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「BattleFiled Europe」(GDW)ソロプレイ

シナリオ4「Counterattack」(その2)

前回まで

前回はこちら

「BattleFiled Europe」(GDW)で新たなシナリオに挑戦しました。シナリオ4「Counter Attack」です。このシナリオはアメリカ・トルコ連合軍とソ連黒海艦隊所属の海兵旅団が激突するものです。
シナリオ開始時は盤上に配置されているトルコ軍に対し、大兵力を誇るソ連軍が猛攻撃をかけるという展開になります。劣勢なトルコ軍は善戦しますが、兵力の差は覆い難く次第に圧倒されていきます。トルコ軍プレイヤーは米軍の来着をひたすら待ちますが、ダイス目に恵まれず米軍はなかなか姿を現しません。そうこうしている間にもトルコ軍壊滅の危機がすぐそこに迫ってきました。

注:「BattleFiled Europe」は米国GDW社が1990年に出版した非電脳型シミュレーション・ウォーゲームです。1990年代における戦術レベルの地上戦闘をテーマとしており、ヨーロッパ諸国が当時保有していた主要な陸戦兵器が登場してきます。'

「BattleFiled Europe」の紹介記事はこちら

第16ターン

ようやく待ちに待った米軍増援部隊「チームデルタ」が地図南端から登場してきた。M1A1戦車x4両、M2A2歩兵戦闘車x10両からなる歩戦連合の機械化部隊である。前衛偵察を行うため、AH-1Sヘリコプターが旋回して目標に向かったが、山頂付近に潜んでいた地対空ミサイル(SA-14)の射撃を受け、小破して帰還していった。

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米軍「チームデルタ」の全兵力

第17ターン

米軍部隊は攻撃態勢に入った。精鋭を誇る米軍部隊だが、兵力的にはやや不安がある。ここは性急な攻撃を避け、火力支援を重視した慎重な攻撃方法を採ることにした。前進観測班が砲兵支援を要請。砲兵陣地からはICMDP(改良型通常多目的弾頭)による斉射が開始された。砲撃にさらされる赤軍部隊。T-55戦車が大破し、その横では歩兵部隊が壊滅していった。

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第18ターン

頃合良し。
米軍が突撃を開始した。街に潜む赤軍部隊を発見すべくM1A1戦車が突進した。200mの距離に迫ったM1戦車に対し、生き残った4両のT-55がその100mm主砲の砲火を開いた。しかし惜しいかなその射撃は全て目標から外れた。敵の位置を確認したM1A1戦車x4両は機動力を生かしてT-55戦車の側面に回りこんだ。120mm滑空砲が火を噴いた。2両のT-55が瞬く間に撃破された。

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突進するM1A1戦車が街に潜む赤軍戦車を発見した。

第19ターン

ICMDPに叩かれ、さらにM1A1の突撃を受けて大損害を被った赤軍部隊は、谷間の森まで後退していった。米軍部隊は性急な突進はせず、後退援護のために残っていた赤軍歩兵1コ分隊をM1A1戦車x4両の集中砲火で葬り去った。

第20~21ターン

後退する赤軍を追ってM1A1戦車部隊は谷間の森の中に突入していった。後退中のT-55戦車を発見。M1A1による至近距離からの射撃でT-55x2両が撃破された。しかしここまでやられっ放しのT-55戦車がようやく一矢を報いた。街に潜んでいたT-55戦車x2両が1000mの距離から射撃を行い、1両のM1A1を中破させたのだ。

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谷間道の攻防。突進してくるM1A1戦車に対し、街に潜むT-55戦車x2両が距離1000mから発砲した。

第22~23ターン

米軍は左翼の村落解放のために突撃を開始した。突進するM1A1戦車に対し、再びT-55戦車が砲火を開いた。1両のM1A1が100mm砲弾の直撃を受けて中破した。位置を暴露したT-55戦車に対して米軍の集中砲火が降り注いだ。機動力を生かしてM1A1x2両がT-55の背後に回りこみ、正面からは6両のM2A2歩兵戦闘車がTOWミサイルを放つ。しかしこれほどの集中砲火にも関わらず戦果はわずかにBTR兵員輸送車1両の撃破のみ。M1A1の射撃は1両が失敗し、M2A2の放ったミサイルは木々のために殆ど効果がなかった(注)。

