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「ソロモン夜襲戦」登場艦艇紹介

今回は「ソロモン夜襲戦」に登場する艦艇について紹介したいと思います。実際の性能や戦歴は他の史料等を見ればわかる話なので、ここでは「ソロモン夜襲戦」におけるこれらの艦(フネ)の扱いについて書いていきたいと思います。

 (注)「ソロモン夜襲戦」とは、自作の水上戦ボードゲームです。詳しくはこちらをご覧下さい

連合軍重巡バックナンバー
連合軍重巡編(1)

「ニューオーリンズ」級

概説

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「ポートランド」級から大幅に設計変更を行い、防御力の強化を図ったモデルです。艦容は今までのクラスから大きく変貌し、英「ネルソン」級戦艦に倣った塔型艦橋を持つ艦となりました。全般的に装甲防御力が全級よりも強化されている他、高角砲や航空機配置が前級から改められています。1934~1937年にかけて計7隻が就役しました。
戦時中は「タスカルーサ」が大西洋戦線で終始行動した他は、全艦が太平洋戦線で行動しました。同級のうち「ヴィンセンス」「クインシー」「アストリア」の3隻が第1次ソロモン海戦で枕を並べて撃沈され、その後のガダルカナルを巡る戦いで「サンフランシスコ」「ミネアポリス」「ニューオーリンズ」も次々と大破して戦場を離れて行きました。後に後者3隻は戦場に復帰し、レイテを巡る戦いでは日本艦隊と砲火を交えています。被害の大きさという点では「ノーザンプトン」級を上回る犠牲を強いられたクラスだと言えましょう。

ゲームでの性能

火力は「ノーザンプトン」「ポートランド」級と同じく20cmB砲「6-9-3」。日本重巡とほぼ互角です。装甲は「ポートランド」級よりもわずかに強化されて「3-7-7」。性能的には「ポートランド」級の改良型といって良さそうです。遠距離防御力がより強化されているので、遠距離砲戦がより安全になりました。

シナリオでの扱い

シナリオ4で「ヴィンセンス」「クインシー」「アストリア」、シナリオ6で「サンフランシスコ」、シナリオ8で「ミネアポリス」「ニューオーリンズ」が登場します。いずれのシナリオも史実で米軍が大敗した戦いを扱ったものなので、これらのシナリオに登場する諸艦も苦戦を強いられるでしょう。シナリオ13でも「ニューオーリンズ」が登場しますが、今度は圧倒的に強化されたTF34の1艦として栗田艦隊と相対します。今まで虐げられ続けた日本艦隊に対して報復するには絶好の機会です。その他、シナリオ15、16で「サンフランシスコ」「ニューオーリンズ」「ミネアポリス」が登場します。シナリオ化されていない所では、マリアナ又はレイテ海戦ぐらいでしょうか。

「ウィチタ」

概説

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米海軍最後の条約型重巡となった「ウィチタ」は、当初は「ニューオーリンズ」級の1艦として就航する予定でしたが、途中で「フルックリン」級軽巡の設計を大幅に取り入れた新設計の艦として登場しました。砲力は従来の艦と変わっていませんが、両用砲に米海軍の巡洋艦として初めて38口径127mm砲を採用。全8門の両用砲のうち2門を艦の中心線上前後に配置。後の米巡洋艦のデザインの範となりました。
戦時中、最新鋭の巡洋艦であった「ウィチタ」は当初大西洋方面で行動し、援ソ船団の支援や北アフリカ上陸作戦に従事しました。1943年以降は太平洋に移動し、米軍による反攻作戦に参加しました。レイテ沖海戦では落伍した我が軽空母「千代田」を撃沈した他、駆逐艦「初月」を撃沈する等、戦果を上げています。総じて極めて多彩な戦歴の艦だといえましょう。

