(写真)地上から発射される地対空ミサイル
Down Town(GMT) シナリオリプレイ
「Down Town」はベトナム戦争における北ベトナム上空の戦いを扱ったボード・シミュレーション・ゲームです。Down Town(GMT)について、紹介記事はこちらをご覧下さい前回までのあらすじ
前回はこちらDown Town(GMT)というボードゲームをプレイしようとした私(主人公)。選んだシナリオは1966年末の「ローリングサンダー作戦」。難解なルールに四苦八苦しながらも、ようやくセットアップを完了した。
ゲームはトンキン湾から進入する米海軍攻撃隊と、それを迎え撃つ北ベトナム軍という形で始まった。北ベトナム軍は大兵力を誇る米編隊に対してMiG戦闘機隊による果敢な攻撃を試みたが、援護にあたっていた米海軍F-8Eの編隊に捕捉され、合計4機のMiGが撃墜されてしまった。
暗黒の金曜日(承前)
第8-9ターン
米軍攻撃隊は紅河南岸地域を大きく迂回。攻撃目標の南側から進入をしようとしていた。一方攻撃目標付近に陣取る北ベトナム軍SAM2個大隊がようやく活動を開始。米編隊をそのレーダーが探し始めていた。米攻撃編隊は最終変針地点を通過。目標へ向けて最後の突撃を開始した。後方から支援するEA-1F電子戦機は、広域ジャミングからスポットジャミングに切り替えて、SAM大隊のうち位置確定ができていない方に制圧を仕掛ける。
突入してくる米編隊に対し、ハノイ市街に配置されたSAMサイトも次々と活動を開始した。
突入してくる米編隊に対し、ハノイ市街に配置されたSAMサイトも次々と活動を開始した。
EA-1Fがスポットジャミングを行ったのはルール違反であった。私は当初「広域ジャミングできる機体はすべからくスポットジャミングできる」と何の疑問もなしに思っていたが、ルールを見るとADCで"Spot Jamming"と書かれている機体だけがスポットジャミングを実施できるらしい
第11ターン
最初に目標上空へ突入したのはSheepdog隊(F-8E)だった。集束爆弾を搭載した2機のF-8Eが対空砲火をかいくぐってSAM大隊に集束爆弾を叩き込んだ。しかし目標は狙いを外れた。SAM大隊は無傷で残ってしまった。2発のSAMが発射された。しかし米攻撃隊はそれを回避。なおも目標目指して突っ込んでいく。
攻撃本隊のうち、最初の2編隊が目標上空に突入した。SAM、FireCan、そして対空火網が迎え撃ったが、2個編隊計7機のA-4Cは無傷で進入。それぞれ4個の500ポンド爆弾を目標へ叩き込んだ。
対空砲火は恐ろしいが、命中率は左程高くはない。特に高度の影響が大きく、中高度以上で進入した場合はあまり脅威にならない。しかしそれも北ベトナム軍が軽対空砲を使っている間だけのこと。もし彼らが重対空砲を多用し始めたら、米編隊にとってその脅威は無視できないものとなるだろう
第16ターン以降
盤端から進入してきたRF-8Gが目標上空へ到達した。敵偵察機を阻止せんと多数のSAMが打ち上げられたが、身軽なRF-8Gはその悉くを回避した。目標上空に侵入したRF-8Gは貴重な偵察写真の撮影に成功。そこに写っていたものは、重大な損傷を被りながらも、完全な破壊には至らなかった橋脚の姿であった。その差は7点なので「不完全な勝利」だそうです。米軍はもう1度この目標を攻撃する必要があるそうです。要するに「引き分け」ですね。目標を完全に破壊していれば、USプレイヤーは「勝利」を宣言できたのですが、このあたりは「運次第」なので仕方がない所でしょう。
北ベトナム軍はMiGの運用を失敗しました。今回は米軍編隊を攻撃してVPを奪うべく積極的な攻撃を仕掛けてみたのですが、クルセーダーに追い掛け回されて散々な目にあってしまいました。本文中にも書きましたが、技量に優れた米海軍クルセーダー隊は格闘戦能力においてMiGを凌駕しており、まともに戦った場合MiGに勝機は薄いです。
北ベトナム軍としては、ダミーを使ってクルセーダーを引きずり出した後、隙を見つけて敵攻撃隊、特に爆撃本隊を襲撃したい所です。爆撃本隊は1編隊4機編成なので攻撃に成功した場合の成果が大きく見込める上(MiGの襲撃を受けた編隊は必ず爆装を投棄する)、「MiGパニックルール」(13.12項)の適用によりパニックに陥った攻撃本隊の爆弾投棄も期待できます。無論米軍プレイヤーも爆撃本隊は絶対にMiGの襲撃を受けたくないので、その警備は厳重を極めるでしょうが・・・・。
