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GMT "Zero"でミッドウェー海戦

GMT "Zero"のリプレイです。"Zero"はカードで行う空中戦ゲームで、ユニット、マップ、ダイスは一切使用しません(マーカー類は使用します)。空戦ゲームとしてはルールは簡単で、1回の空中戦であれば30分程度で終えることができます。

今回お届けするのは「ミッドウェー海戦」シナリオ。いくつか用意されているキャンペーンシナリオの1つで、数回に渡る攻防戦を繰り返して海戦の勝敗を競うシナリオです。

第1次戦闘:米基地機、日本艦隊を襲う


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1942年6月5日。運命の1日が始まろうとしていた。ミッドウェー西方海上に進出した4隻の空母からは次々と攻撃隊が発進していく。零戦x2、99艦爆x2、97艦攻x2、計6機!!の大編隊がミッドウェー向けて進撃を開始したのである。

しかし戦いは既に始まっていた。日本機動部隊に密かに接近してきた1機のPBY哨戒機が目指す敵空母を発見したのである。邀撃に舞い上がった2機の零戦はPBYに損傷を与えたものの、遂に取り逃がした。これで日本艦隊の全貌は米軍の知るところとなった。

報告を受けて最初に日本艦隊を攻撃したのは、ミッドウェー基地を発進した航空隊である。SBDx2,B-17x2からなる攻撃隊。それに対して上空警戒に当たっていた零戦x2が邀撃に向かう。零戦はSBDを狙い撃ちした。米艦爆隊は高度を下げながら遁走を図る。追う零戦も高度を下げていく。

「逃がすか」

正面から20mm機関砲を撃ちまくる零戦。それをバレルロールで回避するドーントレス。零戦はくるりと背後に回りこみ、ドーントレスに向けて20mm機関砲を叩き込んだ。

「ガンガンガン」

被弾したドーントレス。それでもなおも逃げる。追いすがる零戦に対して後部機銃が火を噴くが、それを軽々とかわす零戦。

「ガンガンガン」

やられた。被弾したドーントレスは爆弾を投棄した。

「よーし、もう1機」

追撃に夢中になる零戦。しかし戦場はいつの間にか味方輪形陣上空に達しようとしていた。激しい対空砲火が両軍機を襲う。1機の
ドーントレスが被弾。爆弾を投棄。これでドーントレス隊は無力化した。これを見届けた零戦隊は急上昇して対空砲火の圏外に逃れる。

そのころB-17の編隊が艦隊上空に達しつつあった。一斉に爆弾を投下する2機のB-17。その大半は空しく水柱を上げるだけであったが、1発が重巡「筑摩」に命中した。
退避に移るB-17を零戦が追う。B-17からの激しい防御砲火をバレルロールや垂直上昇でかわし、翼の付け根を狙って20mm機関砲による必殺の一撃を加えた。激しい黒煙を上げたB-17は、やがて空中で大爆発を起こした。

結局この攻撃で米軍はB-17を1機と、帰還中に燃料切れで墜落したドーントレス1機を失った。日本艦隊は「筑摩」が軽微な損傷を被っただけであった。

第2次戦闘:ミッドウェー上空の大空中戦


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そのころ日本軍のミッドウェー攻撃隊6機が同島に迫りつつあった。ミッドウェー基地からは2機のF2A「バッファロー」と1機のF4F「ワイルドキャット」が舞い上がった。しかし先手を取った零戦隊は瞬く間にF4Fの背後を取り、激しい銃撃を浴びせた。白煙を吐き出しながら落ちていくワイルドキャット。

やがて攻撃隊はミッドウェー上空に達した。激しい対空砲火が攻撃隊を包む。零戦1機が対空砲火をまともに浴びて落ちていく。1機の艦爆も被弾して白い煙を引き始めた。艦攻隊も大なり小なり被弾している。

攻撃隊の投じた爆弾がミッドウェー基地に吸い込まれていった。超低空から投じた爆弾は基地施設に大きな損害を与えたようだ。隊長機から旗艦「赤城」に向けて電文が飛ぶ。

「ミッドウェー基地は壊滅した。第二次攻撃の必要なし。繰り返す。第二次攻撃の要なし」

この戦いで日本軍は敵戦闘機2機(F4Fx1,F2Ax1)を撃墜。空対空戦闘では零戦が相変わらず無敵ぶりを見せつけたが、対空砲火により零戦1機と艦攻1機を失い、他に艦爆、艦攻計3機が被弾してフラフラになりながらもようやく母艦に帰還してきた。

