(写真1)本ゲームの火砲性能表
(写真2~3)大和シナリオ
(写真2~3)大和シナリオ
幻のシナリオ
このゲームを作り始めて最初に行ったテストプレイは、以前に紹介した通り「大和vsアイオワ」でした。それ以来「大和」vs「アイオワ」は、本ゲームにおける最初の練習シナリオとして位置づけられることになりました。ところが・・・、
実はこの「大和」vs「アイオワ」シナリオは、今日までの長きに渡って幻のシナリオだったのです。確かにシナリオ集の第1シナリオには、「練習シナリオ「大和」vs「アイオワ」(仮想戦)」と書かれています。しかし、書かれているのはタイトルだけ。中身は全くありません。だからプレイしたくてもプレイできない状態だったのです。
ぶっちゃけた話、要は「シナリオ書くのが面倒だった」というだけの話なのですが、前回MEで他人にレクチャーした時、やはり簡単な練習シナリオがあった方が良いかな、と思いました。また「大和」vs「アイオワ」なら一般人の食いつきも期待できます。
そこで今回、この幻のシナリオをようやく作成することにしました。上の写真に示したのがそのシナリオです。登場兵力は「大和」「武蔵」対「アイオワ」「ニュージャージー」。とても分かりやすいシチュエーションです。状況は晴天、昼間。電探性能に劣る日本側にとっては望ましい状況です。勝利条件は、ゲーム終了時までに日本側の2隻がマップ東端に到達すれば日本側の勝利。それを阻止すれば米軍の勝利です。
大和とアイオワ、どちらが強いか
こんなことを書くと、また一悶着ありそうなのですが、ここではあくまでも「ゲーム上」での話です。その点ご理解の程を。まず砲力と装甲を比べてみると、このゲームでもやはり「大和」が有利です。「大和」の装甲は11-15-13、「アイオワ」のそれは9-13-11で、丁度2ポイント違います。さらに主砲の貫通力で「大和」が1ポイント有利なので、火力-装甲を総合すると「大和」が3ポイント有利になります。この違いを実際の戦闘状況にあてはめてみます。
まず遠距離砲戦では「大和」の主砲弾は「アイオワ」の装甲を100%貫通できるのに対し、「アイオワ」の場合は辛うじて60%が貫通します。また「大和」の主砲は1発で「アイオワ」に対して致命的損傷を与える可能性があるのに対し、「アイオワ」の場合は1発で「大和」に致命傷を与えるのは困難です。
次に中距離。「大和」は80%で相手の装甲を貫通します。この場合も致命的損傷は可能です。一方の「アイオワ」場合、貫通率は20%。致命的損傷の可能性もありません。
最後に近距離。この距離なら双方とも相手の装甲を100%貫通します。致命的損傷もお互いにあります。
以上見てきたとおり、単純な砲-装甲比較では、「大和」が有利なことが理解できるかと思います。さらに「大和」に有利な点として、(1)主砲弾1発当たりの威力が大きいこと、(2)射程距離が長く特に中距離帯が「アイオワ」よりも広いこと、(3)耐久力が大きいこと、の3点を上げることができます。つまり戦艦としての基礎体力では「大和」が有利だと言えそうです。
次に「アイオワ」の有利な点についてです。「アイオワ」の強みは、(1)速度、(2)レーダー、(3)CICの3点です。
まず速度については「大和」の移動力5に対し「アイオワ」は移動力6です。決定的な要因とは言えないとしても、戦術運動を行う上では無視できない利点です。また射距離をある程度自由に選択できる点も無視できません。
レーダーについては、全射程領域で夾又率が+10%されます。これは距離が遠いほど顕著になり、近距離では「大和」「アイオワ」の夾又率はそれぞれ70%、80%であるのに対し、遠距離ではそれが10%、20%になります。
CiCについては、日本側の指揮値4に対し、米軍のそれが5であることによって表現されています。ただ戦艦2隻に指揮値5はやや過剰な感があるのも事実で、日本側の指揮値4にしても2隻の戦艦を指揮する上で極端な不足を感じることはないでしょう。
以上の分析を踏まえて両者の戦術を検討してみましょう。
まず米側については、強みは遠距離での命中率です。速力の優位を生かして「大和」との間合いを確保することに努めつつ、有利な射撃を続けることにより相手側の損害累積を図ります。最初の夾又率は20%に過ぎなくても、とにかく一旦夾叉を得ればその後は夾又率が40%に跳ね上がりますから、相手より先に夾叉を得ることが肝要です。日本側が連続射撃を嫌って回避運動を行えば、相手の命中率は極端に低下するし、相手に指揮値ポイントを使わせることにもなります。また射撃によって小破又は中破の被害を敵戦艦に与えることができれば、相手の指揮値を大幅に減少させることができます。ただ漫然と遠距離射撃を続けていれば、最終ターンまでに決定的な戦果を上げることができず、日本側の突破を許してしまうことになるかも知れません。米艦隊としては、どこかで決然と危険ゾーンに踏み込み、近距離砲戦で雌雄を決する覚悟が必要になるかも知れません。
日本側としては、基本的に米側の動きに応じた行動になるでしょう。相手が中距離圏内に入ってくれればしめたものですが、残念ながら相手が余程の間抜けではない限りその可能性は小さいと言えるでしょう。米側は、基本的には遠距離砲戦を挑んでくると思われます。そこで日本艦隊としては、常に艦首を敵に向けて中距離圏内に敵を捉えるチャンスを狙いつつ、相手との遠距離砲戦を継続することになります。確かに遠距離砲戦では敵の命中率が優っていますが、こちらにも命中のチャンスがない訳ではありません。夾又率10%とは言え、とにかく夾叉させれば相手がデカイ分複数の命中弾が期待できます。18インチの砲弾が2、3発でも敵戦艦に命中それば、途端に状況は日本側が有利に展開するでしょう。装甲と耐久力の優位を生かし、ある時は愚直に、またある時は機敏に行動することが日本側には求められてくると思います。
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