「ソロモン夜襲戦」登場艦艇紹介

今回は「ソロモン夜襲戦」に登場する艦艇について紹介したいと思います。実際の性能や戦歴は他の史料等を見ればわかる話なので、ここでは「ソロモン夜襲戦」におけるこれらの艦(フネ)の扱いについて書いていきたいと思います。

 (注)「ソロモン夜襲戦」とは、自作の水上戦ボードゲームです。詳しくはこちら

登場艦列伝 - 連合軍軽巡編 バックナンバー

連合軍軽巡編(1)

「アトランタ」級

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「アトランタ」級防空軽巡「サンファン」(USS San Juan (CL-54))。南太平洋海戦では空母「エンタープライズ」を守って活躍。その後も空母部隊の直衛艦として活躍し、終戦まで生き延びた。

概説

「防空軽巡」というある意味「モダン」なこのクラスは、その名の通り多数の両用砲を備えた対空戦闘を主任務とする戦闘艦です。合計16門もの5インチ砲をピラミッド型に配置したそのスタイルは周囲に独特の威圧感を与え、それは航空機時代に対応した新時代の艦に相応しいものとも言えます。
水上戦闘を主なテーマとする本ゲームの場合、残念ながら「アトランタ」は本来の威力を発揮できません。それでも5インチ砲16門を装備したその火力は侮れないものがあり、上手に使えば適切な用途が見出せるかもしれません。

ゲームでの性能

主砲は12cm砲で駆逐艦並みです。巡洋艦クラスが相手の場合、接近戦に持ち込まない限り(そして相手の舷側装甲が2以下でない限り)勝利の可能性はありません。とはいえ、主砲の火力自体は6-14-6に達し、使い方さえ間違わなければ「優秀な駆逐艦キラー」に化けるかもしれません。問題は12cm砲の射程距離です。相手駆逐艦をアウトレンジする能力に乏しいため、敵艦を魚雷発射前に阻止することが困難なのです。「駆逐艦キラー」として考えた場合、12cmクラスの火砲は適した火器とはいえず、15cmクラス以上の火砲が絶対必要なのかも知れません。
装甲は2-6-6。米巡洋艦の例に漏れずに水平装甲はそれなりに強力です。相手が20cm砲クラスの重巡であっても、中距離以遠ならある程度耐えることはできます。
あと(これは殆どオマケみたいなものなのですが)、両舷にそれぞれ4本の53cm魚雷を搭載しています。

シナリオでの扱い

本級はシナリオ6「キャラハン艦隊の壊滅」で初登場します。本来空母部隊直衛が主任務の本級が水上戦闘任務に駆り出されること自体かなり奇異な印象を受けるのですが、この時期の米軍は「なりふり構わず」の時期だったので、水上戦闘に不向きな本級も投入せざるを得なかったのでしょう。この戦いでは「アトランタ」「ジュノー」の2艦が参加しましたが、不幸なことに両艦ともこの海戦で失われました。

オークランド級

概説

広義な意味では「アトランタ」級に属するCL-95~CL-98を本ゲームでは区別して「オークランド」級と呼称しています。オリジナルの比べて両舷に搭載されていた主砲各1基を取り除いています。その結果、両用砲の火力は前作よりもやや小さくなりましたが、艦としての完成度は前作を上回ると評価されています。

シナリオでの扱い

本級が登場するシナリオはありません。追加シナリオを考えても、本級を登場させる必然性は小さく、またその動機にも乏しいと言えるでしょう。所詮は「アトランタ改」に過ぎませんから。

「クリーブランド」級

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「クリーブランド」級軽巡「サンタフェ」(USS Santa Fe (CL-60))。マリアナ、レイテ沖海戦に参加し、空母を守って活躍したが、日本艦隊と直接砲火を交える機会はなかった。

概説

米海軍が1940~42年度計画で整備した砲戦用大型軽巡洋艦です。基本的なデザインは前作「ブルックリン」級を継承していますが、主砲を1基減じて計12門とし、その代わり対空火力を前作からほぼ倍増させました。そのデザインコンセプトは太平洋における海上戦闘の実態に即した適切なものでした。事実、戦争中期より対日戦に登場した「クリーブランド」級軽巡は、空母直衛任務から夜間における水上打撃戦任務とあらゆる任務に投入可能な非常に便利な艦でした。
本ゲームの対象としている水上打撃戦では、大火力と新型レーダーにより敵にとって非常に嫌な艦であることは間違いないでしょう。しかし本級の主砲である15cm砲は、その威力、射程の両面において不満足なものであることは確かであり、特に相手が巡洋艦クラスの場合、その性能不足はプレイヤーにとって苛々の種になるかも知れません。

ゲームでの性能

装甲は3-7-7。米海軍では重装甲で知られた「ニューオーリンズ」級重巡洋艦に匹敵する重装甲で、並みの重巡を凌駕する防御力を誇っています。これは大落角で飛来する20cm砲弾に対して十分な防御力を有していることを意味し、遠距離砲撃戦ではいかなる日本重巡も圧倒することができます。
攻撃力の方を見てみると、主砲が15cm砲7-14-7。実際に「クリーブランド」が搭載する主砲は12門ですが、左記の評価は本級の卓越した両用砲火力を加味したものです。前作「ブルックリン」には及びませんが、それでもその大火力は侮れません。また電探装備も優秀で、夜戦においても全射程領域において完全無照射砲撃が可能です。総じて本級は大戦中に日本海軍が建造した「阿賀野」「大淀」各級を大きく上回る性能を有し、特に夜戦では日本海軍のすべての巡洋艦と互角以上に渡り合える性能を持った高性能艦であると言えます。
問題は15cmの威力と射程です。相手を日本の20cm砲クラスの重巡とした場合、射程距離の不利は昼間砲撃戦で相手にアウトレンジを許す危険性があります。威力については本級の重装甲がある程度相殺してくれますが、それでも一番手ごろな中距離帯で敵巡洋艦クラスを撃破できないその威力は、本級の優秀な射撃用電探をしてその意味を大いに減じさせてしまいます。

シナリオでの扱い

本級の活躍はガダルカナル戦末期より始まりました。シナリオでも北部ソロモン戦からレイテ戦を扱ったシナリオ12,13,14で本級は登場し、キャンペーンシナリオでも特別増援で登場する可能性があります。特にシナリオ12はタイトルがそのものズバリの「新鋭軽巡出撃す」となっています。このシナリオでは日本側の重巡戦隊や新型軽巡「阿賀野」に対して本級の卓越した砲戦能力を遺憾なく発揮できるので、ファンには大いにお勧めしたいシナリオです。