(写真1)ESSMを搭載している豪アンザック級フリゲート
(写真2)アンザック級フリゲートから発射されるESSM
(写真2)アンザック級フリゲートから発射されるESSM
発展型シースパローミサイル
今回は、ESSM(EVOLVED SEASPARROW MISSILE 発展型シースパローミサイル)と呼ばれるミサイル兵器について書きます。このミサイルは艦対空ミサイルで、「個艦防空用」、すなわち自分の艦だけを守るためのミサイルということです。オーストラリア海軍の「アンザック」級(3600t)、ドイツ海軍の「ザクセン」級(5600t)等、西側諸国の新鋭フリゲート艦に徐々に装備され始めています。我が国では、次期ヘリ搭載護衛艦(16DDH)に装備される予定だとか。このミサイルで驚くのはその射程距離です。様々なメディアの情報によると、ESSMの最大射程距離は30nm(約55km)以上とのこと。これは一世代前の「広域防空ミサイル」を遥かに上回る射程距離です。例えば、ロシアの「ソブレメンヌイ」級駆逐艦が装備した"SA-N-7 Gadfly"艦対空ミサイルの射程は約30km、米「ペリー」級フリゲートや我が「はたかぜ」級護衛艦が装備しているSM-1ミサイル(RIM-66)の場合、その最大射程は20nm(約37km)に過ぎません。つまりESSMは個艦防空用でありながら、広域防空ミサイルよりも広い範囲を射撃できることになります。
現在の戦闘艦艇は、僚艦と間隔を、一世代前とは比較にならないほど空けて航行しているのかも知れません。だから冷戦時代の「広域防空用ミサイル」も既に現代海戦では通用しなくなっているのかもしれません。
それにしても射程距離の延伸があまりに極端です。性能の向上は望ましいことですが、50kmを越える射程距離を持ちながら「個艦防空用」と称している西側諸国(あるいはRaytheon社)の気持ちは一体どこにあるのでしょうか?。
それにしても射程距離の延伸があまりに極端です。性能の向上は望ましいことですが、50kmを越える射程距離を持ちながら「個艦防空用」と称している西側諸国(あるいはRaytheon社)の気持ちは一体どこにあるのでしょうか?。
そもそも「広域防空用」と「個艦防空用」の違いって何?
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