Yamato_Trial_1941


某会議室での「聯合艦隊」ネタはようやく下火になってきたが、今にして思うと「なぜいまさらIJN?」の感は拭うことができない。確かにサンセットから鳴り物入りで登場した新作品であり、コンポーネントの豪華さとも相まって話題になる要素はある。しかしあの加熱ぶりはやはり「異常」だと思わざるを得ない。

その答えは結局「アイオワの防御力が大和を勝る」という1点のみに求めることができると思う。
この話題の発端となった某氏の発言もアイオワ級の防御力評価に対する批判であったし、その後の議論も概ね「大和とアイオワはどちらが強いか?」という点を軸に展開されて行ったように思う。多くの日本人にとって、また多くの戦史ファンにとって、戦艦大和という存在はある種の聖域である。これを宗教に例えるなら、戦艦大和は信徒達にとってのであり、その教義は「大和はいかなる敵戦艦よりも強力でなければならない」ということなのではないだろうか。

ところで戦艦大和と並んで日本人が誇りを感じるものに、零式艦上戦闘機(零戦)がある。しかし我々ボードゲーム界における零戦の評価は必ずしも芳しいものではない。「日本機動部隊」のように「零戦最高!」的なレーティングのゲームも中にはあるが、アメリカ製のゲームでは大半が「零戦はF4Fと互角、あるいはちょっと強いぐらい」であり、中には「フラットトップ」のように「F4Fは零戦よりも強い」というとんでもない(あくまで日本人から見た場合)レーティングのゲームもある。にも関わらずF4Fと零戦のレーティングが話題になることはあまりない。なぜか?。私が思うに、零戦の場合は「零戦が必ずしもF4Fに代表される米戦闘機を圧倒していたわけではない」という歴史的な事実が広く知られるようになってきたためだと思う。つまり実戦記録による戦闘力の証明が既になされているということになる。

ところで大和に話を戻すと、大和の場合、幸か不幸が戦闘記録に乏しい。もちろん米水上艦艇と砲火を交えたこともあるし、その記録は必ずしも「大和信者」の期待に応えるようなものではなかった。しかし対戦艦の実戦記録は皆無である。したがって大和の対戦艦能力は未だに(そして多分永遠に)未知数なのである。

神は人から見えないから神であり続けることができる。戦艦大和という名の神は、これからも多くの信者たちの心を捉え続けることになるだろう。

戦艦大和に対する批判は、信者達にとって「神への冒涜」になるのかも知れない(笑)。


余談:レーティングに関して言えば、IJNよりも日本機動部隊シリーズの方がよっぽど異常だと私は思うのだが・・・。「大和が強ければ何でもOK、大和が弱いと断固糾弾」的な考え方は、少し悲しい。