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ゲーム紹介「BattleFiled Europe」(GDW)

今年初のゲームネタです。
今回は少し古いゲームを紹介します。

「BattleFiled Europe」

オールドファンには懐かしのGDW社が出版したウォーゲームです。
1990年の出版ですから今から17年前になりますね(もうそんなになるのか・・・・)。デザイナーはMarc.W.Miller氏とFrank Chadwick氏。Marc.W.Millerは確か"Travellar"シリーズのデザイナーで、Chadwick氏は"Assault"シリーズや"Third World War"シリーズのデザイナーでもありましたね(確か)。

この"BattleFiled Europe"は、1990年代に想定される欧州各地での武力衝突を戦術レベルで扱ったウォーゲームです。1ヘクス200m、1ターンは不明(恐らく数分)、1ユニットは1個歩兵分隊又は車両1両を示します。

ルールはさほど難しくはありません。基本ルールだけなら英文4ページ、上級ルールも英文6ページだけなので、読み通すのはそれほど苦労はないです。ただ戦術級陸戦ゲームの常としてLOSに関するルールや車両のFacingに関するルールがあります。

ユニットは以下の通りです。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/8/6/86885dba.jpg

米ソ両陣営の雄、"M1A1+"と"T-80"を比べてみました。各ユニットは攻撃力、射程、防御力、移動力等を持ちますが、上の写真を見ればどの数値がどれに相当するか概ね理解頂けると思います。

シークエンスは以下の通りです。

 先攻側プレイヤーターン
  先制射撃フェイズ
  移動フェイズ
  最終射撃フェイズ
 後攻側プレイヤーターン
  (先攻側と同じ)

ユニットは射撃と移動を同一ターンに行うことができます。ただし移動したユニットは最終射撃フェイズに射撃することはできません。ユニットの移動と射撃についてちょっと疑問に感じることがあるのですが、それは後ほど触れることにします。

射撃は射撃側の火力と目標の防御力の比率によって解決します。その時射程距離によって火力の変動があります。また複合装甲や反応装甲のルールもあり(基本ルールに含まれている)、反応装甲にミサイルが命中すると、装甲の爆発によって自らが損傷してしまう場合があります(あな恐ろしや)。

基本ルールとしては以上なのですが、他に上級ルールとして「スポッティング」「指揮統制」「士気」「砲兵」「航空支援」等があります。さらに自作シナリオ作成の手引きやキャンペーンシナリオももあり、本気で付き合えばかなり「遊べる」内容のゲームになっています。

シナリオ

15本のシナリオが収められています。当時は折から冷戦構造終結のあおりを受けた激動の時期で、ゲーム中"West Germany"はもうありませんが、"Soviet Union"は未だに健在です。本ゲームに含まれるシナリオも激闘の時代を反映したユニークな内容になっています。一部を紹介すると、
 ・ドイツ装甲師団vsポーランド機械化師団
 ・フランス機甲師団vsベルギー機械化師団
 ・チェコ軍vsスロバキア軍
てな具合です。

ちょっと気になる点

シークエンスや射撃システム等は、懐かしの「パンツァーブリッツ」に似ています。ただ「パンツァーブリッツ」では、各ユニットはターンに移動か射撃かどちらかしか行えないというルールがありましたが、本作では同一ターンに「射撃」後「移動」が可能になっています(ルールを一通り見直してみましたが、これを禁止するような条項はありません)。これはどういうことかというと、ある地点に待っているユニットは、敵が射程距離内に入ってくるや「1発ぶっ放し」、敵が反撃する前に「すたこらサッサ」と逃げることができるのです。つまり後方に空間的な余裕があれば、防御側は全く反撃を受けることなく徐々に後退していくことができるのです。しかも悪いことに「スポッティング」のルールを適用した場合には、「森又は町ヘクスに入った時点で自動的に隠匿状態となる」というルールのおかげで、防御側は1歩づつ後退しながら敵に対して着実に出血を強いることができるのです。

これを防止するためには
(1) 歩兵の突撃を利用する(歩兵の突撃は移動後射撃が許可されている)
(2) スタビライザー付き戦車を投入する(スタビライザー付き戦車は移動後射撃可能)
という策しかありません。

まあ「地上戦とはこんなもの」と割り切って考えるしかないんでしょうかね。

結論のようなもの

ちょっと気になる点はありますが、プレイアビリティといい、ゲームの完成度といい、老舗GDWの実力の一端を示した作品の1つであることは間違いありません。1990年という「ウォーゲーム氷河期」に出版されたのが本作品の不幸な点ではありますが、それでもゲームそのものとして見た場合は決して駄作ではないと思います。今まで我が家の押入れに眠っていたこのゲーム、この機会に一度プレイしてみようかな、と思っています。