「ソロモン夜襲戦」の新シナリオ「バリクパパン海戦」のリプレイです。
(注)「ソロモン夜襲戦」とは、太平洋戦争における日本海軍と連合軍海軍との間で繰り広げられた水上戦闘を扱った自作ボードゲームです。詳しくはこちら
第10ターン
米駆逐艦群の左前面してきた接近してきた日本海軍第2駆逐隊は、日本海海戦の故事を再現するかのような敵前回頭を行った。所謂「トーゴーターン」である。この運動によって両者の距離は急速に接近した。距離3-4kmで両者は砲火を交えた。米艦隊の砲撃は先頭艦「夕立」をしばしば夾又したが、有効弾はなかった。しかし米駆逐艦3隻から狙われた2番艦「五月雨」の方はそうはいかなかった。1弾が「五月雨」に命中し、最大速度が25ktまで低下したのである。この損傷により第2駆逐隊の米駆逐艦群に対する速度の優位は失われてしまった。第2駆逐隊も激しい砲火を浴びせかけた。「夕立」の1弾が米駆逐艦「パロット」に命中したが、「パロット」の損害は軽微であり、戦闘航行に支障はなかった。「夕立」「五月雨」の2艦が計16本の魚雷を発射した。
この時点での日本駆逐艦による魚雷発射は判断の難しい所である。射点的には「ベスト」とは言えないまでも「概ね良好」であり、通常のシナリオであればこの雷撃は妥当な判断と見なされるだろう。ただ今回の場合、「ベスト」を待たずに「ベター」を選択したことは議論余地があるかもしれない。付け加えるなら、このターン先攻側は連合軍であったため、日本軍は余分なCP出費を強いられた。このターンは雷撃を自重し、砲力を優位を生かして砲戦を継続しつつ機を見て雷撃に持ち込むのが妥当な戦術ではなかっただろうか?。結果的にこの魚雷攻撃は失敗することになるが、今から振り返ってみると少し魚雷攻撃を焦りすぎたのかもしれない。

第10ターンの状況。日本駆逐隊は米艦隊の左前面を圧迫しつつ砲雷撃戦を展開。16本の酸素魚雷が米駆逐艦に迫る。
第11ターン
日本駆逐艦の放った16本の魚雷は米駆逐艦に迫る。しかし惜しいかな、1本も命中も得られなかった。米駆逐艦群は左120度回頭。日本艦隊の正面から反航姿勢で突破を図る。対する日本駆逐隊。同じく左120度回頭。あくまでも平行砲戦で敵を仕留めようとする。距離2-3km。日本艦隊はCP不足で砲撃を控えた。一方の米艦隊は激しい砲火を浴びせた。「夕立」「五月雨」がしばしば夾又弾に包まれたが、日本軍にとって幸いにも命中弾はなかった。米駆逐艦群は計6本の魚雷を低速モードで発射する。
先ほどのターンでCPを無駄遣いしたツケが早くも現れている。このターン、日本艦隊はCP不足のため砲撃を差し控えることになった。この近距離。上手くいけば決定的な打撃を与え得た局面でのCP不足は痛い。またこのターンにも日本艦隊はミスを犯した。米艦隊を追う際、右回頭ではなく左回頭したことである。そのために米艦隊の右舷側に出ることになった日本駆逐艦は、米駆逐艦の牽制雷撃のために敵方への回頭すら難しくなったのである。ただし「では右回頭がベストだったか?」と問われれば、これはまた難しい質問である。右回頭した場合、米艦隊の対応によっては日本艦隊が米艦隊の背後に出ることとなってしまう。この場合、日本艦隊は砲力を発揮することが難しくなる。
米駆逐艦群がこのターンあえて魚雷を低速モードで発射した理由は、言うまでもなく日本艦隊の回頭を妨害するためである。日本艦隊は魚雷が自らの艦尾より追いかけて来る限り舷側を魚雷に向けることはできない。つまり回頭できない。回頭できないということは米艦隊との距離がどんどん開いていくことを意味する。日本艦隊としては自艦の犠牲にはあえて目を瞑り、あえて魚雷に横腹を晒すような覚悟が必要だったのかもしれない。これは艦船ファンにとっては厳しい決断である。
