「ソロモン夜襲戦」登場艦艇紹介
今回は「ソロモン夜襲戦」に登場する艦艇について紹介したいと思います。実際の性能や戦歴は他の史料等を見ればわかる話なので、ここでは「ソロモン夜襲戦」におけるこれらの艦(フネ)の扱いについて書いていきたいと思います。 (注)「ソロモン夜襲戦」とは、自作の水上戦ボードゲームです。詳しくはこちら
「最上」(a)
概説
1930年に締結されたロンドン海軍軍縮条約は、重巡洋艦の保有量に制約を課すこととなりました。それを受けて日本海軍は、8インチ砲搭載重巡を補完する8500t級大型軽巡洋艦の建造に着手しました。それが「最上」型です。新型の3連装15.5cm砲5基15門を備えた「最上」は、重巡に匹敵する性能を持った大型軽巡として世界が注目する所となり、米「ブルックリン」級軽巡や英「サザンプトン」級軽巡を生み出すことになったのです。「最上」「三隈」「鈴谷」「熊野」の4艦が就役しました。その後「最上」型4艦は主砲を20cm連装砲5基に換装し、「妙高」「高雄」型に匹敵する能力を持った巡洋艦に生まれ変わったのです。開戦後は4艦共南方攻略戦に参加し、「最上」「三隈」はバタビア沖海戦で米重巡「ヒューストン」と豪軽巡「パース」を撃沈しています。ミッドウェー海戦で「三隈」が失われた後、航空巡洋艦に改造された「最上」を除く2艦は、空母部隊の直衛任務や夜戦兵力としてソロモン方面で活動しました。その後マリアナ、レイテ沖海戦にも参加しました。サマール島沖海戦には「鈴谷」「熊野」が参加しましたが、いずれも戦闘開始後比較的早い時期に戦闘力を失ったため、大きな活躍はありませんでした。ゲームでの性能
主砲は20cm砲6-10-4。艦首射界に対する火力が「妙高」「高雄」よりも強化されているため、何かと便利だと思います。水雷兵装は左右それぞれ93式魚雷発射管6門づつ。改造後の「妙高」「高雄」の8射線には及びませんが、まあ十分な火力と言えるでしょう。装甲は「妙高」「高雄」と同レベルです。「妙高」の解説でも述べましたが、本型の砲力及び装甲防御力では「ノーザンプトン」級以前の比較的旧式の米重巡とは互角の砲戦が可能としても、「ポートランド」級以降の艦と撃ちあうには明らかに力不足です。本型が重装甲を誇る米重巡に打ち勝つためには、接近戦と魚雷の活用が決め手になると思われます。シナリオでの扱い
仮想戦であるシナリオ3で4艦揃って登場します。相手は強敵「プリンス・オブ・ウェールズ」。「最上」型の戦闘力を遺憾なく発揮できるシナリオなので、ファンの方にはお奨めしたいです。他にはシナリオ13,15,16に「熊野」「鈴谷」の2艦が登場します。いずれも仮想戦シナリオです。そういえば「最上」型が登場するシナリオはいずれも仮想戦ですね。個艦性能は優秀でも、実際にはあまり活躍の機会がなかった不遇なクラスなのかもしれません。史実戦で「最上」型の活躍する機会を探してみると、1942年2月のバタビア沖海戦か、あとは1944年10月のサマール島沖海戦ぐらいしかなさそうです。「最上」(b)
概説
ミッドウェー海戦で大破した「最上」は、その損害復旧を利用して航空巡洋艦に改造されることになりました。後部主砲はすべて撤去され、そこには大型の飛行甲板が設置されました。最大11機の水上偵察機を搭載可能な同艦は、艦隊の航空偵察能力向上に大きく貢献することが期待されました。レイテ沖海戦では同艦の水上偵察機がレイテ湾内に対して強行偵察を実施し、日本側に貴重な情報をもたらしました。「利根」
概説
日本海軍が最後に整備した重巡洋艦が「利根」型です。4基の20cm連装砲はすべて前部に集中され、後部は広大な飛行甲板となりました。水上機の搭載数は最大8機。実際には4~6機程度が搭載されました。「利根」「筑摩」の2艦が建造されました。開戦後は主に機動部隊と行動を共にし、ハワイ作戦やミッドウェー海戦等では、その卓越した偵察能力を生かして活躍しました。戦争後半は遊撃部隊に所属し、マリアナ、レイテの二大海戦にも参加しています。サマール島沖海戦では「利根」「筑摩」が揃って奮戦し、米護衛空母群に大きな脅威を与えたましたが、米艦載機の反撃により「筑摩」が失われました。「利根」はその後もしばらく活動を続けましたが、1945年7月の呉大空襲の際に大破着底してしまいました。「世界の重巡洋艦パーフェクトガイド」によると「利根型は各国が建造した重巡の中でも最も耐弾防御が良好な部類に属する艦のひとつと評価されている」そうです。もしこの評価が正当なものであるならば、「利根」の装甲値にもう少し「色」をつけても良いかも知れませんね。
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