こんなページを見つけたので紹介する。
主題:"US Navy Torpedoes"
副題:"Part Two: The great torpedo scandal, 1941-43
副題:"Part Two: The great torpedo scandal, 1941-43
詳しくは実際に読んで下さい。それが一番確実です。
米国製魚雷のおける巨大なスキャンダル
このページが取り上げているのは、1941~1943年、すなわち太平洋戦争前半期における米国製魚雷、特に潜水艦用魚雷Mk.14を巡るいくつかの欠陥についてである。本ページによると、Mk.14の欠陥は大きく取り上げると以下の3点であった。(1) 深度調整機構の不良
(2) 磁気信管の不良
(3) 着発信管の不良
本ページでは、それぞれの欠陥をなした原因についての探求を行っている。(1)については魚雷の深度を計測する水圧計の配置不良、(2)は緯度の違いに伴う磁気補償機構の未熟、(3)は機構的な不良に原因があったとしている。
またこれらの不良を生み出した背景として、
(1) 1930年代における米国海軍の慢性的な予算不足(高価な魚雷を失うことを避けるため、実弾頭を使った実験は極力少なくされていた)
(2) ニューポート魚雷センター(NewPort Torpedo Station/NTS-Newport)における魚雷開発/製造における独占性。
を筆者は取り上げている。いずれも日本ではあまり知られていない事実であり、特に(2)については「NTS-Newport」又は「ニューポート魚雷センター」という名称そのものも日本では殆ど知られていないと思う(少なくとも私は知らなかった)。試しに"ニューポート","魚雷"でGeogleで検索してみたが、該当する資料はヒットしなかった。
(1) 1930年代における米国海軍の慢性的な予算不足(高価な魚雷を失うことを避けるため、実弾頭を使った実験は極力少なくされていた)
(2) ニューポート魚雷センター(NewPort Torpedo Station/NTS-Newport)における魚雷開発/製造における独占性。
を筆者は取り上げている。いずれも日本ではあまり知られていない事実であり、特に(2)については「NTS-Newport」又は「ニューポート魚雷センター」という名称そのものも日本では殆ど知られていないと思う(少なくとも私は知らなかった)。試しに"ニューポート","魚雷"でGeogleで検索してみたが、該当する資料はヒットしなかった。
このページの内容で少し不可解なのは「潜水艦用MK.14で顕在化した欠陥が、水上艦用Mk.15では殆ど顕在化しなかった」と書かれていることである。筆者によればMk.14とMk.15の構造や性能は殆ど同じであるとのこと(全長が若干Mk.15の方が長いらしい)。筆者もこの点は不思議に思ったらしく、「Mk.15の方がMk.14よりも最大速度が若干遅いためか?」とか「水上艦による魚雷攻撃は混沌とした状況で行うのが常だから欠陥を確認する暇がなかったのか?」とか推測している。
感想
米国側から見た魚雷開発史ということで興味深い内容であった。Mk.14の欠陥についても、原因の分類や科学的な原因探求など、いかにも「アメリカ的」なアプローチが興味深い。磁気信管の不良や深度調整機構の不備は、原因さえ判明すれば「なーんだ、そんなことか」と素人でもある程度理解できる内容だった。しかしそれを改善するまでに2年間近くの期間が必要だったという点、合理的と言われる米海軍にあっても不合理な面はあったのかな、と思ってしまった。本書の中では「不具合の根源」のように記されているNTS-Newport(ニューポート魚雷センター)であるが、日本では殆ど知られていないこの組織・設備が一体どのようなものであったのか、一度調べてみたい気持ちになった。不可解なのは、水上艦用のMk.15である。こちらの方は欠陥が殆ど顕在化しなかったとのことだが、果たして欠陥がなかったのだろうか?。本書によると潜水艦用Mk.14の欠陥が概ね是正されたのが1943年夏ということである。1943年夏といえば、8月に中部ソロモンでベラ湾海戦があり、その時米駆逐艦の奇襲攻撃によって日本駆逐艦3隻が瞬時に撃沈されるという事件が起きている。この海戦以降、米国の魚雷が次第に日本艦隊の脅威となっていくのだが、実はこれ以前は米国製魚雷は殆ど日本艦に当たっていない。ひょっとしたら潜水艦用魚雷で顕在化した魚雷の欠陥が水上艦用魚雷にも内在していて、その結果雷撃成果の不良という結果になったのではないか。筆者は「水上艦用魚雷では欠陥は殆ど顕在化しなかった」と書いているが、それは単に顕在化しなかっただけのこと。実は魚雷そのものは欠陥品で、それを米駆逐艦の乗組員達は気づいていなかっただけではないのか?。戦史を調べてみると、どうもそう考えるのが自然なように思える。
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