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 (注)「ソロモン夜襲戦」とは、自作の水上戦ボードゲームです。詳しくはこちらをご覧下さい。また、

「ソロモン夜襲戦」雷撃戦戦術

前回の内容を覚えて頂いていますか?。下図の状況を想定し、米艦隊指揮官としての決心を問うたものでした。もちろん正しい答えは1つではありません。様々な回答があり、それぞれに長所・短所があるのでしょう。今回はその中から考えられる回答案をいくつか考えてみようと思います。


(案1)左逐次回頭

まず最初に思いつくのは下図のような運動です。左へかわして舷側を敵に向け、単縦陣を維持したまま砲火を敵へ指向しようというものです。この運動の利点は消費CPがわずかに1点だけだという点です。実際の戦闘場面でも、このような運動を行う米艦隊指揮官は多いのではないかと想像します。

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しかしこのような運動はあまり得策ではないと私は考えます。理由は1つだけなのですが、それは「このままでは敵との接近戦に巻き込まれる危険が多い」ということです。上図では日本軍は単純に直進していますが、抜け目ない日本軍プレイヤーならばどこかで右に舵を切ってくるでしょう。その時点で敵が魚雷を発射してきた場合、米軍はいささか厄介な状況になることが予想されます。

(案2)左2分割回頭

次に下図のような運動を考えてみました。駆逐艦群と巡洋艦群を分離して左へ回頭する運動です。この運動の利点は強力な舷側砲火を敵に指向できることです。CP消費も2点で済むし、次ターン以降の運動にも比較的自由度が残っているので、ある意味模範的な回答と言えるのではないでしょうか。

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この運動の弱点は、もし日本軍が右120度回頭を行った場合、敵に頭を押さえられる形になってしまうということです。米軍プレイヤーがもしそのことに気づいていれば、適当な時期にもう1度左60度回頭し敵との距離を離隔するよう運動するでしょう。それだけで危機は回避できます(ただ移動方向への運動余地が十分広くある必要がありますが・・・)。しかしもし気づいていなければ、そのままの姿勢で砲撃戦を継続することとなり、いつの間にか日本軍に絶妙の雷撃射点を得られてしまうという危険があります。

(案3)右2分割回頭

(案2)と同じく巡洋艦群と駆逐艦群に分け、それぞれ右へ120度回頭させるという戦術運動です。

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この運動の欠点はCP消費が4と大きいことです。しかしながら、もし日本軍がこの運動に「乗ってきた」場合、連合軍は極めて有利に戦闘を展開できます。この場合「乗ってくる」というのは、連合軍側の動きに呼応して日本軍が左60度旋回し、平行砲撃戦を意図することです。この場合連合軍が日本軍の「頭を押さえる」状態になっているので、日本軍の雷撃力はほぼ封殺されています。一方の連合軍は前衛駆逐艦で適宜雷撃を行うことができます。無論、米艦隊も敵重巡の強力な砲火にさらされることになるので無傷では済みませんが、こちらも全火力を敵に向けて指向できるので、少なくとも互角の戦いを演じることはできます。(中距離砲戦では米重巡の方が日本重巡よりも砲戦力で優位な点にも留意)
賢明な日本軍プレイヤーの場合、この場合は左へ旋回せず、右旋回して反航戦を行おうとするでしょう。しかし大きな戦果を望む勇猛果敢な日本軍プレイヤーならば、ついつい連合軍の仕掛けた「ワナ」に釣られてしまうかもしれません。

特に連合軍側に戦艦が含まれている場合はこの運動は有効です。何故なら日本軍は自らの速度優越に期待して「いつかは雷撃射点を得られる」とばかりに戦艦相手に無謀な平行砲撃戦を仕掛けてくる可能性が高いからです。連合軍としては魚雷の心配がない状況下で心置きなく40サンチ砲の砲撃を楽しめるという訳です。

私としては(案3)が最も戦術的に優れたものであると考えますが、皆様のお考えは如何でしょうか?。

まとめ

いかがでしょうか。特定の戦術状況を想定した場合でも、実に様々な選択肢が存在していることをご理解いただけると思います。このように「ソロモン夜襲戦」は夜間水上戦闘における戦術運動の醍醐味を簡単なルールで盤上に再現できる好ゲームです(宣伝モード)。機会があれば是非プレイしてみて下さい(と最後はちゃっかり宣伝しておきます)。