第3次戦闘:日本軍攻撃隊、米空母に殺到

その頃、重巡「利根」を発進した零式三座水偵は興奮に包まれていた。はるか前方に米空母機動部隊の姿を見たのである。

「敵空母見ゆ」

空中哨戒中のF4Fが「利根」機を懸命に追ったが、「利根」機は雲を利用して巧みに遁走した。

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「攻撃隊、発進せよ」

報告を受けた日本艦隊からは攻撃隊が飛び出していく。零戦x2、艦爆x4、艦攻x2、計8機の大編隊だ。上空で編隊を組んだ攻撃隊は、米空母へ向けて飛び去った。

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攻撃隊は発進後一時間で目指す敵空母を発見する。

「全軍突撃せよ」

指揮官機から電文が飛ぶ。敵の迎撃機は驚くべきほど少ない。しかし敵機は勇敢だった。わずか1機で零戦隊の隙をついて艦攻隊を襲う。1機の艦攻がワイルドキャットの銃撃を浴びて煙を引き始めた。慌てて低空に舞い降りていく零戦隊。そこを艦隊の猛烈な対空砲火が襲う。1機の零戦は高射砲弾をまともに食らって四散した。艦攻1機も翼を失って落ちていく。結局艦攻隊は1機も目標へ到達しなかった。
しかし4機の艦爆は全く無傷のまま輪形陣の上空に達していた。次々と急降下していく99艦爆。狙われる米空母。最初に「ホーネット」が、次に「エンタープライズ」が、次々と爆弾を受けて炎上していた。黒煙が立ち昇り、2隻の空母は洋上に停止した。
この攻撃で日本軍は2機(零戦x1、艦攻x1)を失い、さらに帰還中に燃料切れで艦爆1機が墜落した。しかし攻撃そのものは成功に終わり、米空母2隻に大きな損害を与えていた。

第4次戦闘:最後の反撃


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しかし米軍の報復の手は日本艦隊に近づいてきた。F4Fx2,SBDx2,TBDx2の計6機である。上空には2機の零戦が待ち構える。時あたかも各空母の甲板上では、第3次攻撃隊が翼を並べて発進準備中であった。

「空母が危ない、艦爆を狙え」

零戦隊がドーントレスに食いつく。そこへ割り込んでくるワイルドキャット隊。しかし零戦隊は巧みにワイルドキャットをかわしつつ、敵艦爆に対して的確な射撃を加えていった。まずドーントレス隊長機が被弾。搭載していた1000ポンド爆弾を投棄する。さらにもう1機。結局2機のドーントレスは1機も敵空母に対して爆弾を投じることができなかった。

「よーし」

しかし零戦隊はいつの間にか味方艦隊の輪形陣内に入り込んでしまっていた。激しく打ち上げられる対空砲火。はるか下方で突撃に入っていた2機の米雷撃機も、激しい対空砲火により早くも1機が海面に突入していた。
零戦隊の周りにも容赦なく弾幕が炸裂する。必死に回避する2機の零戦。しかし射撃は容赦なかった。まず1機の零戦が炎上して墜落。さらにもう1機も味方の砲火を浴びて炎上。こうして2機の零戦は味方空母の危機を救ったという大きな功績を残しながらも、その功績に報われることなく、味方艦隊の対空砲火によって大空に散った。

低空を突撃する米雷撃隊。残り僅か1機であったが、その1機が最後まで日本艦隊に食い下がった。激しい対空砲火の中、冷静に目標を狙う。

「よーし、投下」

デバステータ雷撃機の胴体を離れたMk-13魚雷は、まるで生き物のように走った。その正面には大型空母「加賀」がいる。

「回避」

艦長の叫びも空しかった。1本の魚雷が「加賀」の左舷に命中。その衝撃で飛行甲板に準備していた第3次攻撃隊が次々と燃え上がった。やがて黒煙が空を覆う。

「加賀」を撃破した米空母艦載機。しかしその代償はあまりに大きかった。6機の攻撃隊は空中戦と対空砲火により実に4機を失い、わずかに1機のワイルドキャットと1機のデバステータがよろめくように味方母艦に帰ってきたのである。この損害は実質的に米空母部隊にとってその継戦能力を完全に奪うものであった。

ミッドウェー海戦は終わった。米海軍は2隻の正規空母を失い、また多数の空母艦載機をも同時に失った。ミッドウェー基地も事実上壊滅した。日本軍も空母「加賀」を失い、多数の艦載機を失ってはいたが、未だにその戦闘能力は十分残されていた。その後ミッドウェー島に日本軍が上陸し、米守備隊との激しい攻防戦の末、同島を制圧した。しかしそれは悲劇の始まりに過ぎなかった。やがてこのミッドウェーを巡り、日米両軍が泥沼のような消耗戦を半年間も続けることになるとは、そしてその消耗戦に敗れた日本軍が継戦能力を失い、1944年12月に無条件降伏を迎えることになるとは、当時の人々にとっては予想すらできないことであった。

感想

とまあ、こんな感じでキャンペーンは終わりました。今回、"Zero"での空母戦キャンペーンは初めての経験だったのですが、まあ結構楽しめるかな、という感じです。ソロプレイだとお互いに手の内が「丸わかり」なので読み合いの要素があまりないのですが、対人戦だとリソースの投入等でお互いに駆け引きがあり、それはそれで楽しいのではないかと思います。

このシナリオをシミュレーションとしてみた場合、色々とおかしな点はあります。端的な例が航空機の数で、たった6機でミッドウェー基地が壊滅したり、4機の艦爆が米空母部隊を壊滅させたり、現実とオーバーラップさせて考えれば、どうみても不可思議です。しかしその辺りのスケール的な問題に目を瞑れば、結構雰囲気は出ています。運動性は抜群でドッグファイトには無類の強さを発揮するも、機体が脆弱なために対空砲火や敵の反撃には余りに脆い零式戦闘機、その一方で意外なほど頑丈で落ち難い米ドーントレス艦爆等、各機体の雰囲気もそれなりに表現されています。他の地上戦シナリオのように「世代の違う様々な機材の違いを楽しむ」というような楽しみ方にはならないのが少し残念なのですが、それはそれで仕方がないでしょう。

ところで1つわからないことがありました。空母戦キャンペーンにおける各機の初期高度はどこに記載してあるのでしょうか?。今回はそれに関する記述を見つけられなかったので、「攻防とも自由配置」、「攻撃側が先に決定」としました。
どなたかご存知でしたら、教えて下さい。