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「ソロモン夜襲戦」登場艦艇紹介

今回は「ソロモン夜襲戦」に登場する艦艇について紹介したいと思います。実際の性能や戦歴は他の史料等を見ればわかる話なので、ここでは「ソロモン夜襲戦」におけるこれらの艦(フネ)の扱いについて書いていきたいと思います。

 (注)「ソロモン夜襲戦」とは、自作の水上戦ボードゲームです。詳しくはこちら

日本海軍重巡洋艦概説

日本海軍の重巡洋艦は、八八艦隊計画後期に計画・建造された「古鷹」「青葉」型の計4隻を除けば、その大半がワシントン、ロンドン軍縮条約の影響を受けて建造された「条約型巡洋艦」でした。ワシントン軍縮条約締結後に建造された「妙高」「高雄」型の計8隻は、列国重巡洋艦を凌駕する砲兵装と雷装を備えた強力な戦闘艦でしたが、実際の排水量はワシントン条約の上限値をかなり超過してしまいました。
1930年に締結されたロンドン軍縮条約によって巡洋艦の保有量にも制約を受けることになった日本海軍は、重巡を上回る能力を持つ「最上」型軽巡洋艦4隻を計画、建造しました。「最上」型は6インチ砲搭載艦ながら列国の8インチ砲搭載艦を凌駕する性能を持つ艦で、他国の巡洋艦建造に大きな影響を与えました。「最上」型は後に8インチ砲搭載の重巡洋艦に改良されました。日本海軍最後の重巡洋艦「利根」型2隻は、後部に広大な水上偵察機搭載スペースを有する偵察巡洋艦で、従来の砲戦力重視の重巡群とは一線を画する艦です。この他日本海軍は、戦時中に「最上」型を改良した砲戦力重視の重巡「伊吹」型2隻の建造を企図しましたが、この2隻は結局就役することはありませんでした。
日本海軍の重巡は一般に列国のそれに比べると大型であり、砲戦力及び雷撃戦力が強力なことが特徴です。特に雷撃戦力は我が国独自の93式酸素魚雷の性能と相まって世界最強と言えるものでした。ただし電測兵装については、特に戦争中期以降は連合軍のそれに比してかなり見劣りするようになり、そのために実戦においても苦戦を強いられるようになりました。

「古鷹」


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概説

大正年代後期、日本海軍は、米英が整備を進めつつあった中型巡洋艦、中でも米「オマハ」級軽巡や英「ホーキンス」級巡洋艦を凌駕する火力を持った巡洋艦の整備に着手しました。それが「古鷹」型です。20cm砲6門を主兵装とする「古鷹」型は、当初の目的どおり「オマハ」「ホーキンス」級を凌駕する火力を持った巡洋艦として完成しました。しかし「古鷹」型の就役と前後してワシントン軍縮条約が締結され、世界は条約型巡洋艦の時代へと突入していくことになります。条約型巡洋艦に比べるとやや小ぶりな「古鷹」型は、個艦性能でも条約型巡洋艦をやや下回るものになってしまいました。
「古鷹」型の「古鷹」「加古」は開戦後グアム、ウェーク攻略戦に参加。その後も南東方面で活躍し、第1次ソロモン海戦では米重巡洋艦を撃沈するなどの戦果も挙げています。しかし「加古」が1942年8月に潜水艦の雷撃により失われ、「古鷹」も1942年10月のサボ島沖海戦で米艦隊の集中砲火を浴びて撃沈されました。これら諸艦については活躍の期間こそ短かったものの、本来持っている性能を十分に発揮できたという点においては「幸運な艦」だったと言えるかもしれません。

ゲームでの性能

主砲火力は20cm砲「4-6-2」。主砲の性能には問題はないのですが、肝心の火力が小さいので相手が米大型巡洋艦の場合、相当の苦戦を強いられるかも知れません。魚雷は左右両舷にそれぞれ93式魚雷が4門づつ。魚雷数こそ少ないものの、搭載魚雷が高性能なので、使い方さえ間違えなければそれなりの戦果が期待できそうです。
装甲値は「2-5-4」。20cm砲に対する防弾効果は殆ど期待できません。相手が米重巡の場合、中距離で撃ちあえば相手の砲弾は「古鷹」をブスブス貫き、一方「古鷹」の砲弾は相手の主要装甲部で殆ど弾き飛ばされてしまう、という悲しい結果になりそうです。「古鷹」にとって頼みの綱は魚雷だけかも知れません。

