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(写真1)第3次戦闘で零戦52型がヴラチュー中尉のF6Fに火を噴かせた瞬間
(写真2)第6次戦闘:6機の特攻機と4機の援護戦闘機が米空母部隊に迫る!!

GMT "Zero"で沖縄決戦

GMT "Zero"のリプレイです。"Zero"はカードで行う空中戦ゲームで、ユニット、マップ、ダイスは一切使用しません(マーカー類は使用します)。空戦ゲームとしてはルールは簡単で、1回の空中戦であれば30分程度で終えることができます。

今回お届けするのは「沖縄決戦」シナリオ。いくつか用意されているキャンペーンシナリオの1つで、数回に渡る攻防戦を繰り返してキャンペーンの勝敗を競うシナリオです。

第1次戦闘:嘉數丘陵

爆装した2機のF4Uと4機のF6Fが日本軍の篭る嘉數丘陵の陣地攻撃に向かった。それを4機の零戦52型が迎撃する。F6Fには米海軍のエース、ヴァレンシア中尉が搭乗していた。
先手を取った米軍の編隊は、2機のヘルキャットがロケット弾を投棄して零戦隊に向かい、残る4機は高度を下げつつ攻撃態勢に入っていた。宙返りで零戦の背後を取ったヘルキャットが銃撃を浴びせて零戦に煙を吐かせた。零戦隊も持ち前の格闘戦性能で粘ったが、機数、性能、そして技量に優る米戦闘機隊の敵ではなかった。低空での短い空中戦が終わった後、3機の零戦が撃ち落とされていた。そのうち1機はヴァレンシア中尉が撃ち落としたものである。米軍の損害はコルセアとヘルキャット各1機に軽微な損害を被っただけであった。
地上の損害は2ポイント。要塞化された陣地に対してはロケット弾の威力も半減してしまい、大きな効果は発揮できなかった。
16VP

零戦とヘルキャット/コルセアとを比較した場合、零戦が苦しいです。52型といっても所詮は21型と大きな違いはなく、対する米艦載機は馬力、機動性、防御力の全ての面で零戦を凌駕しています。その上技量面でも大きな差があるので、余程のコトがない限り零戦で勝つのは難しいのではないでしょうか

第2次戦闘:嘉數丘陵

再び嘉數丘陵攻撃である。爆装したF4Uが2機とそれを護衛するF4Uがやはり2機。そのうち1機のコルセアには、海兵隊のエース、ウォルシュ中尉が搭乗していた。迎撃するのは日本陸軍の三式戦「飛燕」が2機。しかしいずれも新米搭乗員である。日本陸軍の新鋭機「飛燕」もコルセア相手にはあまりにも非力だった。しかも技量差も大きい。1機の「飛燕」がウォルシュ中尉の射弾に撃ち落とされた。もう1機も大破したほうほうの体で逃げるのが精一杯だった。
地上の損害は2ポイント。それはさっきと同じである。
8VP

飛燕は零戦と大差はありません。零戦に比べると防弾性が少しだけ優っていますが、「アジャイル」特性がなくなっているのでドッグファイトは不利になっています。とはいっても「アジャイル」特性ってあまり使い道ないんですけどね

第3次戦闘:九州西方海上船舶攻撃

3度目の出撃は九州西方海上における船舶狩りである。空母から発進したTBM艦攻が2機と新型のSB2C-4艦爆が2機の計4機が、それぞれロケット弾と爆弾を抱えて九州西方海上へ向かった。それを2機のヘルキャットが上空から援護する。ヘルキャット隊は「マリアナ七面鳥撃ち」のエース、ヴラチュー中尉がリーダーを務めていた。
日本軍は2機の零戦52型を迎撃に差し向けた。上空から攻撃の機を伺う零戦隊に対して、ヴラチュー中尉は果敢に挑んだ。持ち前の射撃技量(特性"BU";)を発揮し、零戦のリーダー機に2連射を立て続けに命中させた。
しかし今回の零戦はいつもの「ターキー」共ではなかった。彼は被弾に屈せず半宙返りでヴラチュー中尉の背後を取ると、正確な射撃を中尉のヘルキャットに見舞った。

 「こいつ、只者じゃない」

中尉が気づいた時には既に彼のヘルキャットは翼の付け根から黒い煙を吐き出した。

 「中尉!」

ウィングマンが素早く敵機の側面に回りこみ、偏差射撃を零戦に打ち込んだ。命中。燃料タンクを撃ちぬかれた零戦は、黒煙を吐きながら海中へと突っ込んでいった。リーダーをやられたもう1機の零戦に対してヴラチュー中尉は報復の刃を向けた。しかし彼のヘルキャットは傷つき、その性能を十分に発揮できない。一方の零戦は高度を巧みに使ってヘルキャットの追撃をかわしていく。結局、ヴラチュー中尉の僚機が零戦に数発を命中させたものの撃墜には至らず、結局この空中戦は米側の撃墜1、被弾大破1という結果に終わった。

一方の海上攻撃隊4機は超低空から爆弾の雨を降らせて日本貨物船を撃沈していた。ヘルダイバーやアヴェンジャーはロケット弾も携行していたが、こちらは出番なしだった。
14VP


