太平洋戦線のP-38ライトニングエース
ジョン・スタナウェイ 梅本弘訳 大日本絵画
いつもお馴染みのオスプレイ軍用機シリーズ。今回は、米陸軍戦闘機乗り達に最も人気の高かった機体、P-38ライトニングについて取り上げます。本書では、1942年末期にP-38が初めて南太平洋に進出してからはじまり、山本長官機の撃墜、1943年後半における北部ソロモン、ニューギニアでの戦い、ホーランディアでの戦い、フィリピンでの戦いまでを扱っています。フィリピン戦以降は扱いません。この時期になるとP-51やP-47の新型モデルが数を増やしてきたからでしょう。
我々にとって興味深いのは1943年における戦いと1944年におけるフィリピン戦。前者はまだラバウル航空隊健在なりし頃で、ラバウル周辺を舞台に両軍合わせて100機以上が戦う大空中戦が連日に渡って繰り広げられました。この時期の日本側の戦記では「まだまだ零戦は優秀性を失っておらず云々」といった日本側の優勢を強調する記述が数多く見られるのですが、同じ時期の戦いを米側から見てみるとどうなるか。そういった点に注目してみると楽しめます。
1944年のフィリピン戦では、続々と登場してくる日本側新鋭機に対し、ライトニングがどのような戦いを演じたのかを米側の視点で眺めることができます。
太平洋戦域で最も活躍した米陸軍の戦闘機、P-38ライトニングの戦記は、太平洋戦争における航空戦の実態を知る上で有益な著作だと言えるでしょう。
お奨め度★★★
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