イメージ 1

軍事学入門

別宮暖朗 ちくま文庫

筆者の別宮さんは、Game Journal誌で日露戦争やWW1をテーマにした興味深い連載記事を書かれている方です。本書は、その別宮さんが「戦争は何故始まるのか」「戦争を終わらせるものは何か」「戦争をなくすためにはどうすれば良いか」等について、過去の歴史に基づいて論じた著作です。

本書では「戦争計画」と「作戦計画」の違い、WW1の発生原因はドイツ参謀本部の特異な戦争システムにあること、蘆溝橋事件は蒋介石の野心が原因であったこと、国連(国際連合)が現在の紛争に対しては無力であること、警察と軍隊との違い(それは兵站組織の有無)。武器の進歩による戦争の変化、今後戦争を起こすとすればどこか、等を説きます。所謂「タカ派」には気持ちの良い文章が続きますが、「ハト派」にとっては面白くない本でしょう。特に平和運動に対する筆者の見方は甚だ批判的で
「平和運動が戦争を生む」
と論じています。

戦争のメカニズムを知るには良い著作だと思います。ただ全般に筆者の「好み」がやや前面に出過ぎている感があり、その点で拒否反応を起こす人はいるかもしれません。特に「中国」「平和運動」「共産主義」(要するに「左寄り」の人達が好きな言葉ですね)に対する筆者の攻撃は辛辣です。私自身は上記の言葉に何ら親しみを持っていないので本書に対して「拒否反応」を起こすことはありませんでしたが、それでも筆者の露骨な「左」攻撃にはやや眉をひそめました。

お奨め度★★★