想
ルールは難しいが、ユニット数が少ないのでサクサク進む。戦闘は消耗型だが、ステップロスしてもユニットの能力が下がらないのでなかなか死なないイメージがある。しかし振り返ってみると、特にドイツ軍は半数以上が除去されるという大損害を被っており、その出血が凄まじい。ゲーム展開としては、結構「荒れる」。特にゲーム中盤に北方から登場するドイツ軍第559歩兵師団が「荒れる」原因になる。北方の米軍部隊(第4機甲師団)が僅か1本の補給線に依存しているので、そこを切られるとアウトだ。今回は米軍が逆にドイツ第559歩兵師団の主要連絡線を遮断し、同師団の機動を封じていたので米軍にとっては無事だった。しかし状況が逆転して米第4機甲師団が連絡線を切られて動けなくなっていたら、それこそドイツ軍の圧勝だった。米軍としてはかくなる事態を避けるため、例えば第4機甲師団の連絡線を南方の道路に移す方が安全かもしれない。その場合、北方の要域シャトー・サリーはドイツ軍に委ねることになるが・・・。
ゲーム全体のイメージとしては、やや粗削りな感じはあるが、面白いと感じた。歩兵、戦車、砲兵がそれぞれの役割を持っていて、その違いがマップ上に表現されているのが興味深い。ただしコンポーネントにはやや不満があり、例えば戦車部隊はNATO兵科ではなく戦車のシルエットにした方がより雰囲気が出たものと思われる。
とまあ色々書いたが、BCSというシステムは非常に面白く、先進的なものであることは確か。今回プレイしたArracourtは一番小規模なゲームだが、他にも電撃戦をテーマとした作品が発表されているので、機会を見つけてプレイしてみたい。
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