「現在人は忙しい」
恐らく多くの人が日々実感している事だと思います。そして多くの人は多くない時間をやりくりして日々の生活を過ごしていると思います。
そんな忙しい我々にとって、シミュレーションゲームを愉しむために利用できる時間は限られています。そしてその限られた時間の中で何らかの結果を求めています。
だからこそ「プレイ時間」は、シミュレーションゲームを評価する上で重要な指標の1つになると思います。
今回は拙作「ソロモン夜襲戦」を題材として、この「プレイ時間」について考察します。
「プレイ時間の予測は難しい」
という話を良く聞きます。プレイヤーの技量やプレイスタイルによってプレイ時間は様々に変化するから、というのがその理由らしいです。
一見すると、至極尤もな話です。
話は変わりますが、我々は普段の仕事(業務)の中で、しばしば「見積もり」を求められます。「金額的」な見積もりもありますが、我々技術屋の場合「時間的」な見積もりが主になります。
・ある製品の基本設計を完了するまでに何人何日必要か?
・ある製品の最終試験調整を行うのに何人何日必要か?
・ある製品の最終試験調整を行うのに何人何日必要か?
こういったレベルで日々見積もりが行われ、それに基づいて人員計画が立てられていきます。当然見積もりだから「予定通りには行かない」ことは多々あります。しかしそのことが見積もりの意義を否定するものではありません。見積もりがなければ業務計画は立案できないし、業務計画がなければ業務を遂行することはできないからです。
見積もりの結果は「工数」という単位で表現されます。
工数=作業人数x作業時間
実際には作業人それぞれ技量の違いや慣れといった「属人性」に関する問題があり、同じ人数と時間を投入しても同じ成果が得られるとは限りません。しかし、一般に見積もりを行う上では、「個人差を無視して計算」するのが普通ではないかと思います。そして各作業者には「作業を遂行する上で十分な知識と技量を有している」という前提に基づいて作業が割り振られます。
シミュレーションゲームのプレイ時間に話を戻します。
「プレイ時間の検討は難しい。何故ならプレイヤーの技量やプレイスタイルでプレイ時間は変化するから」
この一見至極「尤もな」話。しかし逆に言えば、プレイヤーの技量やプレイスタイルを絞り込めば
「精度の高い見積もりは可能」
ということにもなります。(1) 見積もりは予想値である。つまり実測値とは異なった値になる。
(2) 見積もりは明確な根拠に基づいて行われる。
(2) 見積もりは明確な根拠に基づいて行われる。
この2点に留意しておけば、シミュレーションゲームのプレイ時間見積りは必ずしも無意味なものではない、と私は考えます。
ここで着目して頂きたいことは、
「ソロモン夜襲戦」のシナリオx番は約x時間かかる
というような「見積もりの結果」ではありません。そうではなく、
「ソロモン夜襲戦」のプレイ時間を見積もるに際して、こんな考え方を取り入れてみました」
という「見積もり方式」について着目して頂きたく思います。さて、見積もり方式については私自身が未だ研究途上のものなので、その結果として得られる見積値についてもまだまだ精度的に不十分な点が多いと思われます。しかし、見積もり方式を発展させていけば、シミュレーションゲームにおけるプレイ時間について、ある程度科学的根拠に基づいた「見積もり」が可能になるのではないか。そう思ったりしています。
それでは本題です。
「ソロモン夜襲戦」のプレイ時間を見積もる際、重要な要素として「ターン数」と「ユニット数」があると思います。他にもCPとか砲の射程距離とか魚雷の有無とかも要素としては考えられますが、ここでは数式を単純化するために上記2点に絞って考察していきます。
「ソロモン夜襲戦」のプレイ時間を見積もる際、重要な要素として「ターン数」と「ユニット数」があると思います。他にもCPとか砲の射程距離とか魚雷の有無とかも要素としては考えられますが、ここでは数式を単純化するために上記2点に絞って考察していきます。
プレイ時間が単純に「ターン数」と「ユニット数」に比例するとしましょう。そうすると次に重要なのは「比例定数」です。これを求めるのは私自身の「経験則」が重要になってきます。
ここではまず、シナリオ1「戦艦大和を撃沈せよ」をサンプルとして考えます。
このシナリオでは双方2隻づつ、合計4隻が登場します。ターン数は計18ターンです。プレイ時間は経験的に30~40分だと知っています。ここからプレイ時間を見積もる公式を求めましょう。
このシナリオでは双方2隻づつ、合計4隻が登場します。ターン数は計18ターンです。プレイ時間は経験的に30~40分だと知っています。ここからプレイ時間を見積もる公式を求めましょう。
仮にプレイ時間が以下のような式で得られると仮定します。
プレイ時間(分) = k(比例定数) x 参加隻数 x ターン数
その内容をシナリオ1に当てはめてみると、比例定数kは0.4~0.6程度になります。ここではk=0.5とします。その結果以下の式が導き出されます。
プレイ時間(分) = 0.5 x 参加隻数 x ターン数
これで各シナリオの所要時間を算出するための準備は整いました。あとは各シナリオのターン数と参加隻数からプレイ時間を見積もることができるはずです。

各シナリオ共概ね4時間以内に収まっていますね。
シナリオ13の約8時間というのが異常に大きいですが、これは「栗田艦隊vsハルゼー艦隊」といういわゆる「大型シナリオ」なので、いわば例外と考えて良いでしょう。シナリオ14もシナリオ13に準ずるものと考えれば宜しいかと思います。
裏箱等でプレイ時間を表記する際は、
シナリオ13の約8時間というのが異常に大きいですが、これは「栗田艦隊vsハルゼー艦隊」といういわゆる「大型シナリオ」なので、いわば例外と考えて良いでしょう。シナリオ14もシナリオ13に準ずるものと考えれば宜しいかと思います。
裏箱等でプレイ時間を表記する際は、
プレイ時間:1~4時間でプレイ可能、ただし一部大型シナリオ除く
と書いておけば、「嘘にはならない」ですね。
最後に
如何でしょうか?。今回は「ソロモン夜襲戦」をテーマにプレイ時間というものについて考察してみました。
今回の見積もりについてはかなり大雑把なものです。精度的にも十分なものとは言えないでしょう。今後の検証やテストプレイによる実測によってより精度の高い見積もりが可能になってくるでしょう。そういった意味で今回の試みは「話の始まり」として考えて頂きたく思います。
最近、あるゲームをプレイしていて、
「このゲーム、プレイ時間の見積もりをちゃんと実施しているのか?」
と感じたことがあります。「x時間でプレイ可能」
そのような謳い文句にもかかわらず、実際に始めてみたら1日やっても終わらなかった。そんなゲームもあります。
確かにプレイ時間を正確に算出することは困難です。厳密な意味では不可能なことかもしれません。しかしプレイ時間に対する最小限の見積もりすら行わず、出版されているシミュレーションゲームがあまりに多いのではないか。そんな疑問を感じることがあります。
「プレイ時間の予測は難しい」
その言葉の背後にあるのは「作り手側の論理」であって、決して「使う側の論理」ではない。「作り手側の論理」が堂々とまかり通っているこの世界・・・・。私は「何かがおかしい」と思います。
P.S. CMJ最新号のとあるゲーム紹介記事の中で「慣れれば1日でフルターン終わらせられるのが魅力」という言葉を見ました。その言葉を見たとき、私は「何かが間違っている」と思いました。
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