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第1次ソロモン海戦をデザインする

ソロモン夜襲戦  昨年末は「大和」シナリオばかりプレイしていて他が全然進展しませんでした(^^;。そこで今年はシナリオ作成を再開します。ソロモン方面のヒストリカルシナリオは「第1次ソロモン」「ルンガ沖」「コロンバンガラ沖」の3本。それにレイテ戦がらみのシナリオ数本、ランダムシナリオとキャンペーンシナリオを作って合計16シナリオが完成です。一度に全シナリオを作成するのは無理なので、まずは1本づつ仕上げていきます。(この調子では一体いつまでかかることやら・・・)

歴史的背景(シナリオブックより抜粋)

 1942年8月7日、輸送船多数を伴った連合軍水陸両用部隊がソロモン諸島南部のガダルカナル島に上陸した。ミッドウェー海戦で日本空母部隊が歴史的な大敗北を喫してから2ヶ月余り。連合軍による最初の本格的な反抗作戦は、南太平洋の孤島ガダルカナルに向けられたのである。
 ガダルカナルから約1000km離れたラバウルには日本軍の前進基地があり、巡洋艦を主力とする水上部隊と零戦、陸攻を主力とする約100機の基地航空部隊がいた。基地航空部隊は直ちに発進、連合軍上陸部隊に対して空からの反撃を試みたが、敵の抵抗は激しく、上陸を阻止することはできなかった。
 一方巡洋艦を主力とする第8艦隊も速やかに出航、翌8日早朝にはブーゲンビル島沖に集結していた。ガダルカナルへ向かう彼らは敵空母からの空襲を恐れた。しかし肝心の米空母群は戦意に乏しく、さらには連合軍側の索敵エラー等により第8艦隊は敵機の妨害を受けることなくガダルカナル島へ接近していった。
 8月9日夜間、ガダルカナル近海に接近してきた第8艦隊は炎上中の連合軍輸送船を発見した。続いて連合軍の哨戒駆逐艦を発見。戦闘準備を整えた日本艦隊は、敵の密集するツラギ泊地を目指して26ノットの速度で突進していった。

 優れた夜間見張力を有する日本艦隊は、連合軍の警戒線を突破することに成功した。今や眼前には連合軍の巡洋艦群が無防備な姿を曝け出している。日本水上機の投下した照明弾が連合軍艦隊を明るく照らし出し、奇襲に成功した日本艦隊の砲火が次々と命中していった。
 海戦は1時間足らずの短時間で終わった。奇襲を食らった連合軍の被害は大きく、重巡4隻が沈没、1隻が大破してしまった。日本艦隊の損害は小さく、わずかに数隻の巡洋艦が軽微な損傷を被っただけであった。この戦いは日本艦隊の一方的な勝利に終わったが、戦術的な勝利に満足した日本艦隊は、第2撃を行うことなく戦場を離脱していった。被害を免れた連合軍輸送船団は上陸作業を継続することができ、そのことはやがてガダルカナル攻防戦で日本が敗れる要因の1つになったのである。

戦闘序列

 まずややこしい連合軍の兵力から。
 連合軍の兵力は、海戦当夜ツラギ泊地に在泊していた部隊が対象になります。その兵力は最大規模に見積もって重巡6、軽巡2、駆逐艦15、輸送船23、その他ということになります。これが一体になっていれば相当な破壊力を発揮しますが、実際に海戦に参加したのはもっと少ない艦艇です。その内訳は以下のようになります。
 北方部隊:重巡3(ビンセンス、クインシー、アストリア)、駆逐艦2
 南方部隊:重巡2(キャンベラ、シカゴ)、駆逐艦2
 警戒部隊:駆逐艦3
 合計すると重巡5、駆逐艦7です。日本側の戦力は重巡5、軽巡2、駆逐艦1ですから(ただし艦の大半が老朽艦)、額面上の兵力は両者ほぼ互角ということになります。海戦に参加しなかった連合軍部隊=重巡1、軽巡2、駆逐艦8は何をしていたかというと、戦場の後方で輸送船を守っていたのです。従ってもし日本艦隊が(史実では行わなかった)輸送船攻撃を試みたなら、これら残存艦艇が反撃してきたことは間違いないでしょう。
 話を元に戻して、本シナリオにおける連合軍戦闘序列を決定するに際し、実際に日本艦隊と戦った兵力をそのまま採用するというのは自然な考えです。実際、サンセットの「聯合艦隊」では、この方法を採用しています。ここで問題になるのは、もし日本艦隊が第2撃を企図して反転した場合です。一番簡単なのは「第2撃そのものを不可能にする」という手です。つまり日本艦隊は最初から一撃離脱しかできないようにする訳です。この方法だと残存兵力について考える必要もなく、シナリオの流れもコントロールしやすくなります。歴史的な観点から考えてもこの方法は妥当だと言えます。何故なら日本艦隊は当初から一撃離脱のみを考えていたからです。
 この方法の欠点は「歴史を変えてみたい」と考えるプレイヤーの欲望に十分応えることができない、ということです。それともう1つ、第1次ソロモン海戦をそのままシナリオ化して、果たして「面白いシナリオになるのか」という問題です。
 とりあえず今回は(時間も勿体無いので)一撃離脱のみをシナリオ化し、増援部隊や日本艦隊による輸送船団襲撃は無視することにしました。その結果、連合軍の戦闘序列は上記の重巡5、駆逐艦7だけになります。
 日本艦隊の兵力は史実通りで問題ないでしょう。あるいは史実で活躍があまり認められなかった第18戦隊の旧式艦を戦闘序列から外すという手もあります(そうすれば、ついでに面倒な連合軍哨戒駆逐艦ども=ブルー、タルボット、ジャービスも排除できる)が、本海戦における日本側の編成は広く知られているので、あまりいじると文句が出るので史実通りとします。