北ベトナム軍としては、ダミーを使ってクルセーダーを引きずり出した後、隙を見つけて敵攻撃隊、特に爆撃本隊を襲撃したい所です。爆撃本隊は1編隊4機編成なので攻撃に成功した場合の成果が大きく見込める上(MiGの襲撃を受けた編隊は必ず爆装を投棄する)、「MiGパニックルール」(13.12項)の適用によりパニックに陥った攻撃本隊の爆弾投棄も期待できます。無論米軍プレイヤーも爆撃本隊は絶対にMiGの襲撃を受けたくないので、その警備は厳重を極めるでしょうが・・・・。
米軍プレイヤーの失敗はARMを搭載しなかったこと。ADCを再確認すると、A-4Eの場合、Shrikeミサイル2発を搭載した上で、なおかつ「1」火力分の爆弾も搭載できるようです。Shrikeミサイルの威力は使ってみないとわからないのですが、攻撃本隊突入時に活動を開始した敵SAM大隊に対して撃ち込めば、少なくともSAMを黙らせる効果は期待できそうです。1個編隊あたりにShrike4発。Iron Hand任務についていたA-4Eが計2個編隊なのでShrikeは合計8発。うまく使えば8個所のSAMサイトを制圧することができるかも知れません。問題は射程距離。中高度から撃っても射程僅か2ヘクス。ロフトすれば射程距離が5ヘクスまで伸びますが、命中率が著しく低下してしまう。うーん、難しい所です。
疑問点等
ルールで少し気になる点を書きます。まず最初に「付随的損害」(Collateral damege)。これは市街地や住民等「被害を与えたら面倒な目標」に対する損害を示します。Damage Table(18.2)の結果によって「付随的損害」は発生するのですが、「付随的損害」の発生率が爆撃成果が小さいほど高くなるのです。わかりやすい例を上げれば、爆撃力「30」のB-52Dで爆撃した場合よりも、爆撃力「2」のA-4Cで爆撃した場合の方が「付随的損害」が発生しやすいのです。
これって何か変だとは思いませんか?。
次に気になるのは空対空ミサイルの射耗について。英文ルール8.4項「空対空兵器の欠乏(depletion of air-to-air ammunition)により任務放棄する」とあります。ところが同じく英文ルール8.2項のTask欄に記載されている各Taskの説明の中でCAP欄を見ると「すべての空対空ミサイルが欠乏した時点で任務放棄しなければならない(Must abort when all air-to-air missiles are depleted.)と書かれています。一見似ているのですが、もしクルセーダーのようにミサイルと機関砲を装備した戦闘機の場合、どうなるんでしょうね?。私は8.2項の説明が間違いで、8.4項が正しい(つまり機関砲を射耗するまでは任務放棄しなくて良い)という解釈でゲームを進めていますが(注1)、どうなんでしょうね?。エラッタも確認してみましたが、該当するような項目は見つけられませんでした。
最後に外部兵装の投棄と任務放棄について。
「外部兵装(Ordnance、ここでは空対空ミサイルを含まない)を撃ち尽くしたか、あるいは投棄した編隊は任務放棄をする。」
このルールについては疑問の余地はないのですが、そうすると爆弾投棄後の機銃掃射は「できない」ということになりますね。まあBombing Taskの場合はこれでも良いのですけど、SEAD Taskの場合は爆弾やARMを撃ち尽くした後も「機銃で任務を継続したい」と思うことが多々あります。まあこのあたりはルールだから仕方が無いのですけど、これだと機銃掃射の使用価値は著しく低くなりますね。まあ、そういうものなのでしょうけど。
「外部兵装(Ordnance、ここでは空対空ミサイルを含まない)を撃ち尽くしたか、あるいは投棄した編隊は任務放棄をする。」
このルールについては疑問の余地はないのですが、そうすると爆弾投棄後の機銃掃射は「できない」ということになりますね。まあBombing Taskの場合はこれでも良いのですけど、SEAD Taskの場合は爆弾やARMを撃ち尽くした後も「機銃で任務を継続したい」と思うことが多々あります。まあこのあたりはルールだから仕方が無いのですけど、これだと機銃掃射の使用価値は著しく低くなりますね。まあ、そういうものなのでしょうけど。
次回はいよいよラインバッカー作戦に挑戦しましょう。
(注1)そうしないとロケット弾を搭載した武装護衛(Armed Escort)のF-8のように最初からAAMを搭載していないケースでは絶対にCAP任務なんか果たせません。
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