第12ターン
第2駆逐隊は左後方から迫る魚雷を意識しつつもギリギリの所で左60度回頭を行った。横腹を晒した日本駆逐艦の船腹に6本の米魚雷が迫る。艦首を立て直した日本艦隊と米艦隊は激しい砲火を浴びせ会う。両者多数の夾又弾に包まれるが、お互い命中弾はなかった。米艦隊は横原を晒した日本駆逐艦を狙って計12本の魚雷を高速モードで斉射する。
米駆逐艦の放った魚雷群が日本駆逐艦に迫る。米艦隊は魚雷の疾走速度を巧みに調整することにより、日本艦隊に回頭の機会を与えまいとした。
第13ターン
最初の低速魚雷6本は辛くも回避した日本駆逐艦だったが、続いてやってきた高速魚雷は回避し切れなかった。魚雷1本が駆逐艦「五月雨」に命中した。船体をへし折られて轟沈する「五月雨」。傷ついた日本艦隊に対し、さらに米艦隊の砲火が襲う。遂に命中弾が駆逐艦「夕立」を貫いた。「夕立」の速度は25ktに低下した。第14ターン
魚雷回避運動によって後落した日本軍第2駆逐隊。米駆逐艦は煙幕を展張して射撃を妨害しようとする。「夕立」「春雨」の2艦は煙幕の背後から米駆逐艦を狙う。執念の一撃が遂に米艦を捉えた。「ジョン・D・フォード」「パロット」の2艦に命中弾が炸裂。いずれも中破して速度15kt以上は出なくなった。
第14ターンの状況。煙幕越しに放った日本駆逐艦の一撃がようやく米駆逐艦を捉えた。
第15~18ターン
手傷を負いながらも懸命に戦場離脱を図る米第59駆逐隊。前面に立ちふさがった軽巡「那珂」に対しては健在な2隻が集中砲火を浴びせてこれを撃退。しかし後方から追求してきた日本海軍第9駆逐隊が米艦隊にさらなる出血を強いた。新鋭駆逐艦「朝雲」は「ジョン・D・フォード」にさらに3発の命中弾を与え、同じく「峯雲」は「パロット」に2発の命中弾を与えた。両艦とも沈没こそ免れたもの、共に大破してしまった。この時点で時間切れ。日米双方に大きな犠牲を強いたバリクパパン海戦は終了した。
勝利条件を満たした連合軍の勝利
感想
今回は連合軍の勝利に終わったが、日本軍のミスとダイスに助けられた感が強い。もし日本軍にミスがなかったか、あるいはダイス運に恵まれることがなければ、恐らく日本軍の勝利に終わっていただろう。このシナリオのテストプレイは今回で4回目だが、今まで連合軍が勝利したことは1度もなかった。そういった意味で今回の結果は「目出度い」ことなのであるが、それでもまだ日本軍有利の感が強い。この対戦の後シナリオを一部改訂し、両軍の初期配置を少し移動させた。この改訂により連合軍が盤端に到達するまでに必要な時間がやや少なくなり、また連合軍側の運動余地が大きくなった。これでもまだ日本軍有利の感が強いが、競技用としては許される範囲のバランスに落ち着いたのではないだろうか。このバリクパパン海戦シナリオは両者ともマイナーな部隊が登場する興味深いシナリオである。また最初は小兵力で徐々に増援部隊が登場してくるというシチュエーションも面白い。プレイ時間やマップの広さも手頃である。コンパクトなシナリオながら、両者にとって戦術手腕を発揮する余地も大きく、さらには両者とも攻撃側を演じることができる点も評価したい。今後このシナリオがどのような扱いになるかは不透明であるが、もし本シナリオが何らかの形で世に出る機会があれば、是非ともプレイして頂きたい。
(つづく)


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