(写真)攻撃目標へ向かうF-105D
前回の練習シナリオに続いて今度は本格的なシナリオです。選んだシナリオはD1。「Here, There and Everywhere」と名づけられたこのシナリオは、1965年7月に行われた米空軍機によって行われた北ベトナム軍地対空ミサイルサイトに対する最初の攻撃を扱ったものです。
「シナリオの背景」によると、北ベトナム軍がSAMサイトの建設を進めていることは米軍も知っていて、実際にSAMによって米軍機が打ち落とされる事件も発生していましたが、米国首脳は主に政治的事情によってそれまでSAMサイトに対する攻撃を禁止していたのです。
7月27日に行われたF-105による最初のSAMサイト攻撃は、しかし北ベトナム軍の対空火網にまともに突入することになり、4機の"Thud"が撃墜され、他に2機が空中衝突で失われました。しかも米軍が選んだ攻撃目標は「木と布」で作られたダミー。米軍による最初のSAMサイト攻撃は「散々な結果」に終わったそうです。
「シナリオの背景」によると、北ベトナム軍がSAMサイトの建設を進めていることは米軍も知っていて、実際にSAMによって米軍機が打ち落とされる事件も発生していましたが、米国首脳は主に政治的事情によってそれまでSAMサイトに対する攻撃を禁止していたのです。
7月27日に行われたF-105による最初のSAMサイト攻撃は、しかし北ベトナム軍の対空火網にまともに突入することになり、4機の"Thud"が撃墜され、他に2機が空中衝突で失われました。しかも米軍が選んだ攻撃目標は「木と布」で作られたダミー。米軍による最初のSAMサイト攻撃は「散々な結果」に終わったそうです。
セットアップ
米軍はシナリオの指示に従って兵力を受け取ります。ダイスを振って決めた目標はヘクス"1339"のSAMサイト。攻撃を担当するのは24機のF-105D。その護衛を4機のF-4Cが担当し、さらに爆撃評価のために2機のRF-101Cが続行します。他に2機の電子戦機とそれを護衛する4機の戦闘機が盤外から援護。合計38機の大規模編隊が建設中のSAMサイトを破壊すべく進入してきます。それに対抗する北ベトナム軍。MiG-17戦闘機を1個編隊2機。他に7個のSAM大隊、4個の対空火器(2個軽対空砲、2個中対空砲)、4個のファイアーカン(対空火器管制用レーダー)を受け取ります。対空火器は勝利条件となるSAMサイトを守るように配置しました。MiGの数が「少なすぎる」ようにも感じるのですが、このゲームには「GCIレベル」という概念があり、必要以上に多数の戦闘機を在空させるとレーダー警戒レベルが低下してしまうのです。またMiGを多数登場させると、米軍に余分なVPを与えてしまうという難点もあります。いずれにしても主役はSAM。MiGはここではまだ脇役です。
(写真1)セットアップ時の状況


早期警戒フェイズ
まずは天候決定。ダイスの結果、中高高度に「断雲」があります。続いて「早期警戒」。米軍はスタンドオフジャマーの1機(EB-66C)を早期警戒妨害に投入。結果として「Some Warning」。1個編隊のMiG-17が上空警戒。残りは地上で待機しています。第1ターン
盤外からのスタンドオフジャマーの援護を受けてF-4C「ファントム」の1個編隊が盤外から高高度で進入してくる。北ベトナム軍はダミーを含めて3個のMiGを配置(本物は1個だけ)。超低空飛行により米レーダーによる探知を避けつつ敵の撹乱を図る。狙いは爆装したF-105の編隊。ファントムとの交戦は可能な限り避ける。
超低空を飛行するMiGは米軍プレイヤーにとって極めて厄介な目標である。早期警戒レーダーでは超低空飛行を行うMiGを捕捉するのは殆ど不可能。F-4ファントムの機上レーダーもルックダウン能力に欠く。頼みは「アイボール・マーク・ワン」、つまり目視索敵だが、これとて余程接近しなければ見つけられない。加えて超低空のドッグファイトならば旧式のMiG-17でもファントムと互角に戦える。
第2ターン
米軍攻撃隊本隊たる24機のF-105「サンダーチーフ」が中高度から進入してきた。速度600kt。F-105Dの編隊はSAMを妨害すべく「防御セル」を構成している。高高度にいたファントムも中高度に降り、雲の下に潜むMiGを目視で索敵する。北ベトナム軍は敵本隊の接近に対してSAM大隊のレーダーを緊急起動、EB-66のスタンドオフジャマーやF-105D自身の電子妨害に関わらず1編隊を「部分捕捉」した。
米軍機は多数の機体をスタックさせることによって「防御セル」を構成することができる。この場合、敵レーダーの探知から逃れることは殆ど不可能になるが、SAMに対する抵抗力は増す。
(写真2)第2ターン終了時


