(写真)軽巡「ホノルル」とその6インチ主砲
電探射撃の実態
このゲーム、どうも砲撃がヌルい。撃っても撃ってもなかなか艦が死なない。
なるほど、夜戦だから魚雷が主役なのは仕方がないかもしれない。
でも電探射撃ってこんなにダメダメなの?。
「新月」も「神通」も「川内」も、こんなダメダメな電探射撃にやられちゃったの?。
という訳で、実戦における電探射撃とゲームにおけるそれを比較して検証してみることにした。
昭和18年。暑い暑いソロモンの海である。
実戦で示した実力
ビラ・スタンモア海戦(1943/03/05深夜)
日本側の参加兵力は駆逐艦2隻(「村雨」「峯雲」)、米艦隊は軽巡3,駆逐艦3。軽巡はいずれも新鋭のクリーブランド級だ。結果は米艦隊の一方的な砲雷撃により日本側は反撃する間もなく全滅した。両軍の兵力を冷静に比較すれば日本側の完敗もある意味当然ともいえる。が、しかし歴戦の駆逐艦2隻が全く反撃する間もなくやられてしまったことは、当時の日本海軍にとって相当ショックだったようだ。肝心の電探射撃だが、この戦いで米軽巡3隻は15キロ以内の距離から13分間の射撃を行い、駆逐艦を2隻とも仕留めている。もし同じ状況をゲームで再現すると、日本駆逐艦に与えられる平均的な命中弾数は精々3~4発、打撃数は2~3ぐらいである。駆逐艦1隻を中破させる程度で、運がよければ1隻撃沈できるぐらい。史実の結果に比べるとかなり貧弱である。
ただ史実では「村雨」には魚雷も当たっているらしいので、やや割り引いて考える必要があるが・・・。
クラ湾夜戦(1943/07/05深夜)
参加兵力は日本側が駆逐艦7、米側が軽巡3,駆逐艦4。隻数は互角だが軽巡を含む米艦隊が優勢なのは言うまでもない。しかしこの戦いでは日本側も善戦した。砲撃で新鋭駆逐艦「新月」が沈められたもの、歴戦の軽巡「ヘレナ」を撃沈したからである。本題の電探射撃だが、第1次戦闘では距離6~7km、軽巡3隻による7分間の射撃で「新月」に15発の命中弾を与えてこれを大破、さらに駆逐艦2隻に軽微な損害を与えた。ゲームで同じく事を再現すると、平均的な命中弾数は3発強。打撃数は2~3ぐらいで、大型駆逐艦を始末するには心もとない数である。ここでも史実よりダメじゃん。
コロンバンガラ沖海戦(1943/07/12深夜)
参加兵力は日本側が軽巡1,駆逐艦5、米側が軽巡3,駆逐艦10。単純に隻数を比較しただけでも米軍の優勢は明らかである。でもこの戦いの勝者は日本海軍である。日本海軍夜戦部隊の面目躍如といったところだろうか。さて電探射撃だが、第1次戦闘では軽巡3隻が距離6~10kmで「神通」に集中砲火を浴びせた。5分間の射撃で「神通」に火災発生。さらに12分後に開始された第2次戦闘では軽巡2隻が距離9km前後で「神通」を11分間砲撃した。「神通」は2度に渡る砲撃によって戦闘能力を失った。さて、同じ事をゲームで再現しよう。第1次戦闘ではかなり近距離から攻撃しているが、それでも平均命中数は約3発。第2次戦闘では距離が遠くなり射撃艦も1隻減ったが、射撃時間が伸びたために平均命中数は2~3発。合計して4~5発の命中を与えられるが、打撃数は3~4。「神通」を大破させるにはやや苦しい値だ。
ブーゲンビル沖海戦(1943/11/02未明)
最後は今まで何度も取り上げてきたブーゲンビル沖海戦だ。詳細は省略する。電探砲戦の結果とゲーム上との比較は下記の通り。
第1次戦闘は軽巡4隻が距離14kmで「川内」を6分間砲撃。「川内」航行不能。ゲームで再現すると命中弾2発弱。打撃数は1~2である。「川内」を航行不能にするには全然足りない。
第2次戦闘はやはり軽巡4隻が距離18kmで「阿賀野」を7分間砲撃。命中なし。ゲームで再現すると命中弾0.4発。打撃数は0~1である。史実の結果はまあ妥当か。
第3次戦闘は米軽巡4隻と日本重巡2隻の決闘。射撃時間8分。命中弾は「羽黒」に6発、「妙高」に1発。盲弾が多かったために実質的な戦果は乏しい。ゲームで再現すると、日本重巡への命中弾数は平均2~3発。打撃数は1~2ぐらいである。打撃数はほぼ史実通りだが、命中弾数は史実よりも少ない。
ついでに日本側。「羽黒」「妙高」による米艦隊への砲撃は距離13~17kmで9分間行われた。命中弾数は3発で米軽巡1隻を小破させた。ゲームで再現すると平均命中弾数は1~2。打撃数は1~2で、やはり史実と比べるとかなりさびしい。
別の問題
今度は別の観点から電探射撃(というよりも夜間射撃全般)の問題を考察してみたい。夜戦における射撃は実に短時間で終了していることに気づく。よくゲームで見られるように「1時間連続砲撃」というようなことはまずあり得ない。短い場合は2~3分、長くても10分強である。ゲームでの時間で言えば1~2ターンということになる。
例えば以下のように。
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