シナリオでの扱い

シナリオ4で「古鷹」「加古」、シナリオ5で「古鷹」が登場します。シナリオ4は奇襲効果のおかげで大きな活躍が期待できます。シナリオ5は逆に日本側が奇襲を食らった状態なので苦戦を余儀なくされるでしょう。いずれのシナリオでも練度では日本側が優っているので、性能面の劣勢を練度でどこまでカバーできるかが楽しみな所です。


「青葉」


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概説

「青葉」型は、「古鷹」型の砲熕兵装を改造した「古鷹」改とでも言うべき存在です。完成当時は「古鷹」よりも有力な砲熕兵装を持つ艦でしたが、後の改装で「古鷹」も「青葉」に準ずる兵装を有するに至ったので、実質的な砲戦性能には殆ど差異がありませんでした。
「青葉」「衣笠」の2艦が完成。太平洋戦争では「青葉」「衣笠」「加古」「古鷹」の4艦で第6戦隊を編成。グアム、ウェーク攻略戦に参加し、ガダルカナル攻防戦でも大きな活躍を見せました。「衣笠」はガダルカナル戦途中で敵機の攻撃により撃沈されましたが、「青葉」はガダルカナル戦を生き延び、その後もビアク逆上陸戦やレイテ島強行輸送作戦等で活躍したあと、1945年7月の呉大空襲でようやく撃沈されました。

ゲームでの性能

殆ど「古鷹」型と同じです。

シナリオでの扱い

「古鷹」型と同じです。「青葉」は戦争末期まで生き残っていたので、例えばオルモック湾における米巡洋艦隊vs日本艦隊等という自作シナリオを容易し、そこに「青葉」を登場させるのもありかな。


「妙高」


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概説

1922年に締結されたワシントン海軍軍縮条約により、日本海軍は条約の規制ギリギリの新しい大型巡洋艦の整備に着手しました。それが「妙高」型重巡です。排水量1万トンという制約の中、20cm砲を10門備えた「妙高」型は、列強の条約型重巡洋艦の中でも際立って有力な艦の1つでした。開戦前に行われた改造によって雷撃兵装が最新の93式酸素魚雷計16門に変更され、砲力、雷撃力とも同種の重巡の中では最も優れた能力を持つに至りました。開戦後はスラバヤ沖海戦に「那智」「羽黒」の2艦が参加、1943年に入るとアッツ島沖海戦で「那智」、ブーゲンビル島沖海戦で「妙高」「羽黒」が参加し、1944年に入るとマリアナ沖海戦に「妙高」「羽黒」、レイテ沖海戦では「妙高」以下4隻すべてが参加しました。中でも「羽黒」は栗田艦隊の1艦としてサマール島沖海戦等で奮戦しています。

ゲームでの性能

主砲は20cm砲4-10-4。艦首方向の火力がライバル米重巡と比べてやや見劣りするものの、片舷砲力10門は米重巡を凌駕し、砲力で米重巡に見劣りすることはありません。また雷撃兵装は93式酸素魚雷が片舷各8門づつ。しかも予備魚雷あり。これは新型駆逐艦に匹敵する雷装で、雷撃戦力でも世界最強級です。装甲厚は3-6-4。中距離砲戦で20cm砲に対して最小限の抵抗力を持っていますが、近距離や遠距離では20cm砲に対する抵抗力は皆無です。対弾性に関して米重巡と比べると、比較的旧型の「ノーザンプトン」級とはほぼ拮抗していますが、「ポートランド」級以降の新型艦には見劣りします。1対1での砲戦を想定した場合、中遠距離では「ポートランド」級以降の米重巡に対して不利であることは否めません。「妙高」側が勝利を収めるためには、接近戦に持ち込んで、砲力及び雷撃力の優越を生かす必要があるでしょう。

シナリオでの扱い

シナリオ2で「那智」、シナリオ12で「妙高」「羽黒」、シナリオ13,14で「羽黒」が登場します。シナリオ2を除けば相手はいずれも高性能レーダーを搭載した米新鋭艦なので、苦戦は免れないでしょう。本型の活躍を楽しみたい場合は、キャンペーンシナリオがお奨めです。このシナリオでは1942年という比較的日本が有利な時期での戦いを描いています。「妙高」「羽黒」の2艦が登場するので、米重巡相手に両艦の戦闘能力をみせつけましょう。他に「妙高」型が活躍するシナリオを考えてみると、1942年2月のスラバヤ沖海戦、同年3月の「エクゼター」追撃戦、1944年10月のレイテ沖海戦を巡る一連の戦闘(スリガオ海峡海戦、サマール島沖海戦)、1944年12月の礼号作戦、1945年5月のペナン島沖海戦等が考えられます。