「SAM,SAM,SAM」
F-105の編隊に警報が飛ぶ。
しかし打ち上げられた4発の巨大な地対空ミサイルは危害を与えることなく米軍編隊のはるか彼方へ飛び去った。ほっと一息つく米軍編隊。目標まであと12マイル。1分と少し。
しかし打ち上げられた4発の巨大な地対空ミサイルは危害を与えることなく米軍編隊のはるか彼方へ飛び去った。ほっと一息つく米軍編隊。目標まであと12マイル。1分と少し。
(写真3)第4ターン終了時


実はこれはルール違反であった。爆撃を行うターン、速度は4(=600kt)以下にしなければならない。ゲーム終了後に発覚したが、後の祭りであった。
「SAM,SAM,SAM」
再び警報が飛んだ。対空砲火制圧の為に離れていた"Brass"小隊(F-105Dx4)がSAMに狙われた。辛くも緊急回避でSAMをかわす。
超低空に舞い降りて突進する"Brass"小隊。眼前に紅河の流れが蛇行している、その向こうに目指すSAM大隊が潜んでいるはずだ。と、その時、編隊の周辺で対空砲火が炸裂する。途端に1機のF-105Dが炎に包まれた。対空砲火の直撃である。パラシュートは確認できなかった。
超低空に舞い降りて突進する"Brass"小隊。眼前に紅河の流れが蛇行している、その向こうに目指すSAM大隊が潜んでいるはずだ。と、その時、編隊の周辺で対空砲火が炸裂する。途端に1機のF-105Dが炎に包まれた。対空砲火の直撃である。パラシュートは確認できなかった。
「この野郎!!」
残った3機のF-105Dは眼下に見える対空砲陣地に18発の集束爆弾を叩き込んだ。こいつを黙らせなければ、後続する爆撃本隊が大出血を強いられてしまう。
対空砲火(AAA)は米軍にとって本当に厄介な存在である。SAMやMiGは米軍機を1機づつしか「食えない」が、AAAの場合、通過する編隊全てが射撃の的になってしまう。航空戦の戦記等を読むと「編隊の一部を割いて対空砲火の制圧を行う」という記述をしばしば見かけるが、このゲームをプレイしているとその必要性がなんとなく理解できる
「ビンゴ!!」
爆撃編隊から歓声が上がった。"Brass"小隊の投下した18発の集束爆弾は見事に目標を包み込んだ。誘爆を起こす対空砲陣地。
この段階で「対空砲火は壊滅した」と判断し、そのつもりでプレイを続行したが、これもルールを誤解していた。対空砲火陣地には「ファイアカン」(対空用電探)が付随しているのだが、このファイアカンは単独でも射撃を行えるのである。米軍が対空砲火を制圧する場合、対空陣地以外にファイアカンも撃破しなければならない
"Brass"隊に続いて20機のF-105Dが突進する。さらに6発のSAMが打ち上げられたが、F-105Dの編隊は命中率の低いSAMには見向きもしない。超低空を750ktの高速で突進する。対空砲火が迎え撃つが、先ほどの"Brass"隊の攻撃が効いているのだろう。先ほどに比べて弾幕は明らかに薄くなっている。
「くたばりやがれ!!」
20機のF-105Dが投下した120発の集束爆弾は文字通りSAM大隊を粉々に粉砕した。
「ざまあみろ!!」
誰かが叫んだ。
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