警戒隊形

 連合軍艦隊の北方部隊、南方部隊は中央に重巡2~3隻を単縦陣で配し、その左右に駆逐艦各1隻を翼を広げたように配置しました。

右翼DD -
中央CA ---
左翼DD -

 このような配置は「ソロモン夜襲戦」では、標準的なフォーメーションとして認められていません。つまりこのような陣形を組んだ米艦隊は、速度変更、針路変更、砲雷撃実施に多大なCP(指揮ポイント)消費が必要となります。これは不公平に思います。
 「だったら上記の陣形を標準的なフォーメーションとして認めれば良いではないか」
という声が聞こえてきます。しかしこれには盲点があるのです。というのも、このような陣形をフォーメーションとして認めてしまうと、ルールの穴が出来てしまうのです。詳細は省略しますが、簡単に言えば「1度のCP消費で複数の単縦陣をコントロールできる」という問題です。このようなルールの盲点を作るのは本望ではありません。
 本件については色々考えたのですが、結局は「シナリオ特別ルールで対応する」という安易な解決法を採用しました。システムデザインの手法として例外を多用することは望ましくないのですが、ウォーゲームのデザイン手法ではこのような方法もあり(かな)?。

(以下シナリオブックより抜粋)
(4) 連合軍フォーメーションA及びBの駆逐艦は、(a)同一フォーメーションの巡洋艦から2ヘクス以内に位置し、(b)その巡洋艦と針路速度が一致している場合に、当該巡洋艦と同じグループを構成することができる。

駆逐艦ジャービスとブルー

 昼間の航空攻撃で損傷した駆逐艦ジャービスの扱いですが、ここでは損傷を無視することにしました。どうせCPが足りないんで大した活躍はできないでしょう。戦闘序列からジャービスを外してしまう手もあるのですが、第8艦隊の夕凪がジャービスを追って反転しているという史実があるので、戦闘序列には残しておくこととしました。
 その代りといっては何ですが、駆逐艦ブルーを戦闘序列から外しました。日本艦隊と交戦する機会がなかったからです。

接敵状況

 どの時点からシナリオを開始するか。その問題を考えるため、史実における戦いの経過を時系列的に示したのが下表です。

1942/8/8
2243:日本艦隊、敵警戒駆逐艦視認
2331:「全軍突撃」を下令
2332:「鳥海」左前方に敵巡洋艦(実際は駆逐艦ジャービス)を視認
2338:「鳥海」敵巡洋艦(ジャービス)に魚雷発射。命中せず
2340:「鳥海」距離1万メートルで敵数隻発見(南方部隊)
2343:米駆逐艦「パターソン」日本艦隊発見
2344:日本艦隊一斉砲撃開始。敵艦大火災
2348:「鳥海」左前方1万メートルに敵艦3隻発見(北方部隊)
2352:「鳥海」距離7千メートルの敵艦を照射砲撃開始。同時に他の日本艦隊も砲撃に加わる
0023:敵の大半を撃沈破したので日本艦隊「全軍引上げ」を下令

 で、「どこからシナリオを開始するか」という問題ですが、連合軍が日本艦隊の接敵に気づいた2340前後から開始するのがよろしいかと思います。これなら第1ターンから全力戦闘に入るので面倒な奇襲ルールも最低限ですみます。もう少し早い時点、例えば2330頃からシナリオを開始するのも手なのですが、これだと連合軍側にかなり強い制約を課す必要があり(奇襲効果のため)、それは史実と比べて日本側に与える利益が大きすぎます。結果的には奇襲に成功した日本艦隊も、当時は敵の状況について殆ど何も知らなかったのですから。
 本シナリオの奇襲効果は、CPの初期値と主導権値を日本側に有利にすることにより表現しました。また連合軍南方部隊と北方部隊の連携の悪さを再現するため、最初の3ターンは連合軍側の指揮値を半減(端数切り上げ)し、さらに連合軍北方部隊は変針及び変速を禁止することにしました。

指揮値

 連合軍の練度は最低レベルとし、結果として指揮値は4としました。
 日本軍の練度は平均レベルとし指揮値は5です。実際、本海戦に参加した日本艦隊は「寄せ集め」の部隊であり、一度も共同で艦隊運動を行ったことはありませんでした。いわば「低練度部隊」だったのです。実際に海戦の流れを見ても、砲雷撃の命中率は必ずしも良好ではなく、また艦隊運動もミスが目立っていました。日本軍が大きな勝利を収めた原因は、日本側の技量云々よりも連合軍側の油断に因る所が大きかったと思われます。

勝利条件

 当然ながら日本側に厳しくします。基本的にはVP制とし、連合軍は敵艦の撃沈、大破、中破でそれぞれPVの4倍、3倍、2倍のVPを獲得します。日本軍は敵艦の撃沈、大破、中破でそれぞれPVの3倍、2倍、1倍のVPを獲得します。加えてゲーム終了時に盤内に残っている日本艦艇は、VP上でペナルティが適用されます(これは日本側の一撃離脱を再現するためのルールです)。

(以下シナリオブックより抜粋)
(3) ゲーム終了時にマップ内に残っている日本艦艇で、損傷状態が中破未満ものは、中破しているものとしてVP を計算する。


ソロモン夜襲戦 欧州海域戦 決戦連合艦隊・改
太平洋戦争水上戦 夜戦 The U.S. Navy Ageinst The Axis - Surface Combat 1941-1945 Naval Firepower: Battleship Guns and Gunnery in the Dreadnought Era