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スミソニアン-現代の航空戦

ロン・ノルディーン 繁沢敦子訳 原書房

 ベトナム戦争から現代までの主な航空戦を解説、分析した著作です。本書で扱っているのはベトナム戦争(前期、後期)、第1次、第2次印パ戦争、イスラエルとアラブの戦い、アフガニスタンの戦い、米国とリビアの戦い、フォークランド紛争、イラン・イラク戦争イ、湾岸戦争、バルカン戦争あたりです。ベトナム、フォークランド、湾岸戦争といったあたりまでは日本でも結構メジャーなテーマなので情報もそれなりに豊富なのですが、イラン・イラク戦争や印パ戦争、あるいは意外と知られていないバルカン戦争等は情報が少なく、そういった意味で本書の記述は新鮮です。それぞれの戦いについて本書は、それぞれの戦いの概要を示すと同時に「分析」という項目を設けて参加当事者それぞれの空軍力の運用について解説を試みています。これらの記述に目を通すことで読者はそれぞれの戦いの概要を知ると同時に、それぞれの戦いの勝因や敗因等について考察を深めることができるようになっています。
 巻末には「1965年当時の航空機と兵器」「2000年当時の航空機と兵器」という項目を設けてあり、それぞれの時代における典型的な航空機搭載攻撃システムや防御システム、あるいは搭載兵器について解説を加えています。これらは専門的な内容について正確かつ簡潔に記されているので、現用航空機の武器システムについて理解を深めるには格好の文章です。
 総じて本書は現在航空戦の歴史や実態について解りやすく記載した好著であり、空軍力や軍用航空機に興味のある向きには一読して損はないと思います。

お奨め度★★★★