世界一わかりやすい「孫子の兵法」 長尾剛 PHP文庫
先日「ラーメンの不味い」某空港に行った時、飛行機の機内で読む本がないことに気づき、空港の本屋で買ったのがこの本です。恥ずかしながら私、今まで「孫子の兵法」という名前は知っていても、その内容については知りませんでした。本書は「孫子の兵法」をわかりやすく書いた本です。確かにわかりやすい内容で、スラスラと頭に入って行きました。本書は「孫子の兵法」と同じく全13章からなり、原著と同じく「始計」「作戦」「謀攻」「軍形」といったタイトルがつけられています。
本書を読んで驚かされるのは、その内容の「新しさ」にあります。「孫子の兵法」は今から2500年ほど前に書かれた著作ですが、その内容に古臭さはなく、現在でも十分通用する内容になっています。一例を上げれば「間接アプローチ」と呼ばれる軍事概念について、本書では「九地」という章の中で集結した敵に対する戦法として間接アプローチが提唱されています。また「火攻」とは文字通り「焼打ち」なのですが、孫子はその「火攻」について「破壊効果抜群ながらも戦後処理が大変なので使用には慎重を要する」としています。これなどは核兵器に代表される現在の大量破壊兵器の使用についても相通ずるものがあります(ついでに「攻者は風下に立ってはいけない」というのも大量破壊兵器と同じ(笑))。
このように現在でも十分通用する兵法の著作「孫子」。本書はそれをコンパクトにまとめた好著です。本格的に「孫子」を学ぼうとする向きには物足りないかもしれませんが、私のように「『孫子の兵法』ってなんだろう」と思っている人にはお奨めできます。
お奨め度★★★★
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