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前回までのあらすじ

 根室海峡でのソ連情報収集船沈没に端を発した日ソ戦争は、米軍をも巻き込んだ大規模海戦にエスカレートした。
 北海道へ向かう増援部隊を乗せた米輸送船団に対し、空中、海上、海中から激しい攻撃が加えられる。数隻の輸送船とフリゲート艦が撃破され、多数の兵員が海の藻屑となった。しかし日米合同軍の反撃は数隻のソ連潜水艦を撃破することに成功した。
 一方カムチャッカを目指すソ連輸送船団に対し、米空母「カールビンソン」の艦載機と三沢基地の航空部隊が数度に渡って攻撃を加えた。しかし艦隊の対空防御は堅く、合同軍の戦果はわずかに巡洋艦1隻を撃沈したのみであった。無傷のままカムチャッカに近づくソ連輸送船団に対し、日米の潜水艦がようやく追いつこうとしていた。


第4ターン:戦略航空作戦

分析

ソ連軍
「オホーツク海ゾーン」。味方の輸送船団と機動部隊がいる。これは発見されたくない。投入可能な戦闘機はMig-31と空母のYak-36が2枚。
「北海道ゾーン」。敵輸送船団2個と空母機動部隊がいる。これもなんとか発見したいが、空母機動部隊と輸送船団には「局地索敵」マーカーが乗せられているので、仮に発見できなくてもなんとかなる。投入可能な戦闘機はMig-31と樺太、千島のMig-23が合計2枚。
「北西太平洋ゾーン」。味方潜水艦が3隻いる。見つかりたくはないが、見つかる可能性は大きくないし、仮に見つかったとしてもそれほど致命的ではない。

日米軍
「オホーツク海ゾーン」。敵輸送船団と機動部隊がいる。特に敵機動部隊はなんとか発見したい(輸送船団は遠すぎて手を出せない)。投入可能な戦闘機は千歳のF-15が2枚。
「北海道ゾーン」。味方の全水上艦隊がいる。できれば見つかりたくない。投入可能な戦闘機は千歳のF-15の他に、三沢のF-16が2枚、「カールビンソン」のF-14とF-18が各2枚である。
「北西太平洋ゾーン」。敵潜水艦3隻がいる。重要度は小さいが、敵戦闘機が飛んでくる可能性は小さいので、P-3Cを1枚ぐらい配置しても良いかも知れない。

展開

ソ連軍
オホーツク海:Mig-31,Tu-16E
北海道   :Mig-23,Tu-16D,Il-38

日米軍
オホーツク海:F-15,F-4G,S-3,P-3C
北海道   :F-15(ステップロス)

結果

北海道ではステップロスしたF-15と樺太を発進したMig-23が対決。結果は空自F-15の大勝利。Mig-23は2ステップを失って壊滅。ソ連哨戒機部隊はF-15の追撃を辛くもかわして基地へ引き上げていった。
オホーツク海では共に電子戦機の支援を受けた空自F-15とソ連Mig-31が対決。結果は相打ち。両者とも引上げ。日米軍の哨戒機は敵艦隊に「戦略索敵」マーカーを置くことに成功した。

第4ターン(D+2日午前)

「カールビンソン」を発進したF-14,F-18,A-6,EA-6の混成編隊が「ノボロシスク」の機動部隊を襲った。ソ連艦隊は戦闘機による迎撃を諦め(オッズに差がありすぎる)、対空砲火で迎え撃った。火力40の対空砲火は凄まじい威力を発揮し、A-6部隊は壊滅、F-18は巡洋艦「タシュケント」を狙って爆弾を投下したが、有効打はなかった。
三沢の空自F-1は米軍F-16の護衛の下で択捉島を攻撃。迎撃するMig-23をF-16は蹴散らし(1ステップロス)、F-1は爆撃コースに入ったが、対空砲火を受けて1ステップロス。爆撃も失敗に終わった。
八戸の海自P-3C部隊がソ連ディーゼル潜を攻撃。2度の対潜攻撃を両方とも成功させてこのディーゼル潜を撃沈した。先ほどから対潜部隊の奮戦が光る。
カムチャツカを目指すソ連軍輸送船団に対してようやく日米の潜水艦が追いついた。「バットフィッシュ」の雷撃で輸送船1ユニットをステップロスさせたが、ソ連対潜部隊の攻撃で海自の「せとしお」が損傷した。その他、Tu-16Gのミサイル攻撃で海自の「しらね」が轟沈。

