先日購入した「アジアン・フリート」のシナリオを試してみました。シナリオ3「Target Nodong」です。これは北朝鮮ミサイル危機をシミュレーションするシナリオです。弾道ミサイルによる攻撃を画策する北朝鮮に対し、日米連合軍が先制攻撃を行ってミサイル基地の撃破を目論むという、ある意味「とても好戦的」なシナリオです。
初期戦力
戦場は朝鮮半島とその周辺海域です。日米連合軍の兵力は、空母機動部隊1群、水上部隊2群、潜水艦5隻、そしてF-15やF-2といた航空自衛隊の主力、三沢のF-16、岩国のF/A-18、八戸/厚木のP-3C、空母「キティーホーク」の艦載機群、さらにはグアム島からはB-52やB-2が飛来します。日米連合軍の目的は、最小限の損害で北朝鮮側ミサイル基地を全て破壊することです。対する北朝鮮は、MiG-29やMiG-23等の戦闘機隊、若干の攻撃機、旧式潜水艦、そしてミサイル艇部隊です。兵力面での劣勢は覆うべくもありません。北朝鮮は、ミサイル基地攻撃にやってくる日米軍にできるだけ大きな損害を与えることが目標になります(ミサイル基地を守りきることはほぼ不可能です)。
セットアップ時の状況
戦略航空作戦
日米連合軍は日本海ゾーンにF-15 2ユニット、EA-6 1ユニット、E-767AWACS 2ユニット、その他を投入した。北朝鮮軍は兵力温存のために戦略航空作戦には部隊を投入しなかった。当然のように日米連合軍が日本海ゾーンの制空権を確保した。AWACS部隊が北朝鮮領海すれすれまで接近し、管制任務を開始した。AWACSの管制下には百里、小松、築城の各基地を発進したF-15計5ユニットが入り、北朝鮮領空内での航空優勢任務についた。第1ターン(D Day 午前)
戦争が始まった。空母「キティホーク」を基幹とする第77機動部隊は佐世保基地を出港。9隻の護衛艦艇(すべてイージス艦)を従えて北の海を目指した。午前3時15分。「シャイロー」以下9隻のイージス艦はトマホークミサイルによる第1波攻撃を敢行した。目標は北朝鮮東部にあるxx航空基地である。北朝鮮空軍機による厳重な警戒網を突破したトマホークミサイルは次々と目標に命中。航空基地は一時的に機能を失った。ミサイル攻撃に引き続いて日米の航空部隊が北朝鮮各地に殺到した。航空戦略のセオリーとして、まず敵防空組織を破壊する、というのがある。しかし今回は敵防空組織が元々弱体なことや時間が限られていること、さらには自軍の損害をできる限り完封するという意味もあるので、日米軍の主目標はミサイル基地に集中した。グアムを発進したB-52部隊を皮切りに、三沢から発進した米空軍のF-16(途中空中給油で航続距離を延伸した)、同じく三沢の空自F-2、F-4EJ混成部隊、「キティーホーク」のF/A-18、さらにはグアムに展開していた「虎の子」B-2爆撃機も投入され、北朝鮮各地を思うままに破壊した。このターンの爆撃だけで北朝鮮ミサイル基地の半数が壊滅し、残り半数も重大な被害を被った。
北朝鮮空軍機も懸命に迎撃したが、AWACSの支援で飛び回る航空自衛隊F-15Jの敵ではなく、虎の子MiG-29 1ユニットが壊滅し、他は基地へ逃げ込んだ。
日本海では海上自衛隊も活躍した。「せとしお」以下の潜水艦隊が北朝鮮潜水艦部隊を捉え、魚雷攻撃で数隻を撃沈していた。また厚木を飛び立ったP-3C部隊は、元山港に潜む北朝鮮ミサイル艇部隊をハープーン対艦ミサイルで攻撃。1ユニットを壊滅させた。
連合軍機による猛攻
第2ターン(D Day 午後)
「せめて一太刀でも浴びせん」そう考えたのか、北朝鮮東部各地を出撃したミサイル艇部隊が日本海で行動中の海上自衛隊水上部隊を射程距離に捉えた。しかし彼らはミサイルを発射する直前、連合軍機の猛攻を浴びることになってしまった。厚木を飛び立った海自P-3C部隊はミサイル艇1ユニットを壊滅させた。岩国を発進した米海兵隊のF/A-18部隊は、築城の空自F-2部隊と共同で北朝鮮コルベット部隊を壊滅させた。
