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GMTのZEROは面白いゲームである。
テーマはWW2の空中戦だが、ボードとヘクスを使うのではなく、カードを使うのが特徴である。
ルールは簡単。1回の空中戦なら15分もあれば終了する。
キャンペーンゲームもついているので万人にお奨めできるゲームといえる。
私はZEROが面白かったので、その続編ヘルキャットとコルセアも購入し、さらに欧州戦線版も入手しようとしたが、こちらは絶版であった。再販を望みたい所である。

さて今回は、ZEROで見る日米戦闘機比較ということで、日米の戦闘機がどのようにレーティングされているかを戦役毎に紹介していきたい。日本人にとって納得いかないレーティングもあるかもしれないが、一方でアメリカ人の考え方に触れることができるという意味ではとても興味深いものである。ここは一つ大人になって、彼らのレーティングを愉しんでみようではないか・・・。

1.開戦初期の戦い


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両軍の主力戦闘機を並べてみた。
日本側は、97式戦闘機1式戦闘機(隼)、そして零戦21型である。
日本機に共通した特徴として、アジャイルという特殊能力がある。これはどんなカードでもシーザースに変更できるというもので、ドッグファイト時に上手く使えばなかなか強力な能力になる。
まず97式戦闘機エンジンパワー火力とも連合軍機には遠く及ばない。頼みはアジャイルだけだが、これだけ基本性能がダメダメだと、アジャイルだけで克服するのは難しい。実際、価値ポイントの面でも本機はわずか1点。同時期の連合軍機が3~4点(あのヘタレバッファローですら3点)と比較すると、ノモンハンの英雄も随分甘く見られたものである。まあ本機の苦戦ぶりは、梅本弘氏の名著ビルマ航空戦にも記されていることなので、史実に忠実といえば忠実だが。
次に1式戦闘機火力不足は相変わらずだが、エンジンパワーが改善されたので随分使いやすくはなった。価値ポイントも3点と、ようやく人間並みになった。アジャイル能力を上手く使えば連合軍機となんとか互角に戦えるだろう。ちなみに梅本氏の前掲著では、1式戦闘機スピットファイアマスタング相手に互角の戦いを繰り広げたと記されているが、本ゲームのレーティングを見る限りにおいては、俄かに信じがたい
最後にお待ちかねの零戦火力が遂に連合軍機に並んだ。機動性も五分以上。それにアジャイル能力も加われば、連合軍機恐るるに足らずだ。実際、戦い方を間違えない限り、同数であれば連合軍機相手に有利な戦いを展開できるだろう。零戦の最大の弱点は、言うまでもなく防弾装備である。まだこの時期はそれほど極端に違いはないが、それでも最大損害許容度=4は連合軍機の5~7に比べて脆弱だといわざるを得ない。零戦で戦う場合は相手に撃たれない様な戦いを心がける必要がある。

連合軍機は、P-40B TomahawkP-40E WarhawkHurricaneIIbの3機種を揚げて見た。
まずP-40B零戦と比較すると機動性がやや見劣りし、また他の連合軍機と比べて機体が脆弱である(最大損害許容度5)。本機で零戦と互角の戦いを演じるのは少し難しいだろう。相手が零戦以外なら、まあ火力が弱いので互角以上には戦える。
次にP-40E。運動性は相変わらずだが、機体の強度が増している(最大損害許容度7)。零戦相手には肉を切らせて骨を絶つ戦法に出れば、互角に戦うことができるかもしれない。ただしアジャイルは要注意だ。
最後にHurricaneIIb。額面的な機動性では零戦に拮抗している。ただ相手にはアジャイルがあることを忘れてはいけない。撃たれ強さはそれほどでもない(最大損害許容度6)が、零戦よりはもちろん頑強なのでで、アジャイルに注意しつつ殴り合いに持ち込むことを心がけるべきである。僚機の有効活用が鍵か?。

2.ガダルカナル戦


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ガダルカナルの戦いは1942年8月に始まり、翌年2月に終了した。ここでは1942年後半に登場した日米の戦闘機について比較検証してみたい。

日本側代表選手は零戦21型2式水上戦闘機、そして零式観測機である。
前2者はとにかく、最後の零観には違和感を持つ方がいるかも知れない(ガ島戦に詳しい方なら、「何を今更」と思われるだろうが・・・)。ガダルカナル戦当時、日本側はガ島付近に有力な友軍飛行場を持たなかった。そのため日本軍は飛行場不要な水上機に目をつけ、それを集結してガ島周辺海域に送り込んだ。彼らは性能的な劣勢にも関わらず善戦し、途切れがちな日本側シーレーンを守るために全滅を賭して戦った。このことは覚えておいて良い歴史の1つである。以上余談。
まず零戦。前回説明したので詳細は省く。この時期はまだ連合軍機に対して概ね性能面で優位に立っていたと言ってよい。米国製ゲームでこのような評価がなされていることは、高く評価して良いのではないだろうか?。
次に2式水上戦闘機。一部では「陸上戦闘機並みの運動性能」とか、「米軍機相手に互角以上に戦える」とか評されている零戦の従兄弟だが、実際の戦歴を見る限りそれほど優秀とは思えない。ゲーム上の評価でもアジャイルこそあるものの、機動性は連合軍機よりも軒並み下。零戦譲りの打たれ弱さは相変わらずなので、余程上手く立ち回らない限り連合軍機相手に互角の戦いは難しい
最後に零式観測機。艦隊決戦時の弾着観測が主任務だが、日本海軍の複座観測機は伝統的に空戦性能を重視する傾向があり、本機も多分に漏れずそれなりの(あくまで「それなりの」)空戦性能を持っている。ゲーム上の評価は「2水戦から火力とパワーを減らしたもの」という感じで、2水戦以上に苦戦は免れない。面白い所では観測員用に旋回機銃があるので、使い様によっては嫌がらせ程度には使えるかも。

連合軍は、F4F WildcatP-400 AiracobraP-39K Airacobraである。
F4F Wildcat零戦のライバルとされる艦上戦闘機。ゲーム上の評価では、零戦よりも運動性がやや見劣りし、またアジャイルもないのでドッグファイトで苦戦は免れない。ただ機体が頑丈で耐久力が大きい(最大許容損害度=6)なので、撃ちあいに持ち込めば勝機がある。
P-400P-39輸出仕様機エンジンパワーが低く機動性もなく、さらには上昇性能が極端に悪いので、零戦相手にまともなドッグファイトは難しい。恐らく一方的にやられるだろう。機体の頑丈さではワイルドキャット以上だが、これほど基本性能が低くては撃ちあいに持ち込むまでもなくやられてしまう。ただ相手が水上機なら有利に戦えようが(それでも2水戦相手なら苦戦するかも・・・)。
P-39KP-39の後期型。エンジンを換装してネックであった高高度性能をやや改善した(と歴史の本には書かれてある)らしい。ゲーム上でもP-39シリーズの撃たれ強さはそのままに、エンジンパワーと上昇性能が著しく改善されている。この性能なら零戦相手に互角の戦闘も可能である。



DVG Corsair Leader
大空のサムライ 零戦 その誕生と栄光の記録 攻防-ラバウル航空隊発進篇 ガ島航空戦(上)
The First Team - Pacific Naval Air Combat from Pearl Harbor to Midway 1942 The First Team and the Guadalcalnal Campaign F4F Wildcat vs A6M Zero-sen Pacific Theater 1942 F6F Hellcat vs A6M Zero-sen