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(写真1,2)荒川岳へ登る途中に見たお花畑
(写真3)荒川岳頂上付近の分岐路に立つ道標
(写真4)荒川前岳頂上から見た崩落部
(写真5)荒川岳から悪沢岳へ続く縦走路。ここまで来てまたもやアップダウン・・・。
(写真6)悪沢岳から千枚岳へ至る最後の難関。足を滑らせて落ちたら・・・。


2日目(つづき)

涼しい山の空気を感じて30分程ノンビリし、再び山道を歩き始めます。ここまでは赤石岳からずっと下りだったのですが、ここから荒川岳までは再び登る一方になります。稜線を歩いていると降りたり登ったりで「あーあ、折角これだけ高度を稼いだのに勿体無いなあ」と思うことがしばしばあります。まあ仕方がないことですけど・・・。
荒川岳までの登りは花畑の中を歩いていきます。名前はわかりませんが、黄色や白い高山植物が一面に咲いていて登山者の目を楽しませてくれます。登山路の斜度も丁度良い感じであり、それほど疲労を感じることなく標高を稼いで行きます。朝から晴れていた空模様は、この時間になると雲が覆われてきました。「青空と山」を撮る分には残念なことですが、山を歩く立場からすれば炎天下に照らされるよりも歩きやすくて良いです。ちなみにこの一帯では、晴天が期待のは午前10時までで、それ以降はどうしても暖かいガスの影響で雲に覆われてしまうそうです。これはこの一帯に限らず山の景観全般についての傾向なので、「山岳写真は朝が勝負」というのも頷けます。

お花畑の斜面を1時間半ほど登り、荒川岳(3083m)の頂上に辿り着いたのは1200頃でした。荒川前岳下の大崩落を見ます。横で写真を撮っていたオッサン曰く。「ここはもう来年はないでしょうね」だそうです。崩落してなくなっているということでしょう。荒川岳頂上付近に立つ中岳避難小屋に行きます。当初の予定では、今日は中岳避難小屋泊まりを考えていましたが、時刻はまだ12時。もう少し頑張って千枚小屋まで行っておけば、明日の行程が楽になります。問題は千枚小屋の「混み具合」ですが、途中ですれ違った登山者の話によると「今日は千枚小屋、空いているらしいよ」とのこと。これなら大丈夫かな、と思いました。
もう1つ気になるのはこれから向かう悪沢岳の天気。一番怖いのが雷で、3000m級の山で雷雲に巻かれると非常に危険です。すぐ目の前に見える悪沢岳の頂上はガスに覆われていて「好天」とは行きません。避難小屋の管理人に話を聞いてみたところ、「今日の天気は大丈夫」とのこと。これで千枚小屋まで頑張るコトに決めました。

避難小屋を出ると山道はまた下りになります。100m程標高を下げ、稜線上の狭い道を歩いていきます。足下は切り立った断崖。足を滑らせたらまず助からないな、という山道です。今回のコースで一番危険度の高い個所でしょう。
悪沢岳に取り付くと、急な斜面が待っています。途中何箇所かは岩登りのような場所もあります。「三点姿勢」を意識しつつ、一歩一歩確実に上っていきます。

悪沢岳山頂に辿り着いたのは1315頃でした。標高3141m。本邦第6位の高さを誇る山ですが、今日は周囲がガスに包まれていて視界は効きません。仕方なく水を飲み、少し休憩し、また再び歩き始めます。悪沢岳頂上から中岳までは歩き難いガレ場のような所を歩き、そして再び狭い山道に出ます。千枚岳(2879m)に至る道は殆どが下り道なのですが、千枚岳手前で再び急峻な岩登りがあります。ここを慎重にこなし、千枚岳の頂上に出たのが1450頃でした。相変わらず周囲はガスに覆われています。この千枚岳が今回の山旅で最後のピークになるのですが、今は全く視界がありません。折角ここまで来たのにこれではいかにも残念です。かくなる上は、明日の早朝に再びこの千枚岳頂上に登ることにしよう。そう決意しました。

千枚岳からの下りは比較的歩きやすい道になります。歩き始めるとすぐに樹林帯の中に入って行き、後は千枚小屋まで樹林帯の中をひたすら歩きます。植生限界が高いのが南アルプスの特徴で、おかげで高い高度でも比較的歩きやすいのは助かります。その分山岳景観といった意味では植生限界の低い北アルプスの山々に比べると今ひとつ見劣りするというのが私の実感です。

千枚小屋に辿り着いたのは1520頃でした。「空いているよ」という情報に反して宿のオヤジの話によると「今日も満員」だそうです。しかも昨日よりもまだ宿泊者は多いとのこと。本館はもう満杯なので、別館の「月光荘」という所に案内されました。結局今日も「1人0.5畳」ということになりそうです。

今日の所要時間は10時間20分。途中で食事や休憩、あるいは写真撮影の時間を除いた実質的な歩行時間は多分9時間弱です。昭文社「山と高原地図」によると、今日のコースタイムは約12時間。「俺って結構すごいのかも」と少し自信を持ったりしましたが、実は昭文社の設定したコースタイムが、実は南アルプス深部では少し甘めに設定されているようです。そういえば昨日も低い所から上がってくる時にはほぼコースタイムに等しい時間を要しましたが、ある程度の標高を超えた後は拍子抜けするぐらいアッサリと目的地に着いたりしていました。

千枚小屋の夕食は1700から。私は到着が遅かったので1800からになりました。メニューは唐揚、サラダ、豆腐、味噌汁等。これも贅沢なものではありませんが、味は悪くなかったです。ここで感心したのは「ご飯が美味しいこと」。山小屋での食事は、副菜類はとにかく、ご飯はたいてい「べちゃべちゃ」状態のことが多いのですが、ここではちゃんとした「ふっくらご飯」でした。山でふっくらご飯が食べられるとは思っていなったので、ちょっと特をした気分です。

消灯は2000。気になる蒲団スペースは、運良くかなり広めに取る事ができました。「1人0.5畳」ではなく「1人1畳」状態です。これは全員がそういう訳ではなく(団体客は「1人0.5畳」でした)、部屋割りの関係でたまたまこのような状態になったそうです。とにかく予想外に快適な居住空間を確保できたので、その日はぐっすり眠ることができました。


今回のコース


荒川小屋->荒川岳->悪沢岳->千枚岳->千枚小屋(泊)

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つづく