(注)ミサイルは相手が森や街にいると火力が半減します。またこのような地形に篭っている敵は防御力が+3されるので、ミサイルで撃破するのは容易なことではありません。

第24~25(最終)ターン

M1A1戦車x2両が街から200mの至近距離まで接近してきた。赤軍にとってM1A1を撃破するチャンスである。街に篭っていたエリート歩兵6個分隊が街から飛び出してきた。周囲の森に潜んでいた6両のM2A2歩兵戦闘車が突撃する赤軍歩兵に対して25mm機関砲の銃火を浴びせかける。しかし赤軍歩兵は臆せず突進。至近距離からM1A1に対して次々とロケット弾を叩き込んだ。さすがのM1A1も至近距離からの攻撃には脆い。2両のM1A1は相次いで撃破され、赤軍歩兵は大殊勲を上げた。
と、そこまでは良かったのだが、街から出てきた歩兵部隊は脆い存在である。周囲の山々からは嵐のような砲火が赤軍歩兵部隊に降り注いだ。さらに別方面から2両のM1A1が取って返し、赤軍歩兵に対する攻撃に加わった。
結局これらの攻撃で赤軍歩兵6個分隊がほぼ壊滅。赤軍はM1A1x2両撃破という戦果と引き換えに歩兵2個小隊がほぼ壊滅した。

ここでゲーム終了。

結果


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両軍の損害

勝利条件的には青軍の勝利。

感想

このシナリオは「Battlefiled Europe」の中ではかなり規模の大きいシナリオでした。そのこともあって最初の頃はプレイにかなり時間がかかりました。1ターンの所要時間が30分~60分ほど。だから会社のある日等は1日に1~2ターン進めるのが精一杯でした。
後半米軍が登場してくると、ゲームのペースがやや早くなりました。米軍の戦いぶりは「サッサと撃つ、サッサと近づく」という感じでテンポが良く、旧式兵器同士の戦いであった前半戦とは全く違った感じのゲームになりました。両軍の使用する兵器や戦術によってゲームのテンポがこうも極端に変わるものか、と少し驚いたものです。

シナリオのバランス

余り良くないように思います。どうやれば赤軍が勝てるのでしょうか?。赤軍の勝利条件は「4個所以上の村を完全支配すること」となっていますが、北部マップの村落は合計4個所しかなく、この全てをゲーム終盤まで保持し続けなければなりません。しかし相手は火力と機動力に優れた米軍。それに対してこちらは旧式戦車と歩兵のみ。どうやってこれで勝利できるというのでしょうか?。

また米軍の到着がダイスで決められるというのもどうかな、と思います。これはすなわちゲームの勝敗が「米軍到着のダイスチェック次第」ということにもなりかねません。先の勝利条件のアンバランスさとも相まって、シナリオ自体の完成度はあまり高くないように感じました。

Cohesion(団結?)ルール

前半戦はこのルールに泣かされました。これは所謂「モラルチェック」ルールなのですが、中隊別にそのプレイヤーターンに受けた損害の総量を記録しておくのはかなり面倒です。素直に撃破されてくれればまだ楽なのですが、撃破以外に「ピン」や「損傷」も損害としてカウントされるので、歩兵部隊なんて「ピン」の数をカウントするだけでウンザリします。
それにしてもこのルールは書き方がアッサリし過ぎていて、ちょっと判り難い点があります。例えば

1.「Cohesionはmaneuver elementという単位で行われる。maneuver elementは指揮官とその麾下にある全ての歩兵、車両と定義される。maneuver elementは常に最の下位の指揮官を基準に行われる」とありますが、例えば司令部直属の部隊はCohesionルールの適用外なのでしょうか?。あるいは指揮官がいない独立戦車小隊のような部隊はCohesionルールの適用外なのでしょうか?。私は適用外としましたが、間違っているかも知れません。

Command Controlルール

Cohesionルールよりは明確なのですが、それでも少し判断に迷う部分もあります。「指揮官又は指揮車から5ヘクス以内にいないユニットはOut of Commandになる」、とあります。この場合、指揮官や指揮車というのは直属の上官である必要はないのでしょうか?。例えばA中隊の部隊がB中隊の指揮官の指揮範囲にいるだけで「Out of Command」にならない、のでしょうか。ルールを読む限りは「その通り」だし、プレイの際もそのように解釈してプレイしましたが、少し違和感があるのも事実です。

まとめ

基本ルールは良く出来ていると思います。ただ上に提示したCohesionルールやComannd Controlルールはもう少し工夫が欲しかった所です。このルールによって何を表現したかったのか?。今ひとつ不明確で、手順を複雑にしているだけのような気がしてなりません。指揮統制や士気チェックをルール化したいのであれば、もう少しスマートな解決方法を探して欲しかったな、と思います。

悪いゲームではないのですが、「惜しい」というのが今の所の評価です。

次はやや毛色の変わったシナリオにチャレンジしてみます。