第5ターン(D+2日午後)

今まで良い所のなかった「カールビンソン」の戦闘機隊が初めて戦果を上げた。「ノボロシスク」機動部隊を攻撃した際、敵迎撃機Yak-36と交戦。これを一方的に叩き落して壊滅させた。F-18が発射したハープーンミサイルも濃密な対空砲火をかいくぐって新鋭駆逐艦「ベズプレチュイ」(ソブレメンヌイ級)に命中。同艦を撃沈した。CAPの傘を失った「ノボロシスク」機動部隊に八戸基地から飛び立った海自P-3C×2個飛行隊が襲い掛かった。長射程距離の対空ミサイルを持つ打撃巡洋艦「リガ」の対空砲火は猛烈であったが、P-3Cが発射したハープーンは巡洋艦「タシュケント」を捉えてこれを大破させた。
オホーツク海では海自潜水艦が意地を見せた。「せとしお」のハープーンが巡洋艦「フォーキン」に命中。同艦が大破。

第6ターン(D+2日夜間)

最終ターンである。先手を取った日米軍はCAPの傘を失った「ノボロシスク」機動部隊に攻撃隊を送り込んだ。海自P-3C部隊がまずハープーン攻撃を実施。巡洋艦「タシュケント」を撃沈した。続いて「カールビンソン」からF-14×1ユニットとF-18×2ユニットがEA-6の援護下で出撃していった。空母の弾庫にハープーンミサイルは既に残っていなかったので、各機は通常型爆弾を搭載していた。対空砲火でF-18がステップロスしたが、残った各機が新鋭駆逐艦「ヴィリヤテルヌイ」(ソブレメンヌイ級)に爆弾を命中させてこれを大破した。
残ったソ連艦はカムチャッカ半島へ後退。日米軍の輸送船団も傷だらけになりながら、生き残った何隻かが函館港に入港した。

両軍の損害

ソ連軍

完全損失  :巡洋艦×2、駆逐艦×1、原潜×2、通常潜×1、Su-27×1、Mig-23×1、Yak-36×1、B-12×1
ステップロス:巡洋艦×1、駆逐艦×1、原潜×1、輸送船×1、Mig-23×1

日米軍

完全損失  :駆逐艦×1、フリゲート艦×1、輸送船×1、海上事前集積船×1、A-6×1
ステップロス:通常潜×1、フリゲート艦×1、輸送船×2、F-15×1、F-14×1、F-1×1、F-18×1

= 勝利条件
ソ連軍は輸送船3.5ユニットが回航に成功し+11VP。潜水艦3隻が北西太平洋でプレゼンスを行い+6VP。敵に与えた損害+3VP。合計で20VP。
日米軍は無傷の海上事前集積船1ユニットとステップロスした輸送船2ユニットで合計9VP。敵に与えた損害14VP。合計で23VP。
結果的には-3VPで日米軍の辛勝に終わった。

