小隊
砂川文次 文藝春秋
1990年生まれの元自衛官が書いた現在兵士の物語。3編の小編からなり、主人公はいずれも自衛官又は元自衛官である。舞台は、ロシア軍の侵攻に晒された根室~釧路地区で遅退戦闘を行う陸自第5旅団。イラク又はアフガニスタンに派遣された元自衛官の傭兵が行う警固任務。そして最後は自衛官の監部候補生達が経験する過酷な行軍演習である。いずれも主人公は前線に立つ1人の下級指揮官であり、彼らの目から見た「戦場」の赤裸々な姿が描かれている。
個人的に一番面白かったのは、表題作「小隊」で、現代戦の猛烈な火力戦闘に巻き込まれた主人公達の葛藤や苦しみがリアルに再現されている。小隊規模の歩兵戦闘がどのような形で行われているか、そしてその中で個々の幹部や曹士たちがどのように考え、行動したのかが克明に描かれている。
他の2作品は、より主人公の内面に入っていくような作品である。ちゃんと「読める」人には面白い作品だとは思うが、字面を丹念に追いかけるのがやや苦手な私にのっとては、やや面倒臭く感じる作品であった。
お奨め度★★★
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