魚雷の威力はどのぐらいだろうか?。
太平洋戦域で魚雷攻撃(水上艦又は潜水艦発射による)を受けた艦船の被害状況を調べてみた。
すると面白い現象が見えてきた。
(以下の文章では、不発魚雷は命中とは数えない)
太平洋戦域で魚雷攻撃(水上艦又は潜水艦発射による)を受けた艦船の被害状況を調べてみた。
すると面白い現象が見えてきた。
(以下の文章では、不発魚雷は命中とは数えない)
駆逐艦級の場合
駆逐艦級、すなわち概ね3000トン未満の排水量の戦闘艦艇について言えば、魚雷1本命中の場合、少なく見ても5割以上で助からない。
魚雷2本命中の場合、ほぼ100%助からない。
ということになる。
太平洋戦域で魚雷1本の命中を喫して生還した駆逐艦は少なくとも3例知られている。
「グゥイン」 第3次ソロモン
「セルフリッジ」 ベララベラ沖夜戦
「フート」 ブーゲンビル島沖海戦
いずれも米艦であり、日本艦で上記のような戦例はない(私の知る限り)。
一方で魚雷1本喫して生還し得なかった例は7例ある。
魚雷2本喫して生還した駆逐艦はない。
これは小型巡洋艦(概ね6千トン未満)でも事情は同じである。
従って駆逐艦、小型巡洋艦については、魚雷2本で確実な致死量と考えて良さそうだ。
重巡級の場合
排水量が1万トン前後の大型巡洋艦になると事情はやや異なってくる。魚雷1本命中の場合、これらの艦を抹殺することは困難である。
実戦例を見ても魚雷1本で死に至らしめられた大型巡洋艦は殆どない。
魚雷2本の場合は微妙である。
生還例(ミネアポリス、高雄等)と戦没例(ノーザンプトン、インディアナポリス等)が概ね半々である。
魚雷3本以上命中して生還した大型巡洋艦を私は知らない。
従って大型巡洋艦は魚雷2本命中は多分ギリギリで耐えるだろうが、3本以上命中した場合はまず生還できない、ぐらいのレーティングが丁度良い様に思える。
もう1点。
重巡は魚雷1本命中でも大きな被害を被る。ということを忘れてはいけない。重巡クラスで魚雷を喫した後もほぼ支障なく戦闘を継続した事例は皆無である。ゲーム上では魚雷命中による被害は船体ボックスの喪失という形で表現される。それだけだと魚雷命中に伴う重大な被害を実感できないので、特殊損傷ルールをうまく組み込んで魚雷命中に伴う重大損傷を再現したい。
戦艦の場合
実は戦艦の場合も大型巡洋艦とさほど事情は変わらない。魚雷2本で戦没した例(扶桑、金剛)もあるし、魚雷3本以上喫して生還した例がないのも大型巡洋艦と同じ。むろん艦が大きく浮力にも余裕があるので大型巡洋艦よりは耐久力があるとは思うが、それでも例えば「魚雷10本食らっても大丈夫」とはならないと思う。ただ魚雷命中時の衝撃や戦闘能力に与える影響は、大型巡洋艦に比べると遥かに小さいであろう。致死量については、大雑把な計算で
排水量÷1万トン
ぐらいが案外妥当な線ではないか、と最近は思っている?。大和や武蔵についても魚雷6本前後を致死量と考えて良いと思う。
シブヤン海や坊が崎沖の海戦は、大和・武蔵が「魚雷10本以上に耐えられる」ことを証明したのではなく、大和・武蔵は「魚雷を十数本受けたら耐えられない」ということを証明したに過ぎない。
シブヤン海や坊が崎沖の海戦は、大和・武蔵が「魚雷10本以上に耐えられる」ことを証明したのではなく、大和・武蔵は「魚雷を十数本受けたら耐えられない」ということを証明したに過ぎない。
コメント
コメント一覧 (2)
こんな事を言うのも何ですが、航空魚雷と潜水艦魚雷でも違うのではないでしょうか。『丸』で空母信濃が取り上げられた時に、潜水艦魚雷4発命中で沈んだ信濃は、満身創痍で沈んだ大和や武蔵に比べてあっけないように見えるが、実は持ちこたえられた部類ではなかったかと書いてありました。無論命中した時点で「終了」ではあったでしょうが。
もりつち
がしました