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在りし日の米空母「J.F.ケネディ」の勇姿

米空母「J.Fケネディ」退役

米空母「J.Fケネディ」(USS J.F Kennedy (CV 67))が去る3月23日に退役しました。38歳だそうです。まだ若いのに・・・・。
そこで今回は「ケネディ」の退役を記念して、ちょっと書き込んでみました。

「ケネディ」は1968年9月7日に就役した「キティーホーク」級(あるいは「J.Fケネディ」級)の通常動力型空母です。米空母の整備は次のCVN-68から原子力推進の「ニミッツ」級に移行したため、「ケネディ」は米海軍が就役させた最後の非核動力空母となりました。
「ケネディ」は就役後主に地中海で行動していました。従ってベトナム戦争には参加しなかったようです。「ケネディ」は就役当時CVA-67(攻撃型空母)として類別されていましたが、1970年にCV-67(通常空母)に類別変更されました。その際対潜哨戒機の運用能力とS-3バイキングを装備した対潜飛行隊が配備されました。

1980年に入ると「ケネディ」はベイルートへ展開。実戦を経験しました。その後1984年からノーフォークでオーバーホールに入り、その後地中海へ戻ってきて当時緊張状態が続いていたリビアとの最前線に投入されます。

1989年1月4日、シドラ湾を航行中の「ケネディ」機動部隊は艦隊に接近する複数の戦闘機を捕捉した。これはリビアを発進したMiG-23 "Flogger E"戦闘機の編隊であった。戦闘空中哨戒中のF-14A,2機が直ちに迎撃、72海里の距離で先頭の2機を自身のレーダーで捕捉した。距離14海里に近づいた時、F-14Aの隊長機がAIM-7スパロー(当時最新型のAIM-7M)を発射。

  「Fox One, Fox One」

しかしそのスパローは設定ミスによって命中しなかった。さらに2発目のスパローが距離10海里で発射されたが、これも命中しない。
距離6海里でF-14Aは二手に分離した。リビア機はF-14Aの僚機に向かってきたが、それに対して僚機はスパローを発射。これが見事に命中。1機のリビア機が撃墜された。

  「Good kill! Good kill!」

その間F-14A隊長機はリビア機の後方に回り込み、距離1.5海里からAIM-9サイドワインダーを発射した。それが見事に命中。2機目のリビア機も撃墜されました。F-14A,2機は戦場を離れて母艦へ帰還した。

これは「ケネディ」搭載機が1989年にリビア空軍のMiG-23戦闘機と交戦した時の記録です。動きの素早いMiG-23相手にF-14Aは当初苦戦を強いられますが、最後は技量と性能の差がものを言って2機とも撃墜することに成功しました。

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「ケネディ」に搭載されていたF-14飛行隊、VF-14とVF-32所属機の編隊飛行。リビア機と交戦したのはVF-32の所属機です。

1990年に始まる湾岸危機では紅海艦隊に所属し、その旗艦として活躍しました。湾岸戦争では2900ソーティをこなし、1500トン以上の爆弾を投下しました。ちなみに「ケネディ」は湾岸戦争に参加した米空母の中で唯一A-7コルセアを装備していた空母だったように記憶しております(他の空母はF/A-18ホーネット搭載)。

その後も「ケネディ」は地中海、中東方面を中心に活動し、2002年のアフガン攻撃、2004年にはイラク方面での作戦も行っています。

「ケネディ」の退役によって米海軍に残った非核動力空母は横須賀を基地とする「キティホーク」1艦となってしまいました。その「キティホーク」も来年退役を予定しており、いよいよ米海軍は原子力空母のみの時代に入ったのです。