日本軍のリソース"2"は"L/W A6M5"又は"L/W Ki-43II"となっているのですが、これって(余程の一式戦ファンではない限り)普通は零戦を使うでしょ。だって運動性や防弾性は全くの互角で、火力が零戦の方が有利なのだから。それともこの選択ってプレイヤー側に選択肢はないのかな?。


第4次戦闘:嘉數丘陵

またもや陣地攻撃である。4機のコルセアが攻撃に向かった。2機はロケット弾、2機はナパームを搭載している。邀撃に上がってきたのは零戦52型が2機。しかし零戦はコルセア相手に軽く戦っただけで上空へ退避していった。地上攻撃も大きな戦果がない。

0VP

第5次戦闘:「大和」出撃

日本軍は「大和」出撃を選択した。魚雷を搭載した4機のアヴェンジャー、爆弾を搭載した4機のヘルダイバー、そしてこれも爆装した4機のコルセアである。日本軍の迎撃戦闘機は1機もいなかった。アヴェンジャー隊が2本の魚雷を「大和」に命中させたのを始め、数発の爆弾とロケット弾が「大和」に命中。「大和」は撃沈された。
米軍の損害は、アヴェンジャー隊2機が対空砲火によって撃墜され、他にヘルダイバー2機とコルセア1機が重大な損傷を被り、さらに5機が軽微な損傷を被った。無傷で帰還したのはコルセアとアヴェンジャーが各1機のみ。「大和」撃沈には成功したものの、米軍の被害も決して小さくはなかった。
12VP

第6次戦闘:神風攻撃

最後の任務は米空母機動部隊に対する特攻攻撃である。日本軍は旧式の九九艦爆4機と天山2機が特攻機として出撃し、それを新鋭の紫電、紫電改各2機が援護する。対する米軍はヘルキャット4機が迎撃する。ヘルキャットのパイロットには「鷹の目」を持つスティムプソン大尉と第3次戦闘で危うく命拾いをしたヴラチュー中尉が含まれていた。

第1ターン
スティムプソン大尉が紫電改に、ヴラチュー中尉が紫電に食いつき、それぞれ2ダメージを与えた。
日本機は高度変更と急旋回で振り切ろうとする。紫電改はシザース運動で立場逆転。スティムプソン大尉に1ダメージを与えた。

第2ターン
ヴラチュー中尉は紫電になおも追いすがり、合計6ダメージを与えて撃墜寸前に追い込んだ。
スティムプソン大尉も紫電改を低空域に引き込んだ後にシザース運動で立場逆転。こちらも合計6ダメージ与えて紫電改を撃墜寸前に追い込んだ。
紫電改、紫電は被弾により性能低下に悩まされながらも急上昇、急降下、急旋回でなんとか米軍機を振り切ろうとした。

捜索ターン
日本軍特攻隊は眼下に敵巡洋艦を発見した。しかし小者は相手にしない。狙いは敵の空母だけだ。
このターン、ヴラチュー中尉は紫電の長機を撃墜した。
スティムプソン大尉も紫電改を追ったが、その紫電改が突如として見事なサッチウィーブを見せた。一瞬にして立場が逆転。
2機の紫電改から集中射撃を浴びたスティムプソン大尉は、何が起こったのかわからない間に撃墜された。

Ingressターン
遂に日本軍は眼下に敵空母を発見した。編隊を解いて降下する6機の特攻機。
各艦から激しい対空砲火が打ち上げられる。紫電改の1機が火を噴きながら落ちていった。2機の九九艦爆も白煙を引きながらも懸命に飛び続ける。

Bomb ターン
特攻機が次々と突入する。1機の九九艦爆は海面に突っ込んだ。九九艦爆1機と天山2機は空母「ベニントン」のすぐ近くで撃墜された。しかし九九艦爆2機が空母「ワスプ」に命中した。爆発。幸い致命部を外れていたので「ワスプ」の被害は比較的軽微であったが、それでも「ワスプ」は数時間の間作戦不能となった。

その後
ふらふらになってようやく対空砲火の威力圏外に出た2機の日本戦闘機にヘルキャットが襲いかかった。1機の紫電がヴラチュー中尉の射撃によって撃墜された。残った1機の紫電改が傷だらけになりながらもなんとか戦場を離脱した。

1VP

最終結果

米軍51VPで結果は"Bad"。つまり米軍にとって史実よりも悪い結果です。これでも最初の頃は日本軍が無駄なVPを米軍側に計上していたので、それがなければもっと米軍のVPは減ったと思います。

ゲームとしてみた場合、任務の内容に有利不利の差が大きいように思います。例えば任務#9「首里防衛線」では、米側に6機の艦攻、艦爆が登場するので、それだけでかなり多くのVPを得ることができます。それに対して最後に行った任務#14「神風攻撃」や任務#8「嘉數丘陵」(でしょ?"Kakuza Ridge"って?)では米軍にとってのVP源が少なく、米軍にとって「美味しくない」任務です。キャンペーンの勝敗はこの任務の「引き」によって多くの部分が決まってしまうのではないかな、という気がしました。そういった意味からは勝利条件の設定にもう一工夫欲しかったと思います。ただ逆にこれら任務の特性を見極めた上でリソースの配分を考えると、色々と面白い面が見えてくるのかも知れません。

このシナリオでは、米軍側登場機の大半がコルセアとヘルキャットで、その点少し寂しい思いがしました。