感想

結果的には日米軍の辛勝になったが、対潜哨戒機の奮闘に助けられた感が強い。撃沈した2隻の原潜のうち、1隻でも生き残っていれば、ソ連側の勝利に終わったのだから。日米軍の失敗は、最初の段階でソ連輸送船団に対する攻撃に固執したことであろう。「カールビンソン」の機動部隊を味方船団の援護に回さず、敵輸送船攻撃に当てたことが結果的には味方の損害を増やす結果になってしまった。敵船団攻撃には固執せず、むしろ可及的速やかに味方船団の援護に回った方が良かったかもしれない。
ソ連側の失敗は、「ノボロシスク」機動部隊を敵に突出させすぎたことかもしれない。打撃巡洋艦「リガ」や軽空母「ノボロシスク」が如何に強力な艦であったとしても、わずか5隻の機動部隊では抵抗力には乏しい。対する日米の機動部隊は、「カールビンソン」部隊だけで5隻、船団護衛艦が8隻、海自の対潜部隊5隻の合計18隻で、隻数で比較すれば日米軍が3倍以上も優勢である。わずか1/3の戦力では、たとえ潜水艦6隻の援護があったとしても、正面から戦えば最終的な敗北は避けがたい。ここは適当にあしらった後、速やかに後退、「ミンスク」機動部隊と合同して戦力の結集を図るべきだったのかもしれない。
いずれにしても両者の戦術如何で展開は千差万別。もし「ミンスク」機動部隊が味方輸送船団援護に回らずに「ノボロシスク」部隊との合同を図れば、今度はソ連輸送船団が弱点になる。日米軍はそこをつくか、あるいは強化されたソ連機動部隊と正面から決戦を挑むか。

ゲームとしてみた場合、この「フリートシリーズ」はプレイアブルに現在海戦を楽しめる好ゲームである。キャンペーンシナリオになると、扱うマップも広く(第7艦隊の場合、フルマップ3枚)、期間も長くなり(最大36ターン)、ちょっとしたビックゲームになる。その点シナリオの場合、マップは1枚、ターン数も少なく(最大6ターン)、ユニット数も手ごろなので半日程度でプレイを終えることができる。登場するユニットが古くなっているので、その点少し興ざめではあるが、「ああ、こんな艦があったんだ」とちょっとしたノスタルジーに耽ることができる。
システム的にも索敵や戦闘のルールがシンプルにまとめられていて、それでいて現在海戦の雰囲気がそこそこ出ている。私が持っているゲームは英語版だが、英文ルールがとても読みやすく、英語に自身がない私でもそれほど苦痛なく読むことができた。
ただ細かい点を見ると変だと思う点もある。例えば対艦ミサイル戦。敵の防空火力が強力な場合、対艦ミサイルは飽和攻撃を期して全弾発射が原則である。しかし本ゲームの場合、水上艦は手持ちの対艦ミサイルを全弾同時に発射することはできない。大型対艦ミサイル20発と搭載したキーロフ級打撃巡洋艦にしても、1回の戦闘ではミサイルを2発づつしか発射できない。また全般に対艦ミサイルが非力なようにも思う。例えば大型爆撃機20数機を持つソ連軍の長距離爆撃機連隊が50発以上の大型対艦ミサイルを発射したとしても、せいぜい1~2隻に損害を与えることができる程度である。
対潜戦についても文句をつけたい。潜水艦の防御力が大きいので1撃で撃沈することはまず不可能。1回の攻撃1で損傷状態にし、次の攻撃で撃沈するという手順になる。でもタイフーン級の巨大原潜ではあるまいし、対潜魚雷を食らった潜水艦が生き残ることができるとは通常考えがたい。運がよければ生還できるかも知れないが、普通は一撃でお陀仏だろう。
空戦についても、強力な空対空レーダーを搭載し、フェニックスやスパローといった強力なミサイルを装備したF-14やF-18が、初歩的なレーダーしか持たず、機動性も並以下のYak-38に撃退されるというのも考えにくい。逆にわずか数機のF-18がCAPについているだけでバックファイヤーが全く米空母に近づくことができない、というのも変である。
とまあ文句を書けばキリがないが、現在海戦という難しいテーマを比較的簡単なルールで再現しているというのは評価してみたいと思う。


Blue Water Navy Game Journal 81-米中激突:現代海戦台湾海峡編
提督が解説する海上自衛隊艦隊と軍艦のすべて 2024年 09 月号 [雑誌]: 軍事研究 別冊 アメリカの航空母艦資料写真集 ソ連/ロシア原潜建造史 ソ連/ロシア空母建造史