北朝鮮での戦いは既に末期的な様相を呈してきた。ほぼ完全に制空権を掌握した連合軍機は、北朝鮮上空を思うがままに飛びまわった。B-52が、B-2が、F-16が、F/A-18が、F-2が、F-4EJが・・・・、ミサイル基地を爆粋し、飛行場の機能を停止させた。洋上の第77機動部隊所艦からはなおもトマホークによる激しい攻撃が続き、水中に潜む米潜水艦「ヘレナ」「アッシュビル」の2艦もトマホーク攻撃に参加した。
第3ターン(D Day 夜)
この時点で北朝鮮のミサイル基地は全て壊滅していた。連合軍は当初の目的を達成し、あとは残敵掃討段階に入った。朝鮮半島東岸の清津と馬養島に爆撃機と巡航ミサイルを投入し、その両方を壊滅させた。それ以外の目標はあえて手をつけない。何故なら友軍の犠牲は最小限に留めなければならないから。終了
作戦開始わずか1日で連合軍は勝利を宣言した。北朝鮮のミサイル基地は全て壊滅。水上部隊も全滅した。潜水艦はその1/3、航空兵力も1/4を失った。連合軍の損害は皆無である。北朝鮮は敗北を認め、連合軍に対して屈辱的な和平案を受け入れることを余儀なくされた。ゲーム終了時の状況
圧倒的じゃないか我が軍は
うーん、どうなんでしょうね?。ハッキリ言って北朝鮮側で勝利するのは殆ど「不可能」だと思います。連合軍の航空兵力は殆ど圧倒的で、AWACSの効果も相まって北朝鮮全土で航空優勢を保持しています。単純に空戦力を比較しただけでも、連合軍はF-15、F-16、F/A-18等合計で200近い火力を有しているのに対し、北朝鮮側は合計48戦力。しかも連合軍の主力が足の長いF-15なのに対し、北朝鮮軍はその4割が短足のMiG-21です(戦略航空作戦に投入できない)。さらに連合軍側にはトマホーク搭載艦が合計11隻。しかもそのうちの9隻は6発以上のトマホークを搭載し、「毎ターン巡航ミサイル攻撃を行える」ほどの火力投射量を誇ります。このような状況下では北朝鮮側に航空戦力による反撃は思いもよりません。飛び上がった瞬間AWACSに誘導されたF-15によって袋叩きにされるでしょう。運良く相討ちで敵AWACSを撃退したとしても、連合軍は2ユニットのAWACSを有しているのでその防御網はいささかの揺るぎもないでしょう。
北朝鮮側にとって残る手段としては潜水艦と水上艦による反撃があります。この中で最も有望なのが潜水艦による攻撃です。洋上行動中の連合軍艦艇を上手く捕捉できれば、敵イージス艦の1~2隻をステップロスさせることは可能かもしれません(あくまで「運が良ければ」ですが)。しかし北朝鮮潜水艦は低速ゆえ高速で走り回る敵水上艦の捕捉は困難です。
一方の水上艦は足が速いので、敵を発見することに成功すれば対艦ミサイルによる一撃を見舞うことは可能です。しかしこちらは潜水艦に比べると非脆弱性に劣り、開戦初頭に連合軍機の集中攻撃を浴びる可能性が高いです。ひとたび連合軍機の攻撃を受けた場合、元々防御力が小さい上に近接対空火力も貧弱なので、容易に壊滅させられるでしょう。
結局の所、このシナリオで北朝鮮軍は連合軍に「多少の損害」を与えることは可能かもしれませんが、それは勝利条件という観点から見た場合は程遠いものです。
「連合軍側に立って圧倒的な破壊力を満喫する」
というのがこのシナリオの正しい遊び方なのかもしれませんね。
「ダイスを振って偶数なら連合軍、奇数ならソ連軍」
と明記されていますが、「アジフリ」のルールブックには上記の記述に相当するようなルールは見当たりません。またAWACSルールも絡んでくるので単純に「第7艦隊のルールをそのまま適用する」という訳にも行かないようです。そこで今回は以下のように解釈しました。
(1) 相方がAWACSを持たない場合は「第7艦隊」のルールに従う。
(2) いずれかがAWACSを持つ場合はAWCAS側が常に攻撃側になる。
(3) 相方がAWACSを有する場合は「アジフリ」ルール9.4項に従う。
いかがでしょうか。(2) いずれかがAWACSを持つ場合はAWCAS側が常に攻撃側になる。
(3) 相方がAWACSを有する場合は「アジフリ」ルール9.4項に従う。
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