ゲームでの性能

主砲の数は前作「ニューオーリンズ」級と同じなのですが、主砲のTypeがBからCに強化されました。これはSHSを使用できるようになった新型火砲で、ゲーム上のデータでも射程距離がやや短くなった代わりに貫通力が強化されました。その貫通力は日本重巡の主装甲部を全領域で打ち抜ける性能を誇っています。
装甲防御力は前作「ニューオーリンズ」級と同じですが、元々前作が日本重巡に対してやや過剰と思える程の防御力を持っていたので、「ウィチタ」も重巡同士の砲戦では十分な対弾防御力を持っています。
強化された砲戦力と強力な装甲防御力により、「ウィチタ」は中距離以遠の砲戦において日本重巡を圧倒できる性能を有するに至りました。注意すべきは接近戦で、いかなる場合でも日本艦との接近戦は厳禁です。

シナリオでの扱い

「ウィチタ」はガダルカナル攻防戦に殆ど参加していないため、シナリオで登場する機会は少ないです。シナリオ13でTF34の1艦として登場する可能性がある他、シナリオ16で登場する可能性があります。シナリオ化されていない所では、マリアナ、レイテの大海戦がまず考えられます。あと1943年では主に北大西洋で行動しているので、アッツ、キスカを巡る戦いで日本重巡との激突が考えられます。

「ボルティモア」級

概説

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軍縮条約失効後に米海軍が計画・建造した最初の重巡洋艦が「ボルティモア」級です。基本的な設計は「ウィチタ」級重巡及び「クリーブランド」級軽巡をベースに進めれましたが、無条約時代の設計であるため大型化し、満載排水量17,000トンに達する大型艦になりました。
主砲数は条約型重巡と同じですが、搭載火砲がSHS運用可能な新型に更新されたため、実質的な火力は増大しました。対空火力も大幅に強化され、127mm両用砲12門、40mm機関砲48門を装備するそれは、実質的に条約型重巡の2倍に達するものでした。
本級は計24隻の建造が予定さていましたが、実際には14隻が完成したに留まりました。戦時中に完成したのはそのうち11隻で、実戦に参加する機会を得たのは「ボルティモア」「ボストン」等計6隻でした。マーシャル進攻作戦が戦場に姿を現した本級は、その強力な対空火力で高速空母部隊を守る強力な盾として活躍しました。しかし日本艦隊と交戦する機会はなく、自慢の水上打撃力はついにその威力を発揮する機会に恵まれなかったのです。
艦の性能としては同じく戦時量産型の「クリーブランド」級軽巡を完全に凌駕するものでありながら、実績では彼に遠く及ばなかった点、艦にとって性能の優劣のみがその価値を決めるものではないと教えてくれます。

ゲームでの性能

砲力は20cmC砲「6-10-3」。前作「ウィチタ」級より舷側火力が1増しています。これによって火力でも日本重巡に匹敵するレベルに達し、火砲の性能優越と相まって日本重巡を完全に凌駕する砲戦力を有するに至りました。また防御力についても前作よりもさらに強化されました。装甲値「4-8-8」。最早中距離以遠では8インチクラスでは歯が立たないほどにまでなりました。船体の大型化に伴って耐久力も向上し、さらに完備された電測兵装とも相まって中距離以上の砲戦では無敵の存在となりました。少なくとも相手が同数以下であれば、重巡クラスの敵を圧倒できるでしょう。ただし例によって近距離戦は厳禁。大型化した船体は酸素魚雷に対してもある程度の抵抗力が期待できますが、それでも1発で致命傷を食らう可能性は残っています。

シナリオでの扱い

仮想戦ですがシナリオ13でTF34の1艦として登場する可能性があります。米軍有利なシナリオなのでその砲力と防御力を如何なく発揮できるでしょう。その他のシナリオでは登場しませんが、実際に戦場に登場するのが遅かったので仕方がないでしょう。本級を活躍させる場面としては仮想戦しかありませんが、例えばレイテ戦後の南シナ海における日本水上部隊掃討戦や礼号作戦時における日本艦隊との激突といったシナリオが